助けを呼ぶ声
《柏崎頼愛視点》
「う……ん……」
「お茶に入れた薬がよく効いているようだ。
やっと、二人きりで愛し合えるね? 果林ちゃん♡」
意識の朦朧としている果林ちゃんをベッドに運び、俺が彼女に笑顔を向けた時……。
チャラッチャララ♪ チャラッチャララ♪
「!」
電話の着信音が鳴り、床に転がっていた彼女のスマホを拾い上げた。
画面には発信先が「マイダーリン♡あらっちゃん」と表示されていた。
「小松崎新か……! 今頃連絡して来ても遅いんだよ、バーカ!!」
画面をタップし、着信拒否をして、電源を切ってやった。
どうせなら、これから俺と果林ちゃんの愛の営みをテレビ電話で見せつけて、奴の絶望する顔を見てやりたいところだが、犯罪の証拠を残すのは得策ではない。
彼女に今後も言う事を聞いてもらう為、こちらのスマホで動画は撮っておくがな……。
俺はベッドがよく見える位置に自分のスマホを設置すると、高笑いをした。
「ハッハッハッ。小松崎新め。古丸美咲に引き続き、桃谷果林ちゃん……。二度も俺に女を寝取られるとは、本当にマヌケな奴だぜ!」
ギシッ!
「ハアハアッ。さぁ、果林ちゃん……。その汚れなき綺麗な体を、俺に捧げてくれっ」
ベッドの上で、果林ちゃんに覆い被せる体勢で、興奮を抑えられず、ブラウスの襟元にあるリボンを解こうとすると……。
バキィッ!!
「キモい息吐きかけんじゃねー!! この変態っっ!!」
「こぶほぅっ……!!」
ガタガターン!!
突然顎に強い衝撃と痛みが走り、気が付くと俺は床に転がってうめき声を上げていた。
「う、ううっ……、な、何で……」
ベッドの上には、拳を突き上げた果林ちゃんが仁王立ちし、憤怒の表情を浮かべていた。
「バカなんじゃないのっ? 怪しさ満載の男から勧められたお茶なんて、飲むわけないっしょ!? 金持ちのイケメンだったら、何でも上手く運ぶと思った?」
「ぐ、ぐぬっ……! バカは君だ! 大人しくしていれば、痛い思いをしなくて済んだのに……! こうなったら無理矢理にでもっ……」
ギシッ! ガシッ!
「キャァッ!」
可愛さ余って憎さ100倍。
すぐにベッドに戻り、彼女の両腕を強く掴んで動きを封じてやると、彼女は力の限り叫んだ。
「いやあぁっ!! 助けて!! あらっちゃん〜〜〜!!!」
「ハハッ! 呼んだところで、助けに来るわけ……」
ガチャッ!
「おう、果林! 来たぜ〜〜〜!!」
ダッ!!
「はんぬっ?!」
突然部屋のドアが開き、筋肉質な中背のフツメン男が飛び込んで来たのに、俺は飛び出るほど目を見開いた。
「お、お前、小松崎あら……」
「果林に何してんだっっ!!」
名前を呼び切る前に、奴の拳が目の前に迫っていた。
「マネージャー怒り心頭パーンチッッ!!」
「げぶふうっっ!!」
ドゴオンッッ!!!!
ガタガタガターンッッ!
ボディに渾身の一撃を入れられ、先程の何百倍もの衝撃と痛みと共に吹っ飛ばされ、俺は再び床に転がったのだった……。
*あとがき*
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