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5.雑貨屋「パステル」

もう少しで完結します。それまでお付き合い頂けたら幸いでございます。



私たちが雑貨や向かう中、唐突にだが自己紹介が始まった。


「あ、そういえば蓮とは初めましてだよね?ほら、早く友ちゃんに自己紹介」


 蓮と呼ばれた男の人の声をバシバシ叩きながら催促する名良橋先輩。


「叩くな、叩くな。全く……えっと、初めまして、こちらの友達の錦木蓮(にしきれん)っています。よろしくね」


「よろしくお願いします錦木先輩。私は御守友です。東谷先輩と名良橋先輩とは夏休みの前のボランティアで会いました」」


二人の友達なので私が先輩たちと出会った時の事も言った。……何だかんだ言っても私はまだ緊張しているようだ。


「あーやっぱりあのボランティアで一緒だった子かー。実は俺もあのボランティアに参加してたんだよね。まぁ、2人とはバッチリは別れちゃったんだけど。終わった後にね、2人から御守さんのことを聞いてね、会ってみたいと思ってたんだ」


何をどんなことを聞いたのか気になり、質問してみたが内緒にしとくねと言われて結局先輩を教えてくれなかった。

そんなこんなを話しているうちに私たちは目的地である雑貨屋「パステル」到着した。

 「パステル」とは和洋折衷の雰囲気の雑貨屋だ。なので女の子のほうの人気が高いお店でもある。文房具から小物まで意外に何でもそれっていてそれも人気のうちの1つなんだろう。


「先輩方は何を買うんですか?」


 店の中に入ったタイミングでそう聞いてみた。この3人がなにを買うのか少しだけ興味があったからだ。


「私は特に決まってないかな、ざっと見てみて気に入ったのを買うつもり」


「お前はいつもそうだなぁ。だから余計なもの買っちゃうんだよ。あ、俺は文房具類かな、買うとしたら。朔は?」


「僕は小物類かな。あ、あとは妹にも何かお土産をば」


 この時点名良橋先輩が教えてくれたのだが妹と言うよりも姉にしか見えないんだとか。とてもしっかりしている子らしくたまたまあった先輩は「お姉さんいたんだ」と言ってしまい本人は気にしていたと後で東谷先輩に言われたんだそうだ。


「友ちゃんには私から何か買ってあげよう!」


私が何を買おうか迷っていたら、先輩はそう先に宣言をした


「……いやさすがにそれは悪いですよ。私の分は普通に買います」


「いや、私に出させて、お願い。折角、友ちゃんと友達に成れたんだし、その記念ということで」


 この通りと両手を合わせられてお願いと言われたら断る訳にもいかずに私は了承した。すると、ありがとうと言って私に抱きついてきた。

 先輩たちのあとを着いて行きながらこの店は本当にに品揃えが多いなと思わされた。駄菓子もうっているし、靴までも売っている。服も男物と女物も揃っているし、お高い万年筆なんてものまである。種類の多さに目移りしてしまう。

 先輩たちが順調に買うものを決めている中、私はまた決めきれずにいた。


「……うーん、どうしようかな」


 歩きながら一通り周りを見て回った。そしてふと、目に付く商品があった。吸い寄せられるように私は近づいて行く。


「ガラスペン……。綺麗」


 透明と言うよりも若干青みがかったペンのようなものが並んでいた。今まで鉛筆やボールペンなどの文房具しか知らなかった私には、このガラスペンなる物はとても輝いて見えた。


「……買おうと思ったけど、これは流石に高すぎかな」


 これにしようと思ったけどさすがに5000円は今の私にはちょっと高すぎた。しばらく悩んでいたが諦めて別のものにしようと思ったら、声がかかった。


「それ、綺麗だよね」


 東谷先輩だ。いつの間にか近くに来ていたよ。


「僕も持っていて、たまに使っているんだけどそれで文字を書くとなんだか普通の手紙とかなのにさ、別の手紙に思ってくるっていうか……とにかくなんだか楽しくなるんだよね」


私にそう力説する東谷先輩は話の途中から少し恥ずかしそうにして言葉を送った。その先輩を見て、ちょっとだけ無理をして買おうと思った。お小遣いは多い方ではないが、買えなくもないのだ。そしてペンを手に取ろうとした時、隣にいた先輩が私よりも早く商品を手に取った。


「皐月の真似ってわけじゃないけど、僕にも何か記念てことで贈らせて」


そうこちらに笑いかけながらレジに向かっていった。私はあっけにとられてしまって全く動けないでいて、はっとしたときには先輩は会計を済ませて戻ってきているところだった。

綺麗に包装されたそれを手渡され、まじまじと見てしまう。私は急いで先輩にお礼を言った。


「あっ……東谷先輩!ありがとうございます。でもっ、こんな高いもの、どうしたらいいか……」


5000円のものを今まで使ったこともなかったしもし、ましてやそれは異性からの贈り物なんてこともなかったのだ。今の私は目に見えて慌てているだろうとわかる。

そんな私を見て、クスリと微笑んでから大丈夫だと言われた。


「ほんの気持ちみたいなものだから大丈夫だよ。受け取ってもらえると嬉しいなぁ僕は」


 そんな風に言われてしまったら受け取らない訳にもいかないので、お礼を言って包装された箱をそっと胸に抱く。


「ーーありがとうございます、東谷先輩。大切にしますね」


 うんと相槌を打ってまた微笑む先輩。そして先輩と一緒にこのペンに合うインクを選んだ。ちなみにこのインクはちゃんと私が買った。

 風季のお土産は、キャップ式のシックな黒のボールペンにした。

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