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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第七章 育てたアイドルに魔の手が 迫るってマ?

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おまけ話 アイドル桃谷果林 人生を覚悟するとき《前編》

✽まえがき✽


時系列、1章4話「怒りにも似た闘志」あたりの果林視点の話になります。

《桃谷果林視点》


 真っ白なもこもこのワンピースに身を包んだウチは2個入りのアイスカップをカメラに向け、極上の笑みを浮かべる。


「フワッフワ、トロットロの雪見まんじゅう♡ あなたもお一つ、いかが?」


「ハイ、カット!!」


 現場監督の一声でアイスのCM撮影が無事終わり、ウチはホッと胸を撫で下ろすと、遠くから見守ってくれているマネージャーのあらっちゃんと目が合った。


『(よかったぞ! 果林!)』


 親指を立てるあらっちゃんのニコニコの目がそう言ってくれているようで、ほんわり温かな気持ちが胸の中に広がる。


 あらっちゃん、大好き……!


 アイドルになってから9年間。どんなに忙しい時でも、どんなに辛い時でも、あらっちゃんがマネージャーとして側にいてくれたから、何とかここまでやってこれた。


 家庭の事情で、プライベートでもお世話になっていて、あらっちゃんのご家族とも仲がよかったウチは、あらっちゃんママや妹の澪ちゃんに「いつでもお嫁に来て大丈夫」と言われていて外堀りは既に埋まっていた。


 仕事の忙しさになかなか彼女と長続きしないあらっちゃんに、いつかウチの気持ちに気付いてもらって、将来を共に出来たらとそう思っていたのに……。


        ✽


「果林、CM撮影お疲れ! 視聴者の心をグッと掴むいい表情してたな?

 ヨシヨシ、偉い偉いぞ〜」


「きゅうぅん♡ きゅうぅん♡」

「小松崎せんぱーい! 果林さぁん!」


 撮影終了後、スタジオを出たロビーで、あらっちゃんに頭を撫でてもらい、ウチが甘えた声を出していると、第二マネージャーの鈴木さんが手を振りこちらにやって来た。


「これから、小松崎先輩は、結婚式の打ち合わせですよね? 例の番組「初恋のあの人へ生告白♡」の打ち合わせには私が果林さんに付き添いますから、もう大丈夫ですよ」

「ええ、忙しい時期に休み取ってすみません。鈴木さん、果林をよろしくお願いします」

「はい。任せて下さい」


 ……!


 鈴木さんとあらっちゃんのやり取りに、ウチは顔を歪めた。


 午後から半休を取るとは聞いていたけれど、結婚式の打ち合わせだとは知らなかった。

 

 婚約者が出来たと聞いた時は、ショックだったけど、他の彼女さんのように、またすぐ別れるんじゃないかと思っていたのに……。


「あらっちゃん! 今日は、大事な番組の打ち合わせなのに、側にいてくれないの?」


 思わず引き止めるような言葉をかけてしまうと、あらっちゃんはウチを子供扱いして頭をポンポンと叩いて来た。


「なんだ? 果林、心細いのか〜? ハハッ。23にもなって子供みたいだな」


「ムキーッ!!」


 憤慨したウチはあらっちゃんの手を振り払った。


 子供だから心細いんじゃなくて、女としてあらっちゃんに行って欲しくないから言ってるのに!

 しかも、今日打ち合わせをする番組の内容は……。


 でも、ウチの女心に全く気付く事なく、あらっちゃんは悪気ない笑顔で、却って気持ちを逆撫でするような事を言って来た。


「ごめんな、果林。俺も式の直前の大事な打ち合わせなんだ。今日はお前のようなお子様には分からない大人のデートをして来るぜ! いい子にしてたら、スイーツの土産でも買ってきてやるから!」


「〰〰〰!! ☠☠」


 残酷な言葉に、ウチはその場に崩れ落ちる。

「鈴木マネもいるし、今まで沢山のバラエティ番組をこなしてきたお前なら、大丈夫! それでもどうしても困った事が起こったら、一応電話は繋がるようしとくからよ」


「あらっちゃん……」

「果林さん、小松崎先輩にも及ばなくとも、私も精一杯お仕えしますから」


 それでも、ウチを気遣ってくれるあらっちゃんの言葉に絆され、鈴木さんにも宥められ、婚約者さんにウキウキと会いにいくあらっちゃんを為す術もなく見送るしか出来なかった……。


 所詮ウチとあらっちゃんは、アイドルとマネージャー。


 あらっちゃんの目に映る為にウチが出来るのは、アイドルタレントとしてお仕事で精一杯輝く事。それしかないのだと思い知らされた。


        ✽


「え? やらせ?」


「ハイ。桃谷果林さんは、特に想っているお相手がいらっしゃらないとお伺いしてましたんで、こちらで、告白するお相手候補の資料を用意させて頂きました。この中から、ご自身の好みと事務所様のご意向に添う方を選んで頂ければと思います」


「ふえぇっ?」

「まぁ!」


「初恋のあの人へ生告白♡」の打ち合わせに臨んだウチと鈴木さんは、番組のスタッフさんから写真付き男性のプロフィールの書類を数枚見せられ、目を丸くした。


「どの方も、その形態がどのようなものであれ、果林さんとの交際を希望されています。まぁ、いわゆる告白成功率100%の状態です。」


「「告白成功率100%!」」


 衝撃を受けたウチと鈴木マネは顔を見合わせた。

 今までの放送もこういうやらせが多かっったのかな?

 この番組自体の告白成功率が80%と高いからくりが分かった気がした。


 番組は盛り上がるのかもしれないけど、ウチはそういうのあんまり好きじゃないな……。


 引いているウチとは対照的に、鈴木マネは前のめりになって、質問していた。


「卒コンを控えているのですが、本格的な交際はそれ以降という事にしても構わないですか?」


「もちろんです。 果林さんがお相手をお気に召さなければ、実質的にはそのまま自然消滅という形でも構いませんよ? こちらとしては、一瞬でも恋が実った場面を放送させて貰えれば……」


「なるほど……! 果林さん、どうですか?」

「う、う〜ん……。どうって言われても……」


 乗り気の鈴木さんに、実業家、俳優、モデルなど男性の写真とプロフィールを見せられ、ウチは困って首を傾げた。


 この写真の男性達は、やらせと知りつつウチとの交際を希望している人。


 つまり、この人達にその交際が得になるって事だよね?


 実業家さんにとってアイドルの恋人がいるのはステータスだよね?


 この俳優さん、イケメンだけどあまり売れていないみたい。アイドルとの恋愛を話題に人気を出したいって事かな?


 このモデルさん、有名女優(既婚者)の愛人だってスタイリストさんが噂していたっけ。もしかして、アイドルとの交際をカモフラージュにしようとしてない?


 それぞれの思惑が読めるようで、ウチは心の中でげんなりとため息をついた。


 その時、あの言葉が蘇った。


『俺がお前を丸ごと引き受けてやる! この手を取ってくれ』


 アイドルでもなんでもない、ただの中学生の女の子へ向けた、社会人なりたての青年の不器用で真摯な言葉。


「この実業家なんか良さそうじゃないですか?果林さ……」

 ガタンッ!


「「!??」」


 笑顔で候補の一人を勧めようとする鈴木さんの言葉を遮るようにウチは席を立った。


「やらせは結構です! 私は本当に好きな人に告白します!!」


「ええっ? 相手いないって言ってませんでした〜っ!?」

「果林さん、一体何をっ……!?」


 驚く番組スタッフさん、鈴木さんは半泣きになっていたけれど、ウチはもう後には引けなかった。


 たとえ、振られもいい! あらっちゃんが結婚してしまう前に、ウチ、告白する!!



*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m

 後編もどうかよろしくお願いします。

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