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My Sister……  作者: レニィ
3/3

※Pixiv公式企画。『執筆応援プロジェクト~双子~』に投稿していたものです。


 URL:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15390795#3

 「……年、12月18日。試行回数1,095回目開始」

 「マイ博士、言われた通りに作りましたけど……本当にこれ食べるんですか?」

 「もちろん!3色サンドを食べないと誕生日が始まらないもの。木村くんも一つ食べる?」

 「遠慮しておきます。僕、ジャムそんなに好きじゃないので」

 「えー美味しいのに」

 私は助手の木村くんが持ってきてくれた3色サンドを口に運びながら、再起動をかけているアイの様子を注意深く見る。

 18歳の誕生日。双子の妹を奪われてから私は、忙しかった。

 妹との約束を守るために、高校も無遅刻無欠席で卒業し、大学に入ってからは、母の研究室へ入るためにあらゆる授業を取った。

 学士課程を終えたら、修士。修士課程を終えたら、博士。

 母の研究の一部を手伝っているつもりが、いつの間にか自分のプロジェクトを持つようになり、研究室ができた。

 その間に母は海外へ行ってしまった。母に一緒に来ないかと一応誘われたが、私は日本に残り続けた。

 アイの本体とデータが保存されているのは日本だからだ。

 アイの本体の所有権を買い取るのに3年。データを買い取るのに2年かかった。

 そこから、私と育ったアイを復元させようと試行させている。成果はまだ出ていない。

 私は2つ目の3色サンドを口にしてコーヒーを入れに席を少し外す。いつの間にか、ブラックコーヒーが飲めるような大人になった。

 けれど、アイはまだ目を覚まさない。

 給湯室から戻ると、丁度再起動が可能な状態になっていた。

 私は深呼吸をして、再起動のボタンを押す。

 「――アンドロイド疑似双子プロジェクト個体。固有名詞・アイ。システム、起動しました。あなたがマスターですか?」

 機械的な返事。また失敗かと肩を落とした時だった。

 「……それは、3色サンド。ですか?では、今日は、12月18日。誕生日、ですね?」

 私は顔を上げた。そこには、十何年も昔に見たきりの笑顔があった。

 アイは小指を立てて、私を見つめている。


 「おはようございます。マイ(わたしの)お姉ちゃん」


 私はその身体を抱きしめる。


 「おはよう。アイちゃん」


これにて完結です。

お付き合いありがとうございました。

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