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2-35 俺流JAOチュートリアル8

(注意)本日は2話投稿しています。前回の話を読んでいない方は戻って確認をお願いします。


ゲームシステムの説明が多い話です。苦手な方は流し読みしてください。

「武器のカテゴリーについて説明する。武器は、刀剣、短剣、長柄、鈍器、投擲、杖の6種類のカテゴリーに分類される」


「武器の画面のアイコンで分かるやつだよね」


「ああ。で、まずは刀剣だな。叩、斬、突、3つ全ての特性で攻撃できるものが大半だ。しかもATKが高め。耐久力も高い。後はまぁ、普通だな。意外に使うのが難しいから、しっかり練習しろよ」


「練習するっ!」



「短剣。WEIとCAPが段違いに小さく携帯性は非常に優れている。DRAとSDRA、特にDRAが小さく耐久性に難がある。だから、サブウエポンとして使われるのが普通だな」


「投げるのが専門じゃなかったんだねー」


 メマリーが感想を言う。投擲武器でもあるまいし。


「タイラン商会の短剣って耐久が組み込まれていないから、投げるくらいしか使い道がないんだよ」


「マジかよ、サエラ……。投げるの専門ってそれこそ投擲武器で十分じゃねーか」


 さすがタイラン。武器の個性を見事に殺している。


「威力だが、CATは普通。SATはいまいち。叩ができない武器がほとんど。WDLとRANが短いので小回りが利く。だから、相手の攻撃をブロックしやすい」


 WDLというのは攻撃後の硬直のことだ。



「長柄。RANが長いので遠くから攻撃を当てることができる。遠くから攻撃できるっていうのは大きいぞ。敵に何もさせることなく倒せるんだからな。しかも、簡単に」


 実際、刀で槍を相手するには3倍の技量が必要だと言われていたぐらいだ。戦国時代の猛将はみんな戦場では槍を振るっていた。JAOでも最強のカテゴリーは長柄だ。


「パイクもトロールの長柄も長かったもんねー。それ、よく分かるな~」


 メマリーが目を閉じて、うんうんと納得する。


「だが長柄は、他のカテゴリーの武器のようにRAN=EFRANにはなっていない。ということは、EFRANの内側に入り込めば、相手はピンチになる」


 このことは当然、トロール攻略の鍵だ。メマリー、気づいてくれよ……。


「さらに、WEIとCAPが高く携帯性に難がある。RANが長いので、装備制限にひっかかる」


「装備制限は知ってるよ。ダンジョンの中では長い武器は使えないこともあるんだよね」


 メマリーが通っていたタランバ・ハニカムは、道幅が狭く天井が低いダンジョンだった。装備制限のことは聞かされていたのだろう。


「威力や耐久性が刀剣よりもやや劣るから、高火力を出したいときや長期戦をするときは、刀剣のほうが向いていることも多い」



「次は鈍器。その名の通り鈍器武器だ。つまり、叩が主体。6つカテゴリーのなかでBATの平均は一番高いが、そもそもBATなので威力はそれほど出ねえ。WDLも長い」


「そっか、弱いんだね……」


 メマリーは、鈍器カテゴリーの武器、クラブを使っていたからな。少しショックなのだろう。正直言って、クラブは弱いと思うが。


「そんなことはねーぞ。耐久力も刀剣並みだし、WEIの割にBATは高いし、CAPが低めだから携帯性も悪くねえ」


「結局、鈍器を使って何がしたいかが、大事だよ」


「サエラの言う通りだ。鈍器を使えば簡単に攻略できるときもある。戦略は1つにこだわるもんじゃねえ。より良い可能性を常に模索し続ける。これこそが、強くなる秘訣だ」


「うん、分かったよ!」


 メマリーには知識も、経験も、賢さも足りねえ。

 でも、もっと上手くなりたい。そのためにはどうすればいいんだろう。そう考え続け、試し続ける。俺もそうやって上手くなってきた。


 強くなれ、メマリー……。



「それから、投擲か。投擲は投げて使う武器だ。魔法より遠く離れたところから攻撃できるのが強みだな」


 魔法の射程距離は10m。


「投擲カテゴリーの武器のATK自体は低いが、『スロー系』と呼ばれるスキルを使用して投げるから、威力はけっこう高くなる」


 スキルは武器の種類で変わる。手裏剣なら、スローナイフ。トマホークなら、スロートマホークになる。


「でも、お金がかかるんだよね。一般冒険者でやってた人、見たことないよ」


「そうだ。投擲は基本使い捨てだ。ものすごく金がかかる。しかも、遠くから攻撃できるといえば聞こえはいいが、その分当てるのが難しい。上級者向けだ」


 魔法と違って、投擲はホーミング機能がついていない。だから、使いこなすには金と腕が必要だ。



「最後は杖。魔法を使うことができる。一応、ワンド以外は殴ることはできるが、他のカテゴリーに比べて性能は大きく劣る」


「さっきもらったロッドも杖だよね」


「そうだよ。前衛でも杖に持ち替えて魔法を使うことって、よくあることだから、魔法の練習もやっておこうね」


 JAOをプレイしたことがない人にとっては、サエラの言葉はありえないと思うだろう。

 だが、JAOは普通のRPGで良く採用されているジョブ制やスキル制といったシステムを採用していない。武器や魔石次第で、誰でも戦士になれるし、誰でも魔法使いになれる。

 武器を変え、魔石を変え、刻一刻と変わる状況に臨機応変に対処する。これこそが、JAOの神ゲーである所以なのだ。



「最後に宿題だ!」


 宿題、この言葉を聞くと胃が痛くなる。自分で言っておいて何だけど。


「はいっ!」


 メマリーが元気よく答える。宿題をほとんどやってこなかった俺と大違いだ。


「今からタイラン商会で武器のカタログを見てこい。武器も持ってみろ。勉強になるぞ」


「レイ君がタイラン商会の武器を褒めた! 事件だよ!!」


 サエラが口に手を当てて驚いている。俺は常日頃からタイラン商会の武器をディスっているからな。


「うるせえ。タイラン商会を褒めたわけじゃねえ。カタログにはたくさんの種類の武器が載っている。100種類全部の武器が載っているわけじゃねえが、それでも、それぞれの武器の性格を知るには、実際に見る、触るのが一番だ」


 それぞれのカテゴリーの武器の特徴について講義したが、正直例外も多い。一つ一つの武器の性格を知って初めて、武器に対する理解が深まったといえる。



 こうして、今日の講義&狩りは終了した。

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