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始まりの始まり

糊の()いた患者服の襟が首筋に当たる気持ち悪さと脇腹の痛みを同時に感じる。

右耳には1つの咽び泣く声、左耳にはピーピーと耳がつんざくような機械音が入り込んでくる。

「そういや俺は...」

そこで急にハッとして身を起こそうと試みるがそれを何かが拒む。まるでそれがお前の運命だというかのように。

「シュウ!しっかりしなさい!シュウ!」

右を向くと顔をぐちゃぐちゃにした母がいた。いままで俺のことなんかで泣いたことはなかったくせに、失いそうになって今更怖くなったのだろうか。

「いいんだよ母さん。ここからは兄さんが何とかするだろうし、何も心配ないよ。」

そろそろ限界が来ると悟った。アニメや漫画のように死ぬときには何か名言とかの伝説的なものを残したいと思っていたのだが、現実はそう甘くはなく、価値のないものはあっさりと死んでいくらしい。

もうここまで急展開だと夢かと思うが、毎回死にそうなところで目が覚めるし、これは現実なんだろう。

その瞬間、今までの人生のダイジェストが脳内に流れ込んできた。


「うぶへぇ...」

頭上から電子アラームの音が鳴る。もっとおしゃれな目覚まし時計とかインテリっぽいスマホのアラームで起きてみたいものだがうち神谷家にそんなものはない。けだるい気分で足を引きずりながら食卓へとつく。

「あれ?コウ兄さんは?」

いつもの不愛想な顔とイライラしたような声で母が答える。

「まだ起きてないの。当たり前でしょ?」

確かにもう一度考えてみると無駄な質問だが、もう少し家族のコミュニケーションというものを大切にしてほしいものだ。俺はさみしがり屋なのでこういう時にもう一人話し相手がいればと心から思う。

「ありがと」

寝室へと向かう母によってゴトンと雑に置かれるプレート。上には米が少しとほうれん草、ゆで卵しかのっておらず高校1年生の男子にはかなり少ない量だ。

俺はそれをちゃっと平らげると水で薄めた洗剤でプレートと箸を洗い、裾で拭いた後に兄の分を少し多めに盛って食卓に置く。

「おはよシュウ。俺の分も盛ってくれたのか。すまんな」

ここで唯一の話し相手の兄、コウ兄さんに話しかけられ上気分になる俺。

「全然問題ないって!ていうか洗い物も減って母さんも楽だろうしね」

兄さんは笑いながら、

「結局洗うのはいつもお前だろ」

と気軽に返してくれる。

歯を磨き、顔を洗い、着替えを済ませ、兄へいってきますを言うと歩いて通学する。

「おはよーシュウ!」

教室に入ると笑顔で出迎えてくれるのは中学からの友達の三日月アヤだ。

「おはようアヤ」

陰キャでも陽キャでもないいわゆる無キャというやつなので友達は5、6人程度だが、まったく不便はしていない。陽キャのお猿さんが騒いでいる声を聴きながら授業を受ける。偏差値は70ほどなのになぜこいつらが入学できたのかがわからない。裏口か?

「バイバイシュウ」

帰り際にも唯一の女友達、小寺ユカに話しかけられる。ルッキズムまっしぐらの高校1年女子とまあまあ仲良くなれているのはこの無駄に整った顔のおかげだろう。まあコミュニケーション能力が終わっている俺がモテるはずもないが。

こうして俺の平凡な高校生活を貧乏ながらもゆったりと送っていくはずだった。

とある事情で物語を書いたら褒められて調子に乗ってしまったので小説を始めてみました。

ど素人でくだらない物語になるかもしれませんがどうかよろしくお願いいたします。

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