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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第四章 その出会いは運命だったってマ?

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天使の機嫌は晴れのち雨

 灰谷果林の件については、児童相談所も絡み、今後を検討していく事になったが、彼女が小さい頃に離婚した父親と連絡が取れた事で事態は好転した。


 元々輸入雑貨を取り扱う職に就き、日本と自国を行き来していた灰谷果林の父親は幼い頃に離れた娘が置かれている状況に胸を痛め、再婚した今の家族と相談の上、彼女の親権を母親から移して貰う事になったのだ。


 父親が海外にいる間も、彼女の普段の生活をサポートできるよう、うちの母親に頼み込み、監護補助者になってもらった。


 灰谷果林の父親は、今まで何もしてやれなかった分、彼女に何かやりたいことがあるなら応援したいと、芸能を身に付ける為にかかる費用は全て持つと言ってくれたので、彼女がアイドルを目指す道に取り敢えずの障害はなくなった。


 そんなこんなで、実際に事務所に灰谷果林を事務所に連れて来れたのは、初めて彼女と出会ってから一か月半後の事だった。

 それなりに話を通していたが、大文字社長が、灰谷果林を一目見るなり「ふ〜む」と難しい顔をしたので、彼女は俺に不安気な顔を向けて来た。

 俺も内心では汗を流していたが、「大丈夫だぜ!(多分)」と笑顔で頷いていると……。


「新ぁ、お前がそこまでこの子に入れ込んだ気持ちがちょっと分かったわ。

 条件付きだが、あらかたの費用はこっちでも持ってやれると思うよ。ハイ、採用! 灰谷果林、これからよろしくな?」

「「ホッ……!」」


 大文字社長のきっぷの良い決定を聞き、俺も灰谷果林も胸を撫で下ろしたものだった。

         ✽


 それから、灰谷果林は二学期から芸能関係の寮に入り、寮に近い学校に転校する事になった。


 それまでの2週間程は、歌とダンスのレッスンを受けつつ、灰谷果林は俺の実家で過ごした。


「まあぁ! 可愛らしいお嬢さんねぇ!

 新が小学生の頃、捨て猫拾って来た時はビックリしたもんだけど、今度は金髪碧眼のお嬢さんを拾って来るとは!

 斜め上過ぎて理解が追いつかんわ〜!」


「キャーーッ! お人形さんみたいな美少女キター!! スタイル良っ! 腰も足もほっそ〜!」


「は、灰谷果林です。お世話になります……//」


 母親も当時高1の妹も灰谷果林を迎えた時は大興奮状態だった。まだこの時は二人に対して遠慮がちな態度を取っていた灰谷果林だったが、(当時実家暮らしだった)俺に対しては違った。


「短期間とはいえ、まさか一緒に暮らす事になるとはな〜。ハッハッハッ。ここでは、俺の事を新兄ちゃんと呼んでいいぞ? 妹よ?」


「うっさい。おじさんのくせにキモい」


 調子こいて兄貴風を吹かせる俺に、灰谷果林は、プックリと頬を膨らませて辛辣な言葉を吐いて来る。


「なんだと、まだ23のナイスガイになんて事を……!」


 心外だという思いで抗議してみたが、灰谷果林は微妙な表情になった。


「ナイスガイって言葉が既にダサ……。ま、でも、あの時はちょっとだけカッコよかった……かもしれないけどさ……」


 顔を赤くしてボソッと呟いた言葉を俺は聞き逃さなかった。


「え? あの時って果林を助けた時? そんなに俺、カッコよかった?」


 畳み掛けるように質問する俺に灰谷果林は不本意そうに頷く。


「ほ、ほんのちょっとだけね……。実際、小松崎さんが来てくれなかったら、ウチどうなっていたか分からないし、ウチのいいところ、いっぱい認めて励ましてくれたし……」


「お、おおっ。あん時は夢中で捲し立てちまったが、俺、変な事言ってなかったか?」


「ん〜。女子中学生相手に惚れたとか、ずっと側にいるとか言っちゃうのは条例とか法律的にどうなのかな〜と思ったけど……」


「うぐぐっ……。た、確かに」


 灰谷果林に指摘され、俺は手痛いダメージを受けた。


 コンプライアンスどころか、法律的にアウトだったらしい。しかも、そんな事を口走ってしまったのが、警察署内という……。捕まらなくて本当によかった。


「嬉しかったからそれはいいけど、いつの間にか勝手に果林とかお前呼びになっているのは頂けない」


「うっ……。ハハッ。何を言っているんだい? 僕が君にいつそんな呼び方をしたというのかな? 灰谷さん?」


 再びの苦言に慌ててコンプライアンス重視モードに切り替えるも、果林に思い切り顰め面をされた。


「ついさっきまでしてたっしょ? その話し方、薄ら寒いからホントにやめて! もういい、分かった。私の呼び方はそのままでいいから! 小松崎さんの呼び方も変えさせてもらう事にする!」


「よかった。俺も、どこまでこのモードで持つか、不安だったんだよ。俺の事は何とでも呼んでくれていいぜ?」


「え、えっと、じゃあ……」


 果林は躊躇いがちに俺を見上げて来た。


「あっ……、あらっ……、あらっちゃ(新さ)……あらっちゃ……ん(新さ……ん)。う〰〰〰」


 ???


 鳴き声を練習中の鶯のように、噛みまくる果林に俺が首を捻っていると……。


「あらっちゃん!」


 突然果林はヤケになったように叫んだ。


「こ、これからはあらっちゃんって呼ぶから!」


「いや、構わないけど、果林、今の噛んで間違えて言った奴じゃ……」


「か、噛んでないし!/// 元々あらっちゃんって呼ぼうと思ってたし〜!」


 真っ赤になって言い張る果林は年相応の子供に見えて、俺は何だか嬉しかった。


「ハハッ。分かった分かった。果林、困った事があったら、何でもこのあらっちゃんに頼って来るんだぞ?」


「う、うん。あらっちゃん。ウチを助けてくれて、側にいてくれてありがとう……」


 ポンポンと金髪の頭を撫でてやると、果林は天使の愛らしさそのままに照れたような笑みを浮かべて礼を言って来た。


 何だかんだ文句は言ってくるが、根は素直な奴なのだ。


 俺達、これからうまくやって行けそうだ。そう思ったのだが……。


 チャララ、チャーラララリーラー♪


「おっ? デヘヘ……!」


 懐のスマホが着信を告げ、急いで画面を確認すると、お目当ての相手で俺は思わず鼻の下を伸ばした。


「??」

「ああ、彼女から! 果林、ちょっとごめんな? ああ、南ちゃん?」


 思い切り不審そうな顔の果林に小声で告げ、俺は廊下に出て、最近出来たばかりの彼女でカフェ店員の可愛南かわいみなみ(22)ちゃんの電話に応対しようとすると……。


「っ……!!|||||||| あらっちゃんのバカァッ!! 大っきらい! うわあぁ〜んっっ!!びえ〜んっっ!!」


「ぶえっ……!? どした? 果林??」


 果林に突然大泣きされて、その後宥めるのが大変だった。


 それから、果林とは9年もの長い付き合いとなったが、時々こんな風に情緒不安定になり、マネージャーの仕事も楽じゃないと苦労を噛み締める事になるのだった……。


✽あとがき✽


過去編《新視点》を見守って下さりありがとうございました!


執筆の途中で、やはり果林視点もいるかなと思いまして、過去篇《果林視点》を本日17:00に投稿させて頂きたいと思います。


飛ばしても話の流れが分からなくなることはないと思いますが、新の言動に対して微妙な反応をしていた果林の心中はどうだったのかという答え合わせになりますし、最終話では果林の芸名の由来が明らかになります。

24〜28話、5話分(一万文字程)一挙公開となりますして、ご興味ある方はご都合よい時にご覧頂けると嬉しいです。


29話(明日 12/24 12:00投稿)からは現在に戻りまして、二人の関係はどう変わっていくのか見守って下さると有難いです。


今後ともどうか宜しくお願いしますm(_ _)m


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