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ニコラの災難 前篇

 ―――これは盗賊ニコラのお話



 ニコラはイグニスの槍を一日で辞めて、盗賊団ブラックキャットに戻り、ダンジョンに潜っていた。今日は40Fの骸骨ロード攻略に向かっている途中だ。



 盗賊団ということもあり仲間は全員盗賊。ニコラ合わせて4人だ。


 「おい、ニコラ本当にこっちであってんのかよっ。」


 「もちろんよっ。私を信じなさい。」


 「チッ本当かよ…」


 盗賊の男たちはカイン襲撃で捕まり、マンゼフからこっぴどく絞られた。ミスしても助けるからと言うニコラ、ルークの約束も反故にされ3日間こってりしぼされたのだ。それからニコラのブラックキャット内での求心力はなくなっていた。


 本人はそれにも気がつかず、冒険を続けていた。


 「前も一回、骸骨ロードクリアしているし、あんたもびびりねっ」


 ニコラたち盗賊団はお世辞にも行儀が良いパーティとはいえない。通常のクエストももちろん受け持つが、ギルドを通さない闇営業も当たり前に受ける。他のパーティを攻撃することもざらにある。全てはお宝のため。それを邪魔する奴らは攻撃するルールだ。


 盗賊だけあって、罠にかかったりしない。


 ルークさんとは違うんですよっと思いくっくっとニコラが笑う。


 「何笑ってんだよ。ニコラ。」


 「なんでもないですよ~黙って付いてきてくださいっ」


 そう言うと、他の盗賊3人は着いてこない。


 「なにやってるんですかっ。ほらさっさといきますよ。足引っ張らないでくださいっ」


 男3人は目を合わせ頷く。


 ちょっと休憩しようやと言い座りだした。


 「せっかく乗ってきたのに。分かりました。これだから鍛えてないやつは嫌いですっ」


 ニコラも3人に合わせて座る。


 ちょっと先見てくるわといい一人が立ち上がり先の路地に消えた。


 「下っ端は下っ端らしく自分の仕事を分かっていて、いいですね。褒めてあげます。」


 ニコラは周りのスピードが遅くてイライラしていたが機嫌も戻る。


 念のためポーションを飲んでおこう。そう思い、口に含むと後ろから思いっきり頭を殴られた。


 「なっ何するんですか。」


 先に偵察を向かわせたはずだ。後ろから魔物に攻撃なんてされるはずがないっ!


 慌ててふり返るとどうやら。先程偵察に行った仲間の男だ。


 「ニコラっ。お前にはもううんざりなんだよっ。一々偉そうにしやがって、どんだけ偉いと思ってるんだっあ? 」


 男はすごい形相でニコラを睨む。


 「ま…待って下さい。さすがにダンジョンで仲間割れなんて洒落になりません。はっ話は帰ったら聞きますから。他の2人もなに黙ってるんですか。止めてくださいっ。」


 ニコラは後ろを振り返り男2人に話しかける。


 男二人は剣を構えてニコラを睨んでいる。


 「ジョッ冗談ですよねっ。」


 「うるせえやつだ。さっきまでの偉そうな態度はどこにいったんだよ。」


 男の一人が言う。ジリジリと三人が距離を詰めてくるのが分かる。


 「おまえはずっと俺たちのこと使えないだの、足引っ張ってるだの言ってくれたな。」


 「そっそりゃ言ったこともあるかもしれないけど、冗談ですよ~。」


 「ほぅじゃあ俺たちのこれも冗談だよっ」と言いニコラに斬りかかる。


 ニコラが4人の中で一番能力は高い。さすがはリーダーといったところだ。だが、3人相手に立ち回るなんてとうてい無理だった。三方向から攻撃をかわせるほど男たちとの力の差はない。


 必死に抵抗をするニコラであったが、ニコラは羽交い締めにされ、武器を取り上げられた。


 「おいおいさっきまでの威勢はどうしたよ? え~ニコラちゃん。」


 男たちは卑劣な笑いを浮かべながらニコラの顔を短剣でピシピシと叩く。


 「こっこんなことして許されると思ってるんですかっ。」


 「おまえがそれを言うか? 自分が金稼げるように他のパーティを蹴落としていたおまえが。」


 男たちが下品に笑う。


 「よしっ、ニコラおまえに2つ選択肢をやろう。一つ目は俺たちの奴隷になること。もちろん首輪はしてもらうぜっ。二つ目は土下座してオレたちに謝ることだっ。」


 ニコラは屈辱に口を歪めた。


 「なんですかっそれ。そんなのしませんよっ。嫌ですっ。」


 「まだ自分の立場がわかってないみたいだなっ」


 男がそうかよっと言い、ニコラのみぞおちを思いっきり殴る。


 ううう。痛みのあまり倒れそうになるが、それを羽交い締めにして倒れ込むことを許さない。


 「ちょっとやりすぎですよっ…」


 もう一度男が殴る


 「わっ分かりました。謝ります。謝れば良いんでしょ。」


 次は別の男がニコラの顔を殴る。顔に衝撃が走り、口の中を切ったみたいだ。ニコラの心は完全に折れた。


 「ごっごめんなさい。謝らせてくださいっ。」


 そう言うと、羽交い締めにしていた男がニコラを離す。


 「はぁはぁ。なっ生意気ですみませんでした。許してください。」


 悔しい。なんで私がこんなことしなきゃいけないんですかっ。ニコラは土下座した屈辱で涙が出てきた。


 「おいっこいつ泣いてやがるぜっ。」


 男たちがニコラを指差し、ギャハハと笑う。


 「まぁ俺たちも優しいからよっ。ここらへんで許してやるぜっ。」


 ニコラはホッとした。やっと開放される。今日のことは悪い夢だったんだ。もう帰ってお風呂に入りたい。


 男たちはじゃあなニコラと言い来た道を戻ってていく。


 「まっ…待ってくださいよ。私の装備返して下さい。それに置いてかないでくださいよっ。」


 「何いってんだよ。おまえはブラックキャットクビになったんだから、一人で帰れよ。もちろん装備と道具は盗賊団のものだから、返してもらうなっ。」


 「それになっニコラ。おまえ他のパーティと攻略対象がかぶった時、邪魔だからついてくるなって言って攻撃してただろ。今回はオレたちがおまえに言ってやるよっ。ニコラ付いてきたらどうなるかわかってるだろうな。」


 これ退職金なっといい薬草を一つ床に投げる。男たちはゲラゲラと笑いながら帰っていった。


 どうしよう。転生門がある階層まで9階は降りなければならない。


 盗賊一人でかつ装備無しで降りるなんて絶対に無理だ。


 ニコラは絶望に打ちひしがれて、ワンワンと声を上げて泣くのであった。

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「親の七光りだとバカにされ帝国騎士団を追放されたので、もふもふ犬と冒険者をしながらスローライフを満喫する。戻ってきてくれと懇願されてももう遅いっ!~反逆の猟犬~

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