アイドル卒業の夜
✽まえがき✽
※性的表現があります。苦手な方はご注意下さい。また、15才以上の閲覧でお願いしますm(__)m
「あらっちゃん、こっちこっち!」
「「小松崎さ〜ん!」」
果林に手招きされ、アヤと舞弓に手を振られ、俺がステージの真ん中に進み出ると、会場が再び沸いた。
わああ〜〜っ!!
「DTマネージャーだ! 拾われ婚のDTマネージャーがやって来た!」
「DTマネージャー! やっぱりフツメンだぁ!」
歓迎されているのか、バカにされているのか分からない声が上がったが、取り敢えずはネット上の反応と同じく、あから様な敵意は感じずにホッとして、俺は観客席に向かって一礼をした。
「どうも! ルミナス☆ミ マネージャーの小松崎新です」
「はい〜。果林ちゃんをアイドルにスカウトして、光を与えたマネージャーの小松崎新さん! ご存知の通り、生告白&逆プロポーズを経て二人は婚約者同士♡
さぁさぁお二人さん、寄って寄って〜」
「うわっ//」
「あらっちゃん♡//」
アヤにも紹介を受け、押されるように果林のすぐ隣に追いやられた。
「さてさて! この機会に、二人に多くのファンの方から寄せられていた質問に答えてもらいましょうか!」
「「ええ〜//」」
戸惑う俺と果林に、舞弓がニヨニヨしながら、メモを取り出し、俺達の前で読み上げた。
「婚約者とはいえ、果林ちゃんは卒コンまではアイドルですよね? それなのに、DTマネージャーは彼女と一線越えてしまったんですか〜?」
「ぶっふー!!///」
「っ……!!///」
とんでもない質問に、俺は吹き、果林は息を呑み、口元に両手を当てた。
「今、ここでそんな質問おかしいだろ!?」
俺が舞弓に食ってかかると、舞弓は真剣な顔で頷いた。
「確かに、本当に一線越えてたらDTマネージャーではないので、文章としてはちょっと矛盾していますけど、ファンの方の意図を汲み取って差し上げて下さいね」
「いや、おかしいの、そこじゃねーよ!!」
「あらっちゃぁん」
瞬速で突っ込みつつ、困ったように見上げてくる果林に俺は諦めの境地で耳打ちした。
「(ここは逃げられねーな。本当の事を言うからな)」
「(う、うん//)」
大きく息を吸うと、俺はヤケクソのように叫んだ。
「結論から言うと、僕は、果林とは一線は越えていませんっっ!!」
「「「「「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」」」」」
観客席は一瞬シーンと静まり返った後……。
わあああぁ〜〜〜っ!!!!
「うおおぉっ!! DTマネージャー! 最高だ〜!!!」
「果林ちゃんを大事にしてくれてありがとう〜〜!!!」
今日一大きい歓声が上がった。
いや、何なんよ本当に!
大体、俺、童貞じゃねーっつの!!
俺が虚無の瞳になっていると、果林が後を継いで、声を張り上げた。
「あらっちゃんこと、小松崎さんは、とっても真面目な人なので、私がアイドルの間は手を出さないと決めているみたいで〜す!
自分に魅力がないのかと悩んだ事もありましたが、私が嘘や隠し事なくファンの皆様の前に立てるようにしてくれたんだと今は彼に感謝しています!」
「果林……!」
果林が俺にも一瞬笑顔を向け、そう言ってくれたので、今までギリギリを堪えてなんとか一線を守り通した事を思い出し、胸が熱くなった。
「でも、白い結婚にはならないように、気を付けたいと思いますけどね!」
茶目っ気のある表情で、果林がそう言うと、観客席は、再び沸いた。
「DTマネージャー、果林ちゃんを泣かすなよ〜?」
「拾われ婚してくれた果林ちゃんを前に白い結婚とか、失礼過ぎるからな〜!!」
いや、君ら、手を出して欲しいのか欲しくないのかどっちなんだよ?
「小松崎さん、果林ちゃん質問への回答をありがとうございました〜〜!!」
「これで、皆さんのモヤモヤをスッキリ解消出来ましたね〜〜!!」
アヤと舞弓は満面の笑みでトークを締め括ると、果林に手を振られ、観客に「DTマネージャー」コールをされながら、俺は舞台袖に戻って行った。
「では、いよいよ最後の曲になりました。聞いて下さい。ルミナス☆ミのデビュー曲『元気出してねマイダーリン』」
果林の紹介と共に曲が流れ、ルミナス☆ミが思い出深いあのデビュー曲を歌い出した時は、もちろん会場の盛り上がりも最高潮を迎え、流石に俺も涙を堪える事が出来なかった。
そうして、時は流れ、果林卒業コンサートツアーの最終公演が終わり……。
「ルミナス☆ミの皆さん、打ち上げに行きましょうって……、あれ?? 果林さんは?」
「ああ、果林ちゃんならマネージャーと先に出ましたよ?」
「私達は、打ち上げに参加しますので、今日だけは二人にしてあげて下さいな?」
プロデューサー&スタッフとアヤ、舞弓の間でこんなやり取りがあったらしい。
✽
その数時間後、俺は果林と共にホテルの一室にいた。
「ふふっ。あらっちゃん、元気だったね……! 白い結婚にはならなそうで、よかったぁ……」
艶めかしい白い裸体をベッドの上に横たえ、果林は同じく裸の俺に抱き着いて来た。
「卒業まではと思って、かなり我慢してたんだよ。白い結婚どころか、これから覚悟しろよ? んっ……、ちゅるっ。んうっ……」
「んっ……、ちゅるっ。んうっ……」
果林にそう宣言をして、先程の甘ったるい時間を思い起こさせるように何度も深く口付けて、舌を絡ませた。
「あらっちゃぁん……だいすき……♡」
「俺も果林が大好きだよ……?」
彼女は綺麗な目をうるうるさせて甘えるような声を出す彼女を抱き締めて、その柔らかさと温かさを感じながら、今は心から愛の言葉を告げる事が出来た。
「アイドルと一緒に色々卒業しちゃった……♡」
「あっ。俺もDTを卒業……」
果林の言葉に便乗しようとしたところ……。
「おい、嘘はダメだぞ? あらっちゃん……!!☠」
「ひっ……||||||||」
果林にギッと睨みつけられ、俺は震え上がった。
「もう! 今までは知らないし、聞きたくもないけど、これからはずっとウチとだけじゃないと許さないかんね! もう一戦するよ!」
ドサッ!
「うをっ! あっ……。そんな、果林さんっ……」
早々に攻守を逆転され、俺は果林にされるがままになった。
ヤバい! このままでは搾り尽くされる!
若い果林に付いていく為、体力を付けなければならないと切に感じた32才の夜だった……。
*あとがき*
いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m
ついに結ばれた新と果林!
次話、元婚約者視点の話で、7章終了となります。
今後ともどうかよろしくお願いします。




