種族
プレイヤーネーム:アリア(Lv99 Ex39600)
「……僕みたいなハンパなプレイヤーが数多くいたってわけだ」
『平均して一日に一人、罠に掛かったとのことです♪』
「それでそのLv値、Ex値かよ。で、今日、僕に勝てば、大台に乗るってわけだ。なんだか誇らしいや……」
Lv(レベル)は単純に“勝ち数”のこと。それが99ていうんだから、無敵だ。ただただ凄いの一言。
Ex(経験値)てのは、これも単純に、“累計ライン長”のことだ。400kmを99回も足せば、その位にはなる。
『特に、Ex値が4万ということになりますと、見事、“地球一周”ということに。
晴れて――
“旅人族”
認定でございます……』
「……」
種族とは以下の通り。
高い所が大好きな人たちを天使族という。
反対に海の底が好きなのが人魚族。
地中がお気に入りはヨミ族で。
高い所も深い所もダメなのが地表の人間族。
という分類方法のことだった。
じゃ、高い所も深い所もオーケーなのは?
という話になるけど、それが旅人族って、コトだった。
なるほど、地球一周分の経験を積めば、そりゃ、どこだって得意になれるだろう。
今一度、マップを確かめる。
「……アリアは、“ヨミ族”ってわけだ」
『ハイ』
「微妙に、南西エリアが広いのは、“そのため”なの?」
『ハイ。ヨミ族と言っても、好き勝手に地下を掘って移動なんか出来ません。普通に、道路を利用しなければなりませんから』
付け加えて、
『あと、“金山”を領域に含めたい、とも口にされていました……』
ヨミ族としてのプライドなのだろう。
「なんにしても、今回のゲーム。僕に勝ち目がない!」
『ノーコメント、とさせて頂きます』
「あらためて主張する。地下400kmなんて、ナンセンス!」
『マッチングは成立しています』
これは、ひょっとして神様が手伝ってくれたのかもしれなかった。
僕はこう、口走っていたのだ――
「ルールにあるだろ?“道義上感心できない”って。これ、絶対おかしいよ!」
ゲームマスター、初めて、ひるんだ様子を声に表したのだった。
『――仰るとおり、本件に関しては、運営内部でも多数の意見があるところでございます』
一縷の望みだった。
僕は、ネゴに出たんだ。
「“クレーム”がある。是非とも聞いてほしい――」
そうして僕は、ゲームマスターを、頷かせることに成功したのだった!