表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/206

第八十三話 自立型ゴーレム開発 六日目前半

 魔法陣を書き込んだゴーレムが完成した。

 さすがに本職の魔術師は違う。たった4日で新しい魔法陣を書きあげるとは。



 もっとも、ゴーレム開発を始めて以来、徹夜続きではあったが。



 アレックスも戦力になってくれた。

 たとえ専門外でも、学園の職員は桁違いの基礎学力を持っている。


 俺自身もとても勉強になった。

 魔法陣を書く能力が劇的に上がった気がする。次は俺一人でも同じようなゴーレムを作れるだろう。

 


 辺境の街で開発したゴーレムと比べて、倍以上の運動性能を誇っている。

 これだけでも素晴らしい進歩といえる。低級モンスター相手ならば十分に戦えるだろう。

 

 それでも単独でドラゴンを倒すとなると、まだ戦力が足りない。さらなる改良が必要だ。




「あんた、頑丈だな。こっちはふらふらなのに」


 魔術師のリーダーは疲れた顔をしていった。

 周囲の魔術師も同様だ。すでにアレックスは数時間前に倒れてしまった。どうも頭の良さと体力は同居しないようだった。

 


「なに、体力が必要な職業に長年ついているだけだ。一か月間、まるで寝なかったこともある」


「あんたの職業って……いや、いいや。眠い。これで俺たちの仕事は終わりだな」


 リーダーは寝室の方へ歩いていく。

 足取りが怪しいかなり無理をさせてしまったようだ。


 だが、ゴーレム開発はこれから。

 まだまだ無理をしてもらうしかない。そうでなければグリーズマンのドラゴンには勝てない。



「待て、まだ仕事が残っている」


「ハッ。きびしい客だな。いってみろ。大金をもらっているんだ、できるかぎりのことはしてやるよ」


「これと同じゴーレムをあと100体作ってくれ」


 新しい魔法陣を開発しようとしたからこそ、時間がかかった。失敗したゴーレムの残骸が周囲に転がっている。

 まったく同じゴーレムを作るなら、1体当たりの時間はそれほど必要ではないだろう。ただ、100体ともなるとまた徹夜になることは確実だ。


 これからゴーレムをドラゴンに勝てるまで、強くしなければならない。

 短期間で強くするにはゴーレムの損傷など気にしてはいられない。簡単に替えの体を作れるところもゴーレムの長所である。



「……いいけどよ。あんただって土を固めるのにスキルを使うのだろう? 魔法陣を書き込むよりも、負担がでかいはずだ。大丈夫なのか?」


「問題ない」


 あえて断言する。

 上に立つ人間は弱みをみせてはならない。

 さすがに対決がはじまるころにはボロボロになっているだろうが、問題はない。今回の対決で戦うのは俺ではなく、ゴーレム自身だからだ。



 魔術師のリーダーはあきれたように小さな息を吐いた。


「すごいな。とても俺たちには真似できん。学園の教授様に勝つには、それくらいの気合が必要か」


 リーダーは歩き出しながら、手を振る。

 断る気力もないといった感じだ。この男たちは魔術師といえども雇われた人間にすぎない。本来は無理はする必要はなかった。


 それでも協力してくれるのは、純粋に俺たちを応援してくれるからだろう。



「ただし、勝てよ。勝って、貴族の連中が真っ青に震える姿をみせてくれ」


「まかせておけ。絶対に勝ってみせるさ」


「では、1眠りしたら取りかかるとしよう。期待しているぜ」


 彼らについては心配していない。

 魔法陣を書くプロだからだ。やれるといったら、必ずやれるに違いない。




 すでに窓から朝日が差し込んでいる。

 今日も暖かい1日になりそうだった。


 俺は部屋のすみで寝ているソフィーナを起こしに行く。

 ちゃんとした寝室も用意されているのだが、ソフィーナはずっと俺のそばに居たがる。同じ部屋にいないと寝られないらしい。


「んあ?」


 俺が寝ているソフィーナの肩を叩くと、薄く目を開ける。

 口の周りには少しだけよだれが垂れている。


「すまないが、またゴーレムにスキルを使ってみてくれないか?」


「あ……あ…。ご主人様!? 私いつの間にか寝てしまって」


 慌てて起き上がると、よだれを拭う。

 他に変なところがないが、急いで確認している。



 どう考えても女性のあつかい方としては間違っているな。

 対決が終わったら、改善するから許してくれ。



「ああっ! ゴーレムが完成したのですね! 大きい!!」


「巨大なドラゴンと戦う以上、多少は大きくする必要があった。速度と力を両立させるには、このくらいの大きさが限界だ」


 新しいゴーレムは人間の1.5倍程度の大きさになっている。

 これまで開発したゴーレムの中では最大である。あいかわらず茶色の体だが、体が大きくなるだけで、どことなく強そうにはみえる。



 ソフィーナが手を掲げ、スキルが発動する。


 

 ゆっくりとゴーレムが身を起こす。

 ソフィーナの方へと体を向ける。ゴーレムに意思が宿ったのだ。



「よし、ではまず俺と戦ってみようか。戦いの指導をするにも、今の実力を知らなければな」



 俺は鉄の剣をゴーレムに差し出す。

 ゴーレムは受け取る。それだけの動作でも意思がなければできないことだ。



「だ、駄目ですよ。ご主人様が怪我をしたらどうするのですか!?」


「それならそれで喜ばしいことさ」


 自分が傷つくことを恐れていては冒険者などやれるはずもない。

 戦うのは嫌いではない。今もわりと楽しさを感じている。



 俺も剣を持つ。

 ゴーレムと向かい合う。


「さあ、かかってこい。お前にはあと4日で、ドラゴンに勝てるようになってもらわなくてはならないぞ」


ブクマ、評価をいただけると作者のモチベが上がります。

どうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ