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結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?   作者: 東音
第三章 外堀は埋まっていたってマ?

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変わるところ、変わらないところ

「ううっ……。俺は童貞ぢゃないっ……」


「あらっちゃん。もうすぐ、ご飯でき……童貞ぢゃないんだ……。|||||||| 誰と卒業したのかな〜☠」

「ひっ。果林……!||||||||」


 居間のこたつに突っ伏し、最近のSNSの動向を嘆いていたところに、台所からお玉をもったエプロン姿の果林が顔を出し般若のようなオーラを纏ったので、俺はヒュンッと違う玉の竦む思いがしてしまった。


「新ぁ! アンタ、思ってる事そのまま言うのやめた方がいいわよ? せっかく果林ちゃんが、夕食の準備手伝ってくれてるってのに……」


 果林の後ろから、割烹着姿に両手にカセットコンロを持った母さんが、呆れたような声を出した。


 12月初旬──。


 俺は果林と共に、結婚の挨拶の為、実家に帰省した。


 1月17日からルミナス☆ミの果林卒業コンサートが始まり、年末年始は準備やレッスンに忙殺されそうだったので、このタイミングしかないと思ったのだが……。


         ✽


「もぉ〜! 聞いてよ、澪ちゃん。ウチ達、婚約したばかりだっていうのに、あらっちゃん、自覚なくノンデリな発言ばっかするんだよ〜」


「それは、お兄が悪いね!」

「ばっぶ〜!」

「新! 果林ちゃんを泣かせたらダメだろう!」

「フガフガ、フガガ……(またやらかしたのか。清はしょうもないのぅ……)」


 家族で食卓を囲み、すき焼きをつつきながら、文句を言う果林はすっかり家族の一員となっていて、同調した家族皆(心なしか、しゃべれない筈の始まで)に責められ、俺は身の置所がなかった。


「いやいや、悪かったって……。ホラホラ、果林、お肉火が通ったみたいだぞ〜。いっぱい食え〜?」


 焦りながら、箸で果林の取り皿に肉を置いてやろうとすると、隣の席についている果林はプクッと頬を膨らませた。


「あらっちゃん、都合が悪い事あると、す〜ぐご機嫌とって誤魔化そうとするよね?」

「ま、まぁ、アイドルのご機嫌取るのは、マネージャーの責務だからな!」

「今はマネージャーじゃなくて婚約者っしょ! 機嫌直したかったら、あ〜んして!」

「はいはい、果林ちゃん、あ〜ん♡」

「あ〜ん♡ はむはむ……。あっ。うまぁっ……」


 命令により、口までお肉を運んでやると、果林は小動物のように口を動かし、癒されたような笑顔になった。


「しょうがないな〜。ママの買って来てくれたおいしいお肉に免じて、この辺にしといてやるかな?」 


 やっと許してもらえたようで、ホッとしていると、母親がその様子を見て、感慨深そうにふーっと息をついた。


「あなた達、前から仲はよかったけど、まさか本当に結婚する事になるとはね〜。9年前、新が果林ちゃんを家に連れて来た時には想像もつかなかったわ〜」


「俺すら、つい最近まで予想もしなかったぜ……。あの時の果林は、今よりずっと痩せて、尖っていて、毛を逆立てた野良猫みたいだったよなぁ……」


 母親の言葉に過去の果林を思い浮かべ俺もウンウン深く頷くと、果林は口元に両手を当てて困ったような顔でこちらを見上げて来た。


「ううっ……。昔のウチの事はあんまし言わないでよぉ。外見も性格も可愛くなかったのは、自覚してるから……」


「いや、出会った時から果林は超絶可愛かった! 俺、宝石の原石のようなお前に一目惚れをして、すぐに声をかけたんだぜ?」


「がふっ……! /// ゲフゲフッ。あ、あらっちゃん! だから、そういうの平気な顔で言っちゃうとこなんだよぅ!」


 マネージャーとして果林に向ける熱い想いを語ってやったのに、果林は咳き込み、真っ赤な顔で俺を責めて来た。


 あれから体型も部分的に大分ふっくらして、アイドルタレントとして、どんどん成長して行った果林だが、生意気な責めた事を言ってくるのに、こっちが何か言うとすぐ赤くなって狼狽えるところは昔から変わらない。


 その事に俺はどこか擽ったいような安心感を覚えながら、ふわっとした金髪のポニーテールに青い目。セーラー服姿の天使のような少女を初めて街で見かけた時の衝撃を思い出していた……。




✽あとがき✽


 読んで頂きまして、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございますm(_ _)m


次話から四章 その出会いは運命だったってマ? に入ります。


 新と果林の出会いを描いた過去編になりますので、見守って下さると有難いです。


 今後ともどうかよろしくお願いします。

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