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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第六章 育てたアイドルと甘々デートするってマ?

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吐き出す気持ち

「ホントにやばいな……。 もう、年かなっ……。ふっ……」


 9年前の俺のセリフをまんま真似た、果林の言葉に、差し伸べられたその手の温かさに、涙が止めどもなく溢れて、困った。


「お前が14の時、俺がした事はただの自己満足であって、想いや恩を返して欲しいなんて考えちゃいなかった。


 俺は、どんなに私生活が不幸になろうとも、果林がアイドルとして大成して幸せな人生を歩んで行くのが見られたらさ、全然、それでいいと思ってたんだよっ。ずっ……」


「あらっちゃんらしいね……」


「なのに、番組で果林の告白する相手が俺だって知って、どんなに驚いたか分かるか……?」


「うん。めちゃびっくりしてて、面白かった……。そんで、ちょっとは嬉しかった?」


「ああ。嬉しかったよ。物凄くっ……。あっ……」


 繋いだ果林の手にもボタボタと涙が降り掛かってしまい、手を離そうとしたが、果林は手に力を込めてそれを阻んだ。


「いいよ? あらっちゃん、そのままで……。辛い気持ちは全部ウチにぶつけて? あの女・古丸美咲の事でも聞くよ。あらっちゃんはウチを守る為に、元婚約者をドン底まで追い込むしかなかったんだもん。辛かったよね……」


「! 違う、果林。婚約破棄されたあの時点で俺は、彼女には愛想が尽きていた。SNSの件があってからは、寧ろ憎んでいたぐらいだ。


 だから、お前の事がなくても、容赦なく彼女を追い詰めたと思う。


 実際、法律事務所で泣いていた彼女に婚約破棄された時と同じ言葉を投げつけてやって、正直、「ざまぁ!」って思った。それは間違いないんだ! でもっ……」


 語気強く叫ぶ俺に果林は全てを悟ったような笑顔で先の言葉を促す。


「でも、それだけじゃないっしょ?」


「っ……。でも、それと同じだけ、彼女に幸せでいて欲しかったんだ……。


 儚げで頼りないところも含めて惹かれていたし、多少の我儘を言われたとしても、叶えてあげて俺が笑顔にしてやりたいと思っていた。


 そんな俺じゃ駄目だと、違う相手を選んだ筈なのにこのザマはなんだよ!

 俺と婚約破棄したのは何の為だったのかって彼女のみすぼらしい姿がただ虚しくて……」


 自然とそんな言葉が零れてしまい、俺はハッとして口を抑えた。


「悪い。果林の前で、こんな……」


「あらちゃんの気持ちはとっくに分かってたし、気にすんなし。ああいう別れにならざるを得なかったけど、情に厚いあらっちゃんが少し前まで婚約者だった人を完全に嫌いになれるわけがないんだよ」


 果林は満面の笑顔で親指を立てた。


「あらっちゃんの誠意や想いが全く響かず一方的に捨てる相手もいるかもしれない。


 でも、人生が変わるぐらいしっかり響いちゃう相手もいるんだよ。


『小松崎新。今まで、辛かったな? 大丈夫だ。この先は頑張った分だけいい事がある。そんな人生になるから。そんな人生になるようにウチが君を守るから!』


 安心して、ウチに拾われてね?」

「……!」


 包み込まれるように果林に抱きしめられ……。その柔らかさや温かさに、自分の中のドロドロした負の感情が洗い流されて行くように感じた。


 果林の背に手を回し、抱き締め返しながら、芽生えかけている気持ちも全て吐き出してしまう。


「果林はいい女になったな……。お前に何も望まないと思っていたけど、今はちょっと違う。

 婚約者として過ごす内、お前は俺にとって側にいて欲しい大切な存在になっていってる。

 明日、果林に婚約破棄されたら俺はかなり堪える。果林は勇気を出して俺の為に行動してくれたのに情けないが、これ以上お前を好きになるのが怖いという気持ちもある……」


「ふふっ。あらっちゃん、全然大丈夫なんだよ。

 9年かけてあらっちゃんがウチにやっと向き合ってくれた。これはすごい事。ウチは充分嬉しいよ?


 9年間ウチをアイドルとして育ててくれたように、これから少しずつウチへの気持ちを育ててくれればいい。9年後には離れる事なんて疑いもしないぐらい、ラブラブ夫婦になってるよ」


「果林……!」


 腕の中でそう甘く囁く果林に、胸が熱くなりながら、遥か先の未来を思い浮かべ……。






「ずっ……。9年後か……。とすると、果林は32……。最前線で活躍する為には、今からシミにならないよう日焼け対策をしとかないといけねーなぁ……」


「コルァ! ノンデリ、あらっちゃん!」


「いて! いててて! 果林やめろ! 」


 遠い目で未来の果林のカメラ映りについて考えてしまった俺を果林はタコ殴りして来た。


「もう! この綺麗な夕焼け空の下、人気アイドルとのラブシーンだというのに、ムードが台無しだよ!

そういうとこだぞ? あらっちゃん!


 カメラ回してたら、せっかくファン垂涎の名シーンが撮れただろうに……」


「い、いや。すまん。果林、つい、息をするようにマネージャーモードになっちまって……」


 激おこの果林に必死に謝っているところへ……。


「大丈夫です!このメモリアルシーンは

 しっかりとカメラに収めさせて頂きましたので」

「「うわあぁっ?!」」


 近くのテトラポットからひょろっとした人影が覗き、俺と果林は悲鳴を上げた。


*あとがき*


 いつも読んで頂き、ブックマークや、リアクション、ご評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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