五話
俺が寝ようとしたその時、突然携帯がなった。
ディスプレイには「七条愛花」の文字が表示されている
「愛花ちゃんからって珍しいな」
「もしもし…彰太くん?」
「ああ。どうした?」
「私…修也くんにフラれちゃった…。」
「そうなんだ…。」
俺はどう声をかけて良いか分からなかった。
愛花ちゃんが電話の向こうで泣いているのに俺にはどうすることも出来なくて、でも、愛花ちゃんの事が好きなんだ。
「俺じゃ…修也の代わりになれないかな?」
「え!?」
「俺は愛花ちゃんのこと好きなんだ。」
「ふふふ・・・修也くんが言ってたことってこの事なんだ。」
俺は突然のことに驚いた。
「え!?」
「さっきね、修也くんに「話した内容を彰太に言え。」って言われたんだ。「何で?」って聞いたら「言っても良いが、彰太がどういう反応するか予想がつくぞ。」って言われたんだ。」
修也にはお見通しだったんだな、と思った。
「そうなんだ。」
「うん。自分への好意には鈍感なくせに他人への好意には気づくみたい。」
「有紗ちゃんや愛花ちゃんもそうだけどな。」
「言えてる。」
その声からもう泣き止んで笑ってるんだと分かった。
「んで、返事は?」
「んー、いいよ。」
「随分あっさりだな。」
「諦めの良さが私の良いとこだからね。」
俺らは夜も遅いというのに、大声で笑いあった。
まぁそんなことがあり俺と愛花ちゃんは恋人となった