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これが噂のざまぁ展開?

 ―――これは先日のイグニスの槍のお話



 カインに嫌みを言った後。勇者ルーク達は、大変な目にあった。


 90Fのボスに挑もうと80Fに転移してからダンジョン攻略を開始した。


 「お荷物カインもいなくなったことだし90Fもサクッとクリアしようぜ」


 ルークが上機嫌に言う。


 「ニコラ盗賊らしく前衛を頼むわ。」


 「わかりました~しっかりと私の後に付いてきてください。」


 ダンジョンを一階一階丁寧に探索するわけではなくサクサクと進んでいく。イグニスの槍はカインがいた頃に一度90F手前まで予習しに来ているから、ある程度の情報は頭に入っている。


 と思っていた。


 「あの、地図と全然違うんですけど…。それにルークさん何度も言わせないでください。わたしより後ろを歩いてくださいよ。ここらへんの罠は一発で死ぬようなものが多いので。」


 新しく加入した盗賊のニコラが自信なさそうにパーティに伝える。ダンジョンは定期的に形を変える。たまたま変わったタイミングでダンジョンに来てしまったみたいだ。普段ならここでカインが臆病者と言われるのを承知で撤退を提案するのだがそう言ってくれる人はもういない。


 それに、どうやら迷ったみたいだ。


 「は? そんなことがあるかよ。しっかりとカインにマッピングさせたんだから。ほらさっさと行くぞ。」


 言うことを聞かずにルークが先頭に立ち、どんどん進む。


 「ルークさん広間の真ん中を突っ切って歩くのは危ないです。ってあっ! 」


 まばゆい光が部屋を包む。トラップの発動する光だ。


 ニコラがまずいですねとつぶやき、最悪のケースを想定して両手に短剣を構える。


 悪い予感は当たった。モンスターハウスのトラップだ。部屋一面に龍が5体。骸骨ロード。ウルフロードなど今までのボスとして出てきた魔獣が少なくとも30体はいるように見える。


 「チッまずいことになった。おい、ニコラ。おまえが囮になって切り開くぞ。いったん階段まで撤退だ。」


 「無理ですよ。普通これだけの数は相手にできません。囮になったら、数十秒で殺されます。」


 「何いってんだ。今までカインだったらこんなの余裕でやってたぞ。」


 「盗賊にタンク役なんて普通はできませんって。だったらルークさんが勇者なんですから、囮と殿務めてください。」


 ニコラはだんだんイライラしてくる。こんな身勝手なパーティだとは思わなかった。


 「とにかく全部を相手にするなんて無理です。撤退の邪魔になる敵だけを攻撃してどかしましょう。階段まで駆け抜けますよ。敵がきますよっ」





 「ハァハァみんなは…無事みたいだな。」


 なんとか撤退できたみたいだ。皆、階段を降りるとすぐに床に座り込む。ダンジョンを一階下るまで命からがらに死ぬ物狂いで逃げてきた。魔獣はダンジョンの階層が変わるところまでは追いかけてこない。


 くそっこんなところで足踏みするなんて。とルークがつぶやく。


 「ルークさんなに一番初めに逃げ出してるんですか、殿(しんがり)務めてくれないと。全員が死にかけましたよ。わたしの後ろを歩けって言ったのに。言うことも全然聞かずトラップにも引っかかるし。どういうつもりですか。」


 ニコラがルークを問い詰める。今にも殴りかからんとする勢いだ。


 「他のメンバーもなんでルークさんの言いなりなんですか。イグニスの槍の聞いてた情報と違いすぎます。ボスまでたどり着けないし、こんなの攻略なんて無理ですよ。」


 ニコラはイグニスの槍メンバーにも強くあたる。


 「まぁこんな日もあるだろ。」


 反省の色が一切見えないルーク。


 「おいソラ、ニコラ、全員に回復魔法、頼むわ。」


 「あのですね。盗賊に回復魔法なんで使えるわけないでしょ。」


 ニコラが心底バカにしたように笑いながら答える。


 「おまえ、回復も使えねえのか。チッ使えねえ。カインだったらボス戦までソラのMP温存するために回復魔法を使っていたんだがな。」


 ソラはわかりましたと返事をし、全員に回復魔法をかける。ソラは全員に回復魔法をかけるとMPが大幅に使用したからだろう。その場に座り込んだ。


 「それで、どうするんですか。回復役のMPも尽きている状態で、少なくとも今日はあのままトラップで召喚された魔獣は消えませんから、また数日後挑戦しに来ますか。」


 「それをなんとかするのが、ニコラおまえの仕事だろ。」


 付き合いきれない。イグニスの槍は勇者認定されていて帝国一のパーティだと聞いていた。たまたま役に立たないメンバーがいなくなったから、加入できてラッキーだと思っていたがこれだったらとんだハズレくじだ。


 皮肉の一つでも言いたくなる。


 「もう付き合いきれません。こんなひどいパーティが帝国の勇者なんて笑っちゃいます。カインがやってくれた。カインならこうだって言いますけど、現状見ると、カインさんでこのパーティは持っていたんじゃないですか。」



 「おまえ、なんにもやってねえくせに偉そうに説教してんじゃねえぞ。クソガキが。せっかくイグニスの槍に入れてやったのに。」


 ルークがニコラの胸ぐらをつかみ、唾が顔にかかる勢いで罵倒する。


 「もう言い返す気力もありません。さっさと戻りましょう。わたしは死にたくないんで。」


 「お前が決めんじゃねえよ。」


 「あのですね。言わせてもらいますけど。罠も警戒せずに突っ込み、いの一番に逃げ出すバカ剣士。タンク役も十分にこなせない指示待ちの戦士。魔法使いも僧侶もすぐにMPが枯渇する能力値の低さ。むしろ今までよくこの有様でやってこれましたね。」


 みな下を向き言葉を失っている。ぐさりと刺さるものがあるのだろう。


 「うるせぇ。ほらもう一回行くぞ。」


 「それに、反省を生かせず、特攻しようとするバカも追加で。」


 ルークが腹を立てたのだろうニコラの顔を殴る。ニコラは床に倒れ込んだ。


 「実力のなさを棚に上げて暴力で解決しようとするなんて最低です。これはギルドに報告させていただきます。」


 服についたホコリを手で払い、今日でやめます。先に失礼しますね。とニコラは言い先に転移陣で戻っていった。


 残された四人はその後、言葉が出なかった。今までは楽勝だったのに。まさかボスまでもたどり着けないという現実が重くのしかかっていた。


 それから十分はたっただろうか。


 「私たちこれからどうするの。ボス戦失敗ならまだしも、ボス戦にまで行けないなんて噂になるわ。」


 魔法使いのルキナが問う。


 「うるせえ。そんなことわかってんだよ。また一人メンバーを入れて挑戦すりゃいいだろ。」


 「うるせぇってなによ。そんなんだからあんな小娘に舐められるのよ。カインをまた使ってやればいいじゃない。今までそれでうまく回ってたんだから。」


 「今更カインにお願いするなんて冗談だろルキナ。おまえも自分の実力の無さ棚に上げてんじゃねえ。おまえが魔法で敵を一掃できていればよかった話じゃねえか。」


 ルークと魔法使いのルキナが言い争いをしている。エスカレートしたら取っ組み合いにもなりかねない。


 僧侶のソラは思った。こんなことになるなら、カインさんの追放を止めておけばよかった。今までカインさんがいたからこのパーティは回っていたんだ。今やっと気がついた。


今まで順調に来ていたことが調子に乗ってしまった原因だろう。


 誰もルークをたしなめられなかった。うまく行かないときはカインさんのせいにしていた私たち全員が悪い。


 後悔してももう遅いだろう。散々ギルドでカインをあおったと自慢そうにルークが話していたし。皆自分のことしか考えていない。カインさんがいないとパーティとして機能するなんて無理だったんだ。


 もうこのパーティはダメかも。ソラはポツリとつぶやいた。



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「親の七光りだとバカにされ帝国騎士団を追放されたので、もふもふ犬と冒険者をしながらスローライフを満喫する。戻ってきてくれと懇願されてももう遅いっ!~反逆の猟犬~

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