Ⅰ 決戦準備
ここは死刑囚が300人いる刑務所である。死刑囚は毎日朝から晩まで肉体労働をさせられる日々だった。その死刑囚の1人のロンは今日も死に物狂いで働いていた。
ロン「俺らを殺す気かよ。こんな夜遅くまで働かせて!」
ケビン「当たり前だろ。俺らは所詮死刑囚。死んでも何も思われねぇ。」
ケビンはロンにとって唯一信じれる仲間だ。何にしろ死刑囚のやつらは変なやつばかり。ここで一生を終えたくないロンだった。
ケビン「そんなことより国が俺たちに出獄のチャンスを与えてくれるゲームがあることをしっているか?」
ロン「ん?なんだそれ?そんなものがあるのか?」
ケビン「あぁ。なんでも、そのゲームにクリアした者は刑務所から出してもらえるらしい。」
ロン「ゲームにクリアするだけで?やけに話がうますぎないか?こんだけ過酷な重労働を毎日俺らにさせている国がそんなことするとは思えないが。」
ケビン「それが、本当らしんだよ。まぁなんにせよ、俺らがここから出れる絶好のチャンスだ。やってみる価値はあると思わないか?」
ロン「当たりめぇだ。俺はこんなクソみたいな生活から早く抜き出したいんだ。」
…
「集合ー!!」刑務所に響き渡った。ウィリアム刑務官だ。
ウィリアム「もうすでに知っている人はいるかもしれないが、お前らに出獄のチャンスを与えよう。」
死刑囚「マジで!?」「やったー!この生活から抜け出せれる!」
ウィリアム「しかし、ゲームに勝ったらな。」
ロン「ここから出るためなら、どんなゲームだってやってやんよ!」
死刑囚「俺もだ!」「ここでの生活で鍛えられてきた俺たちにとっちゃあ、ゲームなんか楽勝だぜぇ!」
いつもは殺伐としている刑務所内が活気に満ちた。
ケビン「ちなみに、どんなゲームをするんだ?」
ウィリアム「お前らにはAPTR-03、通称ベノムというロボットを倒してもらう。」
ロン「ロ、ロボット!?」
ウィリアム「そうさ。ベノムは外国からのミサイル落下などを防ぐ国の守護神として作られた。しかしなんらかの不具合でベノムは人を襲うようになってしまった。今は無人島に配置されている。おそらくベノムは海を越え、国民たちを殺していく。そうさせないためにお前らが倒してほしいのだ。参加するかしないかは自由だ。もちろんベノムはとても強い。なので銃を用意する。しかし予算の都合上、参加する人数が多いければ多いほど銃は弱く、食料も少ない。そしてもちろん、人数が少なければ少ないほど銃は強く、食料は多い。チームプレイか個人プレイかそれはお前たちで決めろ。期間は7日間。ベノムを倒した者には出獄プラス100億円。7日間生き延びただけでも出獄。参加したいやつは参加用紙に返事を書け。」
死刑囚「それって…俺たちがそのベノムっていうやつに殺されるってこともあるのか?」
ウィリアム「何をいう(笑)もちろんだ。お前らみたいなやつが簡単に出獄できると思うな!」
死刑囚「そんなの…できるわけねぇだろ…死ぬかもしれないんだろ…」
刑務所は一気に活気が無くなった。
…
しかし
…
ロンだけは違った。
ロンはこんな地獄のような毎日をこれからも送るなら一か八か挑戦した方がいいと思った。
ロン「おい!お前ら!俺らはどうせ死刑囚!ロボットに殺されるかに死刑囚として死ぬかの違いだろ!みんな!俺はやるぞ!」
「おそらく死刑されると決まったわけではないからではないだろうか。」知らない2人が現れた。名札にはジョージとマイクと書かれている。
ロン「どういうことだ?」
ジョージ「聞いたことあるだろう?過去に、死刑囚であるにも関わらず死刑されなかったやつが何人かいたことを。」
ケビン「あぁ、噂では聞いていたが…。だが」
ロン「お前ら、そんなの期待してるのか?」
死刑囚「可能性がないわけではないだろう?別に今じゃなくても…いつかは!」
マイク「くだらねぇな。自分が死刑されないという保証がどこにある?」
死刑囚「ぐっ、しかし…」
マイク「そんなあるかもわからないことを期待してるより、ゲームに参加して自ら死刑を逃れるようとするほうがよっぽど賢いと思うがな。ロン。俺はやるぜ。」
ジョージ「俺も同感だ。」
ロン「お前ら!誰かわからねぇけどありがとな!あとさこんなつまらない生活よりもっとハラハラドキドキしたくないか?俺らが犯罪を犯したあの時のように!」
死刑囚「言われてみれば…」
死刑囚「確かに…こんな生活抜け出したい!」
ロン「そうだろ!みんなやろうぜ!」
死刑囚「でも…死んだらどうするだよ!」
「死んだっていいじゃない。どうせあんたらいつかは死ぬんでしょ?」
高い声が聞こえた
死刑囚「女?この死刑囚にこんな綺麗な女なんていたっけ…」
女「私はやるわ。あんたらは?」
死刑囚「女がやるなら…俺らはやるしかねーな。」
死刑囚「しゃーねー!やってやるぞー!」
ウィリアム「おー!お前らやるなー!こんなやる気に満ちたお前らを見るのは初めてだ!では俺は部屋に戻る。300人全員の返事も待っとるぞ」
ウィリアムの部屋
ウィリアム部下「大丈夫なんでしょーか?あんなに大勢いたらさすがにベノムも…」
ウィリアム「ハッハッハッ。笑わせるな。ベノムは人が倒せるような弱いロボットじゃない。全員行っても全滅さー。さぁ!始めようか。300人全員の死刑を!!」
翌日
警察「お前ら、降りろ。目的地に着いたぞ。」
ジョージ「やっとか…。船酔いしたじゃねぇか。」
ロン「ここは…どこだ?」
周りには広大な海と森が広がっていた。
ケビン「見たところ、無人島みたいだな。」
ウィリアム「やぁ、死刑囚ども。覚悟はしてきたんだろうなぁ。」
死刑囚「そんなの当たり前だぜ!」「やってやらぁ!」
ウィリアム「おぉ、威勢がよくて何よりだ。さぁ早速だか、お前らひとりひとりに食料と武器を与えよう。」
警察官は食料と武器を配り始める。
マイク「缶詰2缶だと!?いくらなんでも少なすぎるだろ!それに小型銃1丁だなんて…!」
ウィリアム「人数が多ければ多いほど、銃や食料の質は下がると最初に説明したはずだ。」
マイク「くそっ!しょうがねぇか」
ウィリアム「人数分の食料と武器があるだけありがたく思うんだな。あとここは無人島だ。魚など取って食べたらいいだろ。」
死刑囚「そんな…むちゃすぎる…」
ウィリアム「それからマッチ10本入り1箱と500mlのペットボトル10本。そしてウォッチを配る。」
死刑囚「ウォッチ?時計の事か?」
ウィリアム「もちろん時計としても使える。他には現在地の把握、生存人数、そしてフレンドとなった人とは電話することができる。フレンドは5人までだがな。信用できるやつと協力しながらベノムを倒してくれ。」
ロン「信用できるやつ…か」
ウィリアム「フレンドにできる人数は少ない。慎重に選ぶんだな。」
ケビン「話はわかったが、持って動くにしては荷物が多いぞ。どこか保管できるようなところはないのか?」
ウィリアム「そうだな、全部を手で持って移動することは不可能だ。そこで、リュックサックも配るとする。」
死刑囚「おぉ!それはありがてぇなぁ。」
ウィリアム「ただ、少々サイズが大きいものでな。持って動くも、どこかに隠しておくも、好きにするといい。保管するのもいいが、何せお前らは死刑囚だ。いろんなことをやってきたやつもいるだろう。では列に並べ!配るぞ。」
…
ウィリアム「さぁ配り終えたということでゲームのルールをもう一度説明しよう。お前らには1週間でベノムを倒してもらう。7日間生き延びたら出獄。ロボットを倒した者には100億円だ!そして今は運が良くベノムはメンテナンス中だ。1時間後の10時に動き出す。」
死刑囚「あと1時間しかねぇのか!」
ウィリアム「1時間もあるではないか笑。では1時間後楽しみにしとくよ。」
ウィリアム警官は帰って行った。