酒の勢い
「いやいや、アイドルとマネージャーが一緒に寝るとかまずいだろう、これは!」
「え〜、何がまずいの〜? ウチら婚約者同士だよ?」
仲良く並んだ二組の布団に慄き、果林の膝枕から逃れるも、果林はニヨニヨと策士な笑顔を浮かべて俺に迫って来た。
「んなこと言ったって、婚約したのつい最近だし、ホ、ホラ! 社長にも、卒業コンサート終わるまでは健全な関係でいろって言われてたろうが!」
「式までには世間が祝福してくれるぐらいにおしどり夫婦になってみせろとも言われてたよね? さっきウチのお胸を揉んだ時、あらっちゃん's Jrがちょっと元気になっていたの知ってるよ?」
「うっ||||||||」
隠していたつもりがバッチリ見られてたらしい……!
「それでこそ、お酒を飲ませた甲斐があるというものだよ」
「! その為に俺に酒を飲ませたのか?策士め……!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる果林に慄き、俺は壁際まで追い詰められ……。
ドンッ!
「……!!」
俺の顔のすぐ横に手を付き、『壁ドン』で逃げ道を失くすと、果林は天使の笑顔で迫って来た。
「あらっちゃん? 女と違って、男にとってセック◯に必要なのは、心の覚悟ではなく、勃つか勃たないか、ただそれだけじゃないのかなっ?」
「!!!!||||||||」
なんたる真理……!!
その格言(?)に思わず納得してしまった俺は一瞬無防備になり、果林の侵攻を許してしまった。
ギュムッ……!
「あらっちゃん、好きっ! んんっ……!! ちゅるるっ……!」
「お、おい! かり……、んむっ……!! ちゅるるっ……!」
突然抱き着かれ、口を吸われて、果林を押し戻そうとするも……。
ボフッ……! フニュフニュン……!
「あっ……♡」
「!//」
俺は果林を布団の上に押し倒し、再びその双丘に触れてしまった。
「ぷはっ。ハァハァッ。あらっちゃん。嬉しい……」
「ぷはっ。 ハァハァッ。か、果林、そういうつもりじゃ……」
果林に弁解をしようとするも、手が吸い付いたように離れない。
くぅっ。なんて柔らかさなんだ。抱き着かれ、全身で感じる果林の項からが立ち昇ってくる甘い女の子の匂いに、理性が溶かされてしまいそうだった。
「か、果林っ……」
「あらっちゃんっ……」
少し乱れたフワフワの金髪。白い肌を真っ赤に染めてこちらを見つめる果林の青い瞳。
その全てを愛おしいと思うのは酒の力のせいなんだろうか……?
それとも、もしかして俺は以前から無意識に果林の事を……?
分からないままに、果林のブラウスのボタンに手をかけた時……。
チャララ、チャーラララリーラー♪
「「!!////」」
畳の上に置かれた携帯から着信音が鳴り響き、俺は慌てて果林から離れた。
「あっ。み、澪からだ! わ、忘れ物か何かかぁっ?」
「あ〜ん。あと、ちょっとだったのに〜」
携帯の画面を確認し、俺が声を上擦らせると、果林は両拳を握り締めて悔しがっていた。
あ、危なかった。もう少しで酒の勢い(プラスアルファ?)に流されるところだった……。
ホッとしたようなガッカリしたような気持ちで、澪からの電話に出ると……。
「ヤバい、お兄! SNS見て!」
「んあっ?」
いきなりそんな事を言われ、俺が変な声を出すと、切羽詰まった声で澪に更に告げられた。
「『#桃谷果林マネージャー』で検索してみて! 変な情報流されてる!!」
「!!」
通話のまま、急いでSNSを確認すると……。
『告白します! 私は、桃谷果林のマネージャー、小松崎新の婚約者だった者です。実は、彼にずっとDVされていました!』
女性の後ろ姿のアイコンの『月桂樹』というアカウントにそんな文面と、青黒いあざのようなものがある女性の腕や顔の一部の画像が投稿されていて、俺は目を見張った。
「何だよこれっ!?」
既に、投稿は一万以上の再生回数になり、リプ欄もすごい事になっていた。
「あらっちゃん、どうし……! は? 何これ、マ?」
俺の携帯の画面を覗き込いた果林も、目を見開く。
突然発生したトラブルに残っていた酔いも一気に覚めたのだった……。
✽あとがき✽
ここまで読んで下さりブックマークや、リアクション、評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m
4章最終話になりまして、次話から5章元婚約者にDV冤罪かけられるってマ?に入ります。
元婚約者から仕掛けられたDV疑惑のトラブルに対して新と果林はどう立ち向かうのか、見守って下さると有難いです。
また、読者様への感謝を込めて今日も(12/25)とおまけ話を投稿させて頂きます。他サイトになりますが、よければご覧下さいね。
https://kakuyomu.jp/users/koba-koba/news/822139841927456720
今後ともどうかよろしくお願いします。




