表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

中世

作者: 長万部三郎太

昔々、森の奥に霊薬作りに秀でた魔女がいたという。

近所に住む村人だけでなく、貴族連中でさえも注目する謎の存在。



ある日、恋に悩むひとりの騎士は、魔女の噂を聞き森へと分け入った。


凶暴な鴉や野犬の群れを斬り抜け、魔女が棲むとされる洞穴に辿り着いた男。

彼は敵意がないことを示すため、剣を地面に置いてこう叫んだ。


「森の魔女よ! どうかわたしの願いを聞いてほしい!」


にわかに立ち込める霧とともに現れた人影。


気配に気づいた騎士はその場に跪き、こう告白した。


「わたしは領地内にいる村娘と恋仲になりました。

 しかし、互いに異なる身分。わたしの父は許してくれません」


頑なに婚姻に反対する親の心を変えたい。

その一心で騎士は危険な森へとやって来たわけだ。



「魔女の倣いである。……其方の事を、試させて頂く」



おぼろげな人影は騎士が置いた剣を拾い上げると、男めがけて振りかざした。しかし所詮は女の腕前。魔女はあっさりと騎士に組み伏せられると、その正体を暴かれた。



魔女は騎士が愛した女性であった。


騎士は女を村へと連れ帰り、その足で教会へと向かった。



「騎士の倣いである。……其方の事を、試させて頂く」



彼は魔女裁判の手続きを始めた。





(すこし・ふしぎシリーズ『中世』 おわり)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ