2-23 基礎ステータス2
昨日は【異世界転生/転移・ファンタジー】部門の日間ランキングに283位で乗ることができました! ここまでいけるなんて連載開始時には考えもしなかったです! それもこれも、読んで下さる読者の皆様のおかげです。
そして、評価を昨日に引き続きいただきました。
拙作を応援・支持していただいて、本当にありがとうございます。まだまだ頑張っていきますので、応援よろしくお願い致します。
ゲームシステムの説明が多い話です。苦手な方は流し読みしてください。後書きに簡単なまとめを記載しておきます。
「次はdexかな?」
「そうだ。HITに関係する。俺のような生産職はカンスト必須だが、そうじゃなかったら絶対振るな」
「じゃあ、カンストしようかな!」
「メマリー……俺の説明、聞いてたか?」
「ママを助けるために製薬のサブ技能を取ろうと思うんだ」
「いや……スノードロップのエキスを作るのはお前じゃねえぞ」
「サブ技能やステ振りはよく考えようね。メマリーちゃん」
サエラが苦笑してメマリーにアドバイスする。高級羽毛布団詐欺にあった、こいつには言われたくねえんだが。
「agi。DOGが上がる。agiを上げても身のこなしは変わらねえから、注意しろ」
「レイ君の言う通りだよ。agiを上げたら、WDLも下がるね」
「WDLって何?」
「武器で攻撃したりスキルを使用したりするときに起きる硬直だ」
agi1の場合、短剣を除いた多くの武器のWDLは0.3秒台だ。そう聞くと、ほとんど影響がなさそうだが、実際はそうじゃない。体が一瞬ピタッと止まる感覚は、多くのJAO初心者を悩ませている。俺は格ゲーで硬直の扱いに慣れ親しんでいたから苦労はしなかったが。
「WDLを意識すれば駆け引きに強くなる。だが、今は考える必要はねえ」
「後はね、ミラージュアボイドなどの回避系や、ダッシュやジャンプなど移動系のスキル、ハイディングなどの隠密系のスキルにも影響があるよ」
サエラがagiの恩恵について補足を入れた。回避系や移動系のスキル、サエラは好きだからな。重要視しているのだろう。
「intは魔法に関するスキルだ。魔法をメインで使うつもりじゃなかったら、これ以上上げないほうがいい。11止めか、1止めが普通だ」
「私はレイ君のサポートをするために44まで上げたよ」
サエラは俺のサポートをするためにintを上げてくれた。定石からは外れているが、専門のヒーラーがいない俺たちにとっては、intを上げてサポートしてくれるのはありがたい。
「具体的には、intはMAT(魔法攻撃力)と、バフやデバフなどの魔法の持続時間、デバフ成功率に関係がある」
「バフ? デバフ?」
「バフというのは有利になる効果のことだ。マジックバリアやパワーアップなどが代表的なバフスキルだ。デバフというのは不利になる効果のことだ。状態異常をかけることだと思ってもいい」
「最後はresだね」
「そうだ。DEF、状態異常耐性、かけられた状態異常の持続時間短縮に関係する。resを上げていると、状態異常をしかけてくる相手と戦うときに強い。状態異常は深刻なものが多いから、案外上げていると役に立つ局面も多いぞ」
「1つ質問ですー」
メマリーが手を上げて俺に聞いてきた。
「基礎ステータスを上げたら、こんなに色々上がるのに、わたしの基礎ステータスは何がまずいの?」
「お前、どうせ基礎ステを上げたとき、HPとかATKとかが上がったのを見て、他の基礎ステも上げようと思ったんだろ」
「うん!」
満面の笑顔のメマリー。ツインテールがかわいく揺れる。自信満々のメマリーを見て俺は溜息をついた。
「はぁ……。魔石で上げることができないHPはともかく、他の重要ステータス、つまりATK・HIT・DOG・DEFの4つは、魔石による上昇量に比べたら、基礎ステによる上昇量なんて全然たいしたことねーぞ」
「えっ! そうなんだ!」
確かに、メマリーが狩りをしている低ランクのMobはステータスが低いので、基礎ステを上げれば世界が変わるくらい強くなる。むしろ低ランクの魔石のステータス上昇量はゴミなので、基礎ステこそ大事だと勘違いしてもおかしくはない。
だが、実際は魔石のほうがはるかに重要だ。例えば、resを99上げても増加するDEFは1890しか上がらないが、一番ランクの高い魔石HUを使えば10750上がる。
「基礎ステはATK・HIT・DOG・DEFの上昇目的で上げるんじゃねえ。HPとかFPの上限とか所持量増加などの他のステータスを上げる目的で上げるものなんだ」
「全然知らなかったよー。教えてくれてありがとう。これからはもっと考えて基礎ステータスを上げるねっ」
「せっかくだから、お前が99レベルになったときの基礎ステを考えてやるよ」
「レベル99!?」
「そんなしょーもねーことでいちいち驚くな。フィルンに登るんだろ」
俺は電卓のアプリを呼び出して計算を始めた。
「ま、こんなところか」
計算を終えてコーヒーを一口すする。
「どういうステータス?」
「vit99、str46、dex12、agi12、int11、res77ってところだな」
この世界ではHP0=死だ。死んでしまっては話にならねえ。だから、vitは99にした。99以上は上げられない。
そして、状態異常を激しくしかけてくるMobと戦ったとき、普通のプレーヤーはパニックになりやすい。落ち着きのないこいつでも対処できるようにresを高く振った。
あとはstr全振り。前衛ならこれくらいは最低でも欲しい。
魔法をメインでやらないのならintはこれ以上不要。生産系サブ技能を取らないのならdexも不要。agiはテクニカルなので、とろそうなこいつには不要と判断した。
「ありがとぅ。res77ってなんかいいなぁ~。ラッキーセブンだね~」
「バカか、そんなんじゃねえよ。ボーナス7になるように設定したんだよ。それ以上上げても意味ねーし」
「ボーナスって?」
「各種基礎ステータスを11の倍数まで上げると、ATKやHP・HIT・DOG・DEFは大きく上がるんだよ」
「あ、あれかー。だから、わたしも全部のステータスを頑張って11まで上げたんだ」
「頑張らなくてよかったけどな。FP上限や状態異常耐性などのボーナスは11の倍数ごとにしか発生しねえ」
「そうなんだ。それは考えなしに上げちゃだめだねー」
メマリーも分かってくれたようだ。
「ステータスを平均的に上げるよりも、1つのステータスをなるべく高くなるように上げたほうがいい」
メマリーのステ振りはそこで失敗している。
「どうして?」
「高い数値にしたほうが、ボーナスが大きいからだ」
「なるほどなるほど~。勉強になるなぁ……」
メマリーはメモ帳アプリを呼び出して、メモを取り始めた。知らなかったことを勉強するのはいいことだ。勉強嫌いの俺が言える台詞じゃねーけどな。
「というわけで、基礎ステの講義は終了だ」
ここでテーブルの隅に置かれたケーキに気づいた。そういやケーキを注文したのを忘れてたな。このまま食べずに放ったらかしにしていたら、またコプアさんに怒られそうだ。ケーキあんまり好きじゃねえけど、ちゃんと食べるか。
次回は2月14日の12時頃に更新の予定です。
◇今回のJAOのシステム説明まとめ1
dexが上昇すると生産系のサブ技能に恩恵が得られる。
agiが上昇すると回避系・移動系・隠密系のスキルに恩恵が得られる。
intが上昇するとバフやデバフなどの魔法の持続時間、デバフ成功率が上昇する。
resが上昇すると状態異常耐性が上がり、かけられた状態異常の持続時間が短縮される。
◇今回のJAOのシステム説明まとめ2
各種基礎ステータスを11の倍数まで上げると、各種ステータスが上昇したり、スキルの性能が向上したりする。
(基礎ステータスの値)÷11の値(小数点以下切捨)を「ボーナス(数字)」と呼ぶ。
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