8-5.失った亀の思い出を取り返せ!!ヨコミVSガメディオス!!
前回までのあらすじ
明かされたヨコミの過去
亀との悲しい別れを経て、彼女は魔女になったのだ
――時間は現代へと戻る。
広い草原。ヨコミの目の前には巨大な翡翠の甲羅を持った二足歩行の亀の合成凶魔獣が立っていた。
ヨコミ「まさかキミは……アレックスなのか?」
亀「そうなのかもしれないな……俺はお前と何処かで出会った記憶が僅かながら残っている。きっとこの記憶は俺と融合されたエメラルドタートス……それはお前の言うアレックスなのかもしれない」
ヨコミ「肉体はアレックスで中身はキミというわけだな?因みに君の名前はなんて言うんだい?」
亀「名前?そんなモノ、きっと無いだろう。Dr.チャーリンより授かった名前の事を言うのならそう……ガメディオス」
ヨコミ「そうか、ガメディオス!キミには悪いが今からワタシはキミを倒し、アレックスの肉体を返して貰う事にするぞ!」
ガメディオス「こちらこそ申し訳ないが、凶魔獣の本能には逆らえないようでね、お前を殺す事になる」
ヨコミ「上等だ!!チョッキンクライシス!!」
手のひらを広げ空へとかざすヨコミ。すると空中に巨大な魔法陣が展開される。そしてその魔法陣から無数のハサミが現れ、ガメディオスに対して降り注ぐ。今までヨコミが同時に出す事が出来たのは巨大なハサミ二本だけだったが、合宿の特訓により、ハサミの大きさや数などを調整し自由に扱うことが可能となったのだ!!
ガメディオス「エメラルドタートスの甲羅は鋭利な刀の斬撃すらも通さない……そのようなありふれた刃、いくつぶつけられた所で何も変わりやしない」
ヨコミ「本当かな?もう一度考えてみよう」
甲羅にこもり攻撃を凌ごうとするガメディオスだがその瞬間、全てのハサミたちが縦を軸に高速で回転し始める。
ヨコミ「ハサミは決して切る為だけのものじゃないんだ。さあ!!掘れ!!」
ガメディオス「なんだと……っ」
高速回転するハサミはドリルのようにガメディオスの甲羅を削る。甲羅の硬さは確かに固くハサミ1本で1センチ削れているかといった所だが、それが何発もとなると話が変わってくる。このまま甲羅にこもり続けていれば、ハサミの一本が甲羅を貫通するのも時間の問題だ。ヨコミはそのままチョッキンクライシスを続行する。
ガメディオス「まさか、ここまでやるとはな。魔女の強さを侮っていたよ。もう、余裕を見せている場合でもないな」
ガメディオスの全身から魔力が溢れている、。の魔力の性質は、ナナバの豊穣の魔法を思わせるものだった。そして、さらに魔力が開放される!!
ガメディオス「貴方と私の小さな海!!」
ヨコミ「な!?なんだ!?」
一瞬の揺れの後に、地面から激流が空へと解き放たれる。ガメディオスとヨコミは共にその激流へと巻き込まれた!!
ヨコミ「ブババボボッバンバ!?(何が起こったんだ)ボベバボッバイ?(これは一体)」
ヨコミは水中にいた。しかし、周囲を見渡すと草原が見える。地上が水没したのだろうか?いや、それは少し違う。ガメディオスの使った、貴方と私の小さな海は体積5000km3程海水がたっぷりと入ったの水槽を作り出し、自身と相手一人を閉じ込める魔法である。ヨコミは強化魔法により肺活量を底上げをし、水中での三分程の活動を可能にした。されど三分である。
ヨコミ「ババブベバベベバ!!(早く出なければ)」
早急に水槽を破壊しこの空間から脱出するか、ガメディオスを倒すしか生き残る方法は無い。これ程大掛かりな魔法は一度撃つだけで、かなりの魔力を使う。ヨコミはこの危機を脱して生き延びる事が出来るのか!?
ヨコミ「ぶぼぉぉぉぉぉ……!?ぶわぁ!!」
ガメディオスに背を向け全力で水槽の端へと泳いでいくヨコミだったが、直ぐにガメディオスに追いつかれ、硬い甲羅でタックルされてしまう。
ガメディオス「亀の泳ぎは早いんだ。少なくとも人間よりはな。さあ、このまま沈むと良い……」
タックルで真っ直ぐとヨコミをつき飛ばす。そして旋回、再びヨコミの方を向いてタックル!旋回!タックル!旋回!タックル!旋回!タックル!旋回!タックル!反撃を試みるヨコミだが、動きづらい水中で一手遅れる。連続でタックルを受け続けていた。
ヨコミ「ビ!バ!バ!ビ!バ!ボ!ブ!」
しかし、ヨコミにも策があった。そう、おなじみ日替わり魔法だ。ダメージを喰らいながらもなんとか日替わり魔法を発動したのだ!!何が起きるか分からない日替わり魔法……果たして今日は何が出るのだろうか!?
ガメディオス「何……俺の身体が……動かない!?」
ヨコミ「バッダバ!?(やったか!?)」
さっきまで高速で泳いでいたガメディオスの動きがピタッと止まった。しかし何故なのだろうか?特に何かが出てきたわけでも無いのに、身体は動かなくなったのだ。
ヨコミ「ボビバ……ベバビベビバベー?(もしや、世界平和デー)」
9月21日、停戦と世界平和を願って制定された記念日だ。つまり停戦の力がガメディオスの攻撃の手を止めたのである。ヨコミ自身も、攻撃に転じるような動きをすると止められてしまうのがその証明であろう。水中で完全に固まってしまったガメディオスの前をすれ違い水槽の端へと泳いでいくヨコミ。ハサミを生み出し、それを使って浅い切り込みを入れて行く。その切り込みハサミの片方の刃を無理やり食い込ませた。力を込めガラスカッターのようにゆっくりと水槽に線を入れていく。あと少しでガラスに穴を開けられる。
ガメディオス「うおおおおおおおおお!!」
だがその時、ガメディオスが再び突進してくる。日替わり魔法によって発生していた停船の力が切れたのだ。ヨコミの背中を目掛けて物凄い勢いで突進するガメディオス。それにハッと気づいたヨコミは全ての力を振り絞り回避!!下へと思いっきり沈んだヨコミの頭上を高速で通りすぎるガメディオス。その先にはヨコミが線を入れたガラス面がある。線が入り割れやすくなった部分に甲羅が思いっきりぶつかる。バリン!!と大きな音がなった。水槽が思いっきり割れ、その穴から水がザザザー!っと滝のように吹き出る。それに流されヨコミとガメティオスは水槽の外へと吐き出された!!地面に落ちる手前、ガメディオスは殻に籠り、身を守っていた。流石の硬さだ。甲羅が割れたり身体にキズが入ること無くしのぎきった。しかし、ガメディオスの魔力はもう殆ど残ってなかった。貴方と私の小さな海による消耗はかなり大きなものだった。ガメディオスは全ての足を真っ直ぐと地べたに伸ばしてぐったりとした。意識が朦朧としているように見える。
ガメディオス「流石は……ヨコミだ……」
ヨコミ「今ワタシの名前を……と言うことはやっぱり!!なあアレックス!!聞こえるか!?」
ガメディオス「あぁ……おおぅ……」
ヨコミ「アレックス!!アレックス!!」
名乗っていない彼女の名を呼んだガメディオス。アレックスだった時の記憶と意識、あの日の思い出が少しずつ蘇る。
アレックス「ヨコミ……ずっと会いたかった……」
ヨコミ「ワタシもだ!ワタシだってそうさ!!水辺を見る度に、亀を見る度にキミの事を思い出していたんだぞ!?」
アレックス「嬉しいな……そんなに大切に覚えていてくれたんだ」
ヨコミ「……当たり前だ!!」
涙ぐみながら、ヨコミはアレックスを抱きしめた。少し傷ついてしまった硬い甲羅を、柔らかく……
次回予告
戦いに疲弊したロッカとエコロの前に
ついに黒幕現る!!




