9-4.大観戦!神々の道楽!!GODAと謎の赤ちゃん!!
【デンジャラシティ 神々の道楽メインステージ】
巨大な円形ホールの真ん中には、壮大なコンサートが開けるレベルのステージがあり、そこには四人の熟練と思われる魔法使いが登壇する。ステージの周りには1万程の客席があり、その殆どが埋まっている。その客席の中に、ロッカ達も座っていた。ステージの上の魔法使い達を見て、歓声が上がる。
観客達「カオスタイム!!カオスタイム!!カオスタイム!!カオスタイム!!カオスタイム!!うおおおおおおおおおおおお!!」
ホール内のスピーカーから声が聞こえる。
実況「皆さんお待ちかね、本日のメインデッシュ!!カオスタァイム!!強き者達の乱戦をご覧あれ!!ルールはお馴染み『殺さなければなんでもOK!!』と言うわけで、早速始めようじゃないかぁ!!」
スピーカーから聞こえてきたのは、このカオスタイムを盛り上げる実況の声だった。ロッカ達はワクワクした表情で席を見上げる。
ごら子「よく見ておきなさい、私達は明日からあのステージに立つことを目指して戦いまくるの」
ごら子がロッカへと語りかける。そう、もう皆さんは分かっているだろうが、神々の道楽とは、デンジャラシティで日々行われる、なんでもありの闘技大会の事である。
観客「3!」
観客「2!」
観客「1!」
観客「カモンファイト!!!!」
テレンテンテレレ♪テレンテェン♪トゥル♪ツッツクチーツッツクチーツッツクチー♪
熱いBGMと共にステージ上の四人が動き出す。その中の一人、ボウズにサングラスをかけた男が何かを唱え始める。
ボウズ「灼熱の熱帯雨林に出来た深い影の下泥濘地。迷いこむ挑戦者を無慈悲に呑み込め、快満!!」
ボウズの目の前の床がドロドロに溶け、そこから巨大なワニが現れる。茶色がかった緑のゴツゴツとした肉体だ。ワニは自分の視界に最初に入った、ブランド物に身を包んだ女性に向かって、目にも止まらぬスピードで突っ込んで行く!!ブランド品女性は、その身につけている物の一つ、ネックレスをクビから外し、ワニへと投げる。するとそれは大爆発し、わにをぶっとばした!!
ブランド品女性「私の輝きにひれ伏しなさぁい!!!モーホッホッホッホッホ!!」
吹き飛ばされたワニは致命傷を受けたようだ。
赤ちゃん「アーッ!!!アーッ!!アァハァン!ウェーン!!アーハーッン!!エヘッ!!」
突然大きな赤ちゃんの鳴き声が聞こえてくる。会場の熱いBGMの音をかき消すように大声で泣いている!!この赤ちゃんは、ステージ上にいるプレイヤーの一人である、頬に『諦めるな』という刺青が掘られた男の腕の中にいた。男は赤ちゃんを怪している。その隙をつくように、黒くて刀のように長い爪を持った男が、その爪で思いっきり刺青の男を引っ掻く。が軽快なステップで刺青の男が回避していく。
刺青の男「まったく、育児中に邪魔をしてくるとは、頭おかしいんじゃねえの?」
爪の男「いやいやいやいやおいおいおいおい!戦いの場で育児してる方がおかしいんじゃねぇのかぁ?」
刺青の男「働き方改革ってやつだよ。どんな時でも親が子供の面倒を見るのは普通の事さ」
爪の男「フン!ふざけたヤツだ、そんなに子供が大事か!だったらその大事な物、奪ってやるよォォォォ!!ギャハギャハ!!」
爪の男が、赤ちゃんに向かってその爪をつきつけようとする。しかし、その手前で赤ちゃんはピタッと泣きやみ。
赤ちゃん「天上天下唯我独尊」
と言った。その瞬間、爪の男は魂を抜かれたような素振りで、上を向きそのまま立ち止まってしまう。戦意喪失だ。これは、赤ちゃんによる力なのだろうか?
刺青の男「おーエライエライ、よしよーし」
赤ちゃん「エヘッエヘッ!ピャー!!」
先程のことが嘘だったかのように赤ちゃんは無邪気に笑っていた。そして刺青の男が、完全に立ちながら意識が飛んでいる爪の男を軽く平手で押すと、バタっと倒れ、そのまま立ち上がらなくなった。
実況「ダークネスネイリー!!GODAのベイビーの力によって戦闘不能!!敗北!!」
観客「うおおおおおおおおおおおお!!」
黒子の格好をした、スタッフと思われる男四人が、倒れた爪の男……ダークネスネイリーをステージから運びあげ、医療室の方へと向かっていった。
ボウズ「快満ッ!」
ブランド品女性「モ!モーホッホッホッホッホ!」
女性が身にまとっていた装飾品は、戦闘開始以前と比べると、半分以上減っていた。かなり消耗したようだったがボウズの呼び出したワニを完全に倒したようだ。ボウズは両手を上げる。これは、ドロップアウトのサインだ!
実況「アリゲート!快満を失い、勝負を諦めたぁ!潔いぞー!これで残るはジャルジャルジュエルとGODA!!仁義なきタイマンが始まるー!!」
坊主の男、アリゲートは自らステージから降り、選手控え室へと帰っていく。ブランド品女性、ジャルジャルジュエルは客席へと勝利のアピールをする。そして赤ちゃんを抱えた男GODAはそれに対して、観客のことなど気にせず赤ちゃんをあやしている。
ジャルジャル「さて、一気に決めましょう!!ルビー!サファイア!エメラルド!ダイヤモンド!パール!プラチナ!!」
実況席「なんだなんだー?ポコモンの3世代と4世代の作品を連呼し始めたのかぁ!?」
ジャルジャルは、今口にした宝石を指の間に挟むようにして構え、右手に挟んだ物、左手に挟んだ物と順番にGODAに向かって鋭く投げる!!
ジャルジャル「モ、モーホッホッホ!!これがワタクシの最大火力!かつて魔女として超級凶魔獣を一撃で葬った一撃よぉん!!」
宝石達が光を放ち爆発しようとする。アリゲートと同じようにGODAもこの超火力にやられてしまうのか!?
赤ちゃん「諸行無常」
その瞬間、投げられた宝石たちは全て、輝きを失いポトンと地面へと落ちてしまった。ただの石ころになってしまったようだ……
ジャルジャル「ワタクシの宝石達が……ど、どうして……どうしてなのぉぉぉぉおおおおお!!」
赤ちゃん「ウェーヒヒ!アーハーン!!」
GODA「よく出来ましたー!偉い偉い!」
ジャルジャルに残された宝石はあと僅か、彼女は身にまとった全ての宝石をGODAに向かって投げる。またもや赤ちゃんの力によりそれは無効化される……と思いきや……
GODA「後はパパがやりすからねー」
赤ちゃんを抱えながらGODAは猛スピードで宝石をジャルジャルの方へと蹴り返す。そして、ジャルジャルの目の前に飛んでいった瞬間に大爆発!!
実況「な!なんと脅威的なのは赤ちゃんだけでは無いぃぃぃぃぃいいいいい!?GODA本人も恐ろしい身体能力を持っているぅぅうううううう!!」
爆風がゆったーりとほのかな風に流されて消えていく。そしてそこには、気絶したジャルジャルの姿があった。
実況「お、おっとー!!ここで決着ーっ!!勝者はGODA!そして、彼の赤ちゃんだーっ!!!」
実況に合わせて客席が盛り上がる。うおおおおおお!!歓声が上がり、会場からヒバナや花吹雪が飛んでいく!
ロッカ達もこの戦いを見て盛り上がっていた。
エコロ「あのGODAって奴、一体何者?どういうタイプの魔法なのか、私にも分からない……」
マフィン「人を見るだけで魔法を判別できるエコロでも、あの人の力の原理は分からないの?」
エコロ「悔しいけどね」
モヤモヤしているエコロと、その隣に座っていたマフィンはそう話していた。
ヨコミ「やはり、神々の道楽は素晴らしいな!熱いぞー!!」
ロッカ「スカッとするにょぉぉおおおお!!」
ごら子「さて、明日から私たちも、ここで戦うことを目指して切磋琢磨していくのよ」
今、メインステージで見ていた試合は、神々の道楽のトップ100以内に入るもの達が4人で戦う特別戦『カオスタイム』で、基本的には、こことは別に複数ある小さなサブステージで戦い、自身のランキングを上げて行くのが普通だ。
ごら子「ちなみに私はここでは55位に入っているわ。皆も早くここまで登って来なさい」
メメイ「ごら子師匠!?既にランカーなんですかぁ!!スゴすぎるぅー!!」
ごら子、少しだけドヤる。
ロッカ「にょっにょっにょwすーぐにトップ100に入ってやるにょー!!」
ヨコミ「ワタシに負けた奴が良く言う代。頑張ってみな!」
ロッカ「またなんか言ってきやがった!こーの水色雑巾!!」
ヨコミ「雑巾!良いじゃないか!」
何が良いのか分からないが、気に入ったようだ。何故かさっきのごら子よりドヤ顔をしている。それを黙々と見ていたエコロは、この神々の道楽のランキングで1位を狙っていた。まほ検まであと十日。この場所で実力を思いっきりあげるための戦いが、始まる。




