アイドルとマネージャーの幸せな結婚《後編》〜誓いのキス♡ 皆からのスピーチ〜
壮麗なガラス張りのチャペルの祭壇上に牧師の声が重々しく響く。
「新郎小松崎新 あなたはここにいる灰谷果林を
悲しみ深い時も 喜びに充ちた時も
共に過ごし 愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「誓います」
「新婦灰谷果林 あなたもまたここにいる小松崎新を
悲しみ深い時も 喜びに充ちた時も
共に過ごし 愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「誓います」
牧師さんの前で、皆に見守られる中、俺と果林は生涯の愛を誓い合い、共に微笑み合った。
胸に去来するのは、初めて出会った時のセーラー服姿の果林。
綺麗な金髪のポニーテールに碧眼。困った笑顔を浮かべていた彼女を、天使のような美少女だと思ったっけ……。
それから、マネージャーとして、彼女と共に9年間共に過ごして来た。
ルミナス☆ミ活動開始と共に、センターに抜擢され、不安そうにしていた果林。
けれど、ファーストステージでは、粗削りなパフォーマンスながら、アイドルとして天性の輝きを見せてくれた果林。
デビュー曲「元気出してねマイダーリン」のレコーディングでは、当時のメンバー絵梨花とアヤと共にC海岸で寒さに震えながらも懸命に笑顔でパフォーマンスを発揮していた果林。
辛い時も楽しい時も彼女を支え続け、彼女の笑顔が見られる事で、実は俺の方が支えられていたんだと、気付いたのはつい最近の事。
告白番組で果林に告白される前から──。
恐らくあの初めての出会いの時から俺は果林にずっと惹かれていたんだ。
「では、誓いのキスを……!」
「果林。愛してる。んっ……♡」
「あらっちゃん。ウチも愛してるよ。んっ……♡」
牧師さんの言葉に俺達は唇を重ね合わせ……。
パチパチパチパチ……。
俺達を見守ってくれていた招待客から盛大な拍手が沸いたのだった。
✽
そして、場所はチャペルから披露宴会場に移り、豪華な食事を前に団欒のひとときとなった……。
「小松崎新くんが我が社に初めて面接に来た日の事を昨日の事のように覚えています。「特に特技のない俺ですが、御社と御社に所属するタレントの為に人生全てを捧げうつ覚悟があります!」彼は、涙ながらに訴えました。右手に目薬を隠し持って……」
大文字社長のスピーチに、どっと会場内に笑いが起こる。
「社長!//その話、今言わなくてもいいじゃないですか!」
「すまん。つい。まぁ、皆さんウケてるから、許してくれよ?」
「ぷぷぷ。あらっちゃん、おもろ……!」
焦る俺に大文字社長は笑いながら舌を出し、そのやり取りに果林は吹き出していたのだが、続く舞弓とアヤのスピーチでは……。
「思い出深いエピソードといえば、やはり、ドッキリ番組で、果林ちゃんを驚かせた事ですかね〜」
「ええ。ヨーチューブのゲーム実況収録中に、私がガチャピン、舞弓ちゃんがムックになっているのを見た時の果林ちゃんの顔といったら……!」
「ええ、ええ。堪りませんでしたなぁ。果林ちゃんパニックになりながらも、私達(外見ガチャピン&ムック)の指示にしたがって、そのままゲームのステージクリアしちゃって面白かったですね〜」
「ちょっと、舞弓ちゃん!アヤちゃん! もっとマシなエピソードないの?!//」
今度は果林が二人にいじられ、文句を言っていた。
ルミナス☆ミ メンバーのやり取りに、再び会場はどっと湧く。
ああ。あの時は、自分だけドッキリを仕掛けられた事に果林は激おこだったなぁ……。
番組スタッフと共にドッキリ番組の内容を考えた俺は、その罰(?)として、果林を膝の上に乗せたまま、ゲームを全クリさせられる事になったっけ……。
俺はその時の事を思い出し、苦笑いになった。
そして、続いて家族からなんと源じいがスピーチをする事になった。
「し、新郎のこいつはなぁ……、昔から曲がった事が嫌いで……、人とぶつかる事も度々じゃった。けど、誰よりも心根の優しい男なんじゃ……」
「源じい……」
俺が感動しかかっていると……。
「なぁっ。清?」
源じいさんは、涙ながらに俺に呼びかけた。
「(え?清って誰?)」
ざわっ。
それまでしんみりムードだった招待客は戸惑っていた。
「やっぱ、親友の清の話かよ!」
「ううっ。源じいちゃんがこんなにハッキリしゃべれるようになるなんてっ……! あうぅっ。入れ歯新しくしてよかったねっ……」
俺は突っ込み、果林は違うポイントで感動して涙を流していた……。
✽
そんなこんなで結婚式は順調に(?)進行していき、次はルミナス☆ミの出しもの。
果林は、パフォーマンス用に、今のドレスにオーバードレスと髪にアレンジを加える為、席を立つ事になった。
「俺も行きましょうか?」
招待客として参加し、会場内を警備してくれていた鈴木がそう申し出てくれたが、俺は首を振った。
「いや、今回は俺も果林に付き添って退場&再入場する事になってるんで大丈夫です。
鈴木さんは会場内の警備を頼みます」
「分かりました。くれぐれもお気をつけて。すいません。こんな時、服部さんもいたら会場内外ら両方警備出来るんすけど、あいにく別の仕事が入ってるみたいで……」
「ああ。気にしないで下さい。衣装を直す控え室は、会場を出てすぐのところにありますから、大丈夫ですよ」
「そうですよ。鈴木さん、すぐ戻って来ますから」
俺と果林は鈴木さんにそう言い、「小松崎様、灰谷様、こちらからどうぞ!」という、ウエディングプランナーの井堀さんの指示に従い退場し、控え室へ向かったのだった……。
*あとがき*
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次話、いよいよ不穏なフラグが現実に……!新&果林サイドは不測の事態にどう対応するのか、来週も見守って下さると有難いです。
今後ともどうかよろしくお願いします。
*あとがき*
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