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第5話 百万 一与 ⑤

 惟神ジンの使い手には、当たり前だが熟練度じゅくれんどに差がある。


 鍛錬たんれんで差がつくのは勿論もちろんだが、血統や後天的な覚醒など、惟神ジンにはまだまだ未解明な部分が多く、測り知れていない。


 よって生魂いくたま神社では、くらいという指標で明確に区分している。


 位の順は上段から順に、特級、一級、二級上 、二級、三級、四級、補佐、としており、服装からも位の違いも見て取れる。


 二級上以下は神章じんしょうといわれる記章バッジを身につける事を義務付けられている。神章は八つ国(やつくに)国使こくしである白い鳩を、級位きゅうい別に模様分もようわけされている。


 また、今現在の八つ国(やつくに)には特級に属する人物は存在していない。必然的に一級が存在を確認できる最上位となっている。


 その一級の位に代々ついているのが、久々能智くくのち一族であり、国家単位で認めている天才の家系と言われている。


「早速じゃが本題に入るぞ」


 八千矛ヤチホコがそう告げると、|超低空電動立ち乗りスカイボード(電スカ)から降り、そのままボードに腰を掛け禅を組む。


「イチ、カイエンからハレヒメの安否は聞いておるな?」


「はい、生きていると …… 」


「うむ、今は生きておるはずじゃ。ハレヒメの事を伝えるには色々と順を追って話さなければならん。さて、ハチモンや」


 八千矛ヤチホコは、後ろの長机の横で全ての準備が整い控えていた、先ほどの不安の残る青年を呼び寄せた。


「こやつはワシの世話役《補佐》じゃ、名を八門 転(ハチモン コロビ)(通称:ハチモン)という。神職の者はみな知っておる」


 先ほど、くらいの級位を伝えたが、四級より下に位置する補佐は少し特殊で、特級から四級まで、その者と契約さえできれば、どの級位の補佐にでもなれる。


 よって補佐の中にも暗黙の階級のようなものが存在するが、あくまで暗黙であり国からの認知はされていない。


「イチヨさん、トーレさん、初めまして。八門 転です。よろしくお願いします。」

 

 八門ハチモンが挨拶をする中、イチは先ほどの書類ぶちまけシーンを思い出しながら、名前負けしてない人だなと頭を過ぎったが口には出さなかった。


「ハチモン、早速じゃが始めてもらえるかの」


「かしこまりました」


 ハチモンは指先をすっと空中に固定すると、何か文字の様なものを描き始める。


 次第に描きながらも、指先から薄っすらと読み取れるような光を放っては、それは揺らぎながら消えていく。


 辺りの空気が明らかに変わり、イチは数秒前までの頼りない青年とのギャップに驚きながら、先ほど頭をよぎらせた内容に、素直に謝罪した。


 ハチモンはヤチホコの方に目を向け確認すると、軽くうなずいてから目を閉じ、深く呼吸をしたのちに、ことを発した。


零式無尽ぜろしきむじん! 」


 —— |BaLiBaLiBaLiバリバリバリ


 ハチモンが発した途端に、ビリビリと空気が緊張に包まれた。


「なんだ …… 体が震えて、肺が、呼吸がしにくい …… 苦しい …… 」


 イチは即座に自身の体の変調を感じ、その場で倒れてしまいそうな、意識を保つ事すらが難しい状態に陥った。


「おい、イチこら! 授業でやっている事だろう! 散らばっている気持ちを体の中心に超極限的に圧縮するんだよ! ジンに当てられて意識トぶぞ!」


 カイエンの言う事を、イチは出来る限りで実践すると、幾分か呼吸が楽になった気がした。


とびらか …… 」


 トーレがボソッと呟いた


「 …… ひらきます!」


 ── BaChiN(バチン)ッ!


「なっ......」


 体の拒絶反応からなのか、イチが座りながらも後ずさりをする。


 強烈な乾いた破裂音と共に、突如とつじょ目の前に現れたのは、先ほどの()()()()()()()だった。

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