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第八十七話 自立型ゴーレム開発 八日目前半

 ドラゴンのブレスをかわす訓練が完了した。

 すでに朝日が昇っている。

 ゴーレムは魔力さえあれば疲れることもない。今も元気に動いている。


 ただ、ゴーレムは疲れないが、魔力を供給する側は疲れる。

 開発をはじめて8日目。ほとんど寝ていない、さすがに俺も疲れてきた。


 残り時間は2日。まだまだやるべきことは残っている。今回俺自身は戦わなくともいい。限界までがんばるつもりだ。



 これまでに30体ほどのゴーレムを消費した。

 とてつもなく贅沢な使い方だがしかたがない。今回は時間がないし、新しいものを開発するときには失敗がつきものだからだ。




「よし、次の訓練に移るぞ」


 ゴーレムがうなずく。

 やる気に満ちている。なぜゴーレムがこれほど協力的なのかは謎だ。

 ソフィーナのスキルには、まだまだわかっていないことが多い。



 一度冒険者ギルドなどでくわしくスキルを調べる必要があるかもしれない。

 だがソフィーナのスキルが超レアだったら、ギルドも黙っていないだろう。超レアなのならまだいい。禁忌に触れる可能性さえある。

 

 そうなったらソフィーナは保護されるか、もしくは殺されてしまう可能性すらある。大切にされるか、脅威とみなされるか紙一重だ。

 どちらに転ぶか、ギルド職員ではない俺では判断できない。



 ……スキルのことは後で考えよう。

 今はグリーズマンとの対決に集中しなければ。




「いいか。ドラゴンの脅威はブレスだけではない。巨体から繰り出される攻撃も即死級の威力がある」


 「土操作」スキルを発動してドラゴンの形を作る。

 もちろん本来の大きさよりも小さい。あくまでも形だけだ。


「噛みつきや尻尾の攻撃もやっかいだが、一番は体当たりだ。かすっただけであの世行きになってしまう」


 土で作ったゴーレムを動かして、攻撃のまねをする。

 こうしてみると、かわいいとさえ表現できるが、実際に攻撃されるとみるだけで死を感じさせる。



「か、かわせるのですか? ドラゴンはこの建物よりも大きいのですよね?」


 ソフィーナが身震いをする。

 自分が戦うことを想像しているに違いない。


 ちょっと脅しすぎたかな。

 確かにドラゴンは強いモンスターだが、弱点がないわけではない。ダンジョンのボスにはなれないのが証明している。

 ダンジョンのボスには本当に理不尽なモンスターもいるらしいが、まだ俺は戦ったことはない。


「このゴーレムの性能ならばかわせるはずだ。あとは慣れと度胸だ」



 速度と力に関しては、そこそこの性能を持たせることができた。

 ドラゴンの速度は遅めだ。かわすだけの能力はあるはず。


 半面、今回もゴーレムの防御力は上げられなかった。耐火用の魔法陣すら書き込んでいない。一撃を食らったら終わりだ。

 もっともドラゴンの攻撃の前では多少の防御力など無に等しいが。


「俺の「土操作」スキルでドラゴンの攻撃を再現する。破壊力は遠くおよばないが、形だけは同じにできる」



「あの、ご主人様、体は大丈夫なのか? ずっと訓練をしているのですが……」


 ソフィーナが心配してくれる。


 正直、かなりきつい。

 俺のスキル自体は軽い魔力で使える。通常ならば連発しても問題ないが、これだけ使いまくるとさすがに苦しくなってくる。


 俺はソフィーナの頭に手を置く。


「大丈夫だ。まだいけるよ」


 ダンジョンでモンスターに追いかけられる時のことを思えば、この程度はなんともない。

 負けられない勝負だ。責任者は弱音を吐いてはいけない。全体の士気が落ちてしまう。


 


「ブレスをさける訓練よりもはるかに難しいものになる。ドラゴンの攻撃にはいくつか種類がある。どんな攻撃がくるのか、事前に知らせないままかわしてもらう」


 これまではゴーレムに攻撃がくると知らせてから、かわしてもらった。

 今回は知らせずに攻撃する。ドラゴンの攻撃の種類は限られているとはいえ、天地の差がある。訓練としては難易度が格段に上がっている。

 とはいえ、実戦で敵が攻撃を知らせてくれるはずもない。


 ゴーレムがうなずく。

 残りの替えの体は70体ほどだ。おそらくこの訓練で全てを使い潰すことになるだろう。



「では行くぞ。スキル発動「土操作」!」


 人間の体くらいの地面が盛り上がり、ゴーレムを襲う。

 ドラゴンの尻尾での攻撃をまねしたものだ。破壊力はないが、速度はだいたい同じ。


 ゴーレムが飛びのいてかわす。

 やるな。ブレスをかわす訓練がゴーレムを確実に成長させた。だが……。



「かわす動作が大きすぎだ! スキル発動「土操作」!」


 次は俺が作れる最大の大きさの土の塊を走らせる。

 ドラゴンの体当たりをまねしたものだ。


 態勢が崩れたゴーレムはよけられない。



 ドコンッ!!


 衝突するような音と共にゴーレムが吹き飛んでいく。

 これがもし本物だったのなら体が粉々になっていただろう。


 魔法陣が砕けながらも、ゴーレムが体を起こそうとする。


 まったくいい根性をしている。

 スキルで作られた意思とはいえ見習わなくはならない。


「体を変えてもう一度だ」


 再びスキル発動の準備をする。

 完全によけられるまで訓練は続く。



 今夜も徹夜になりそうだ。


ブクマ、評価をいただけると作者のモチベが上がります。

どうかよろしくお願いします。

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