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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第四章 その出会いは運命だったってマ?

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その出会いは運命だったってマ?②《桃谷果林視点》

 その後、小松崎さんに、事務所との契約内容に関する書類を渡してもらい、スカウトした仕事の詳細について教えてもらった。


 ウチには、三人組のユニットアイドルの一人として活動をして欲しいらしい。


「ふ〜ん……。思ったよりちゃんとしてそうな事務所かも?」


 お気にの星のチャームのついたシャーペンで小松崎さんの説明をメモしながら、ウチは感心して頷いた。


「だから言ったろ? ダンスや歌のレッスン料が心配なら、全額もしくは、半額を事務所が持つ特待生の制度もある。

 それでも、まだ、いかがわしい事務所と疑ってるなら、一度親御さんと、キラ星プロの事務所に来てくれないか? 社長や同じ年頃のアイドルの話を聞けば少しは安心してもらえると思うんじゃないかと思うが……」


「う〜ん。というか、ウチの母親、ウチの事心配とかするかな? いかがわしい事務所でも、お金稼げるなら、早く入れって言われそう……」


 幼い頃、両親が離婚して以来、母親とずっと二人暮らし。


 I国人だという父親の顔をウチは知らない。


 仕事で夜遅くに帰って来る母は、男が途切れず、もう随分前からウチには無関心だった。


 暮らしていくのがやっとの経済状況で、高校に行くのも危ぶまれる中、いくら特待生制度があると言っても、アイドルなんか目指すのはまず無理だろうと思った。


「いや、流石にそんな事はねーだろよ?」


「いや、あり得るね。最近、ウチの母親、付き合ってる若い男に夢中で、娘にあまり関心ないみたいだし……」


「……」


 どうせすぐバレる事だし、家庭事情を正直に話すと、小松崎さんはどん引きだったみたいで、言葉に詰まっていた。


 同情する? それとも無関心を装う?


「ま、まぁ、家庭の事情はそれぞれかもしれんないが、君は未成年だから、保護者の許可がないと、ウチとは契約出来ないんだ」


 ま、そうだよね?

 さっきあったばっかの子にそこまで踏み込まないよね。

 しゃーなし、しゃーなし。


「分かった。まぁ、言うだけ言ってみるよ。パフェまで奢って貰ったしね」


 ビジネスライクにそう言う小松崎さんに、ウチはニパッと笑顔で答え、その後、L◯NE、住所といった個人情報を教えて、店を出て別れる事となった。


 連絡先を書いた後、書類の入った封筒の中に、ウチのシャーペンを誤って落としてしまったけど、向こうが気付いていなかったので、そのままにしてしまった。


 どうしてそんな事をしたのか分からない。

 これっきり会えなくなるのは何だか寂しいような気がして、忘れ物をする事で繋がりのようなものが出来る気がして……。


 向こうの期待に答えられそうにないのに、ウチは会ったばかりの人に何を期待してるんだろう?


 彼に背を向けて歩き出した時、ふいに後ろから声をかけられた。


「灰谷果林! 契約の事だけじゃなくて、何か困った事があったら、連絡して来いよ?」


 驚いて小松崎さんを振り返ると、彼はとても真剣な眼差しをしていた。

 未来のアイドルとしてじゃなく、冴えない中学生の灰谷果林を心配してそう言ってくれてるって分かった。


 ヤバ! 嬉しくてちょっと泣きそう……。


 照れ隠しに、半目で小松崎さんに言い渡す。


「は? おじさん、今のは公私混同のセクハラとみなして、通報していいでしょうか?」


「ああぁ……! 警察だけはご勘弁を!」


 膝をつく小松崎さんに、ウチは吹き出した。


「フフッ。 冗談だよ! 小松崎さん、ありがと!」

「!//」


 今度は素直にお礼が言えた。こんなに心から笑えたのは、久し振り。


 小松崎さんに大きく手を振ってから、彼に背を向けて歩き出した。


 ウチが光輝くアイドルになって、小松崎さんがマネージャーとしていつも側にいてくれて、そんな未来があったら素敵だなぁ……。


 帰り道は叶わないだろう未来を思い描いてフワフワした気持ちで帰った。


 ガチャッ。


 自宅の玄関に入ったところで、着信音が鳴り、小松崎さんからメールが入っている事に気付いた。


 間違えてシャーペンを持って帰ってしまったと、謝罪のメール。


 律儀だなぁ。


 ウチは、いたずらな笑みを浮かべて、メールを送信した。


『ありゃ〜、ごめんなさい! ウチ、そのシャーペンないと眠れないんだ〜! 悪いんだけど、家まで持って来てくれませんか?』


「なーんちゃって。ウソウソ。今度返事をする時でいいですよ……と……」


 スマホ片手にメールを打ちながら居間に入って行くと……。


 ガタッ……。


 ?!


 この時間ウチしかいない筈の部屋の中で物音がして、驚いて顔を上げると、部屋の奥のソファに若い男が座っていた。


「きゃあっ!! だ、誰っ!? ||||||||」


 ウチが悲鳴を上げて飛び退ると、若い男は気持ち悪い笑みを浮かべた。


「やぁ。果林ちゃん。この間会ったろ?君の未来のお父さんだよ? 君のお母さんに合鍵もらったんだ……」


「!!!||||||||」


 家の鍵をウチの前に見せつけて来るその男は、お母さんの今の恋人だった……。

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