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9-36 2ndボス、リパルシャント戦2

「リパからは逃げられないからねっ! スリープアタック!」


 2ndボス【リパルシャント】がメマリー目掛けて、岩のような拳を振り下ろす。

 スリープアタックは睡眠の状態異常を与える攻撃スキル。

 メマリーのresなら寝ることはない。しかし、まともにもらえば大ダメージを受けてしまう。


「いい加減にかかれっての! パワーダウン!」


 ヒナツの放った魔法弾がリパルシャントに命中。

 壊れた剣のアイコンが頭上に出現する。

 リパルシャントにかけた状態異常は攻撃力低下。

 ヒナツのおかげでメマリーはほとんどダメージを受けずに済んだ。



 現在、フェイズ4が始まってから2分ほど経過している。

 サエラが俺に話しかけてきた。


「最初は大変だったけど、拳3にも大分慣れてきたね」


「まぁ……な」


 拳3はフェイズ3から使用してきた武装。

 推定7万という2ndボスとは思えない超火力。

 フェイズ3のメインウエポンだった。


「だが、拳3に慣れてきただけじゃダメだ」


 俺の言葉にサエラもうなずく。


「うん。ここから、もっといい戦いをしなくちゃいけないね」


「そう。もっといい戦い――タイムをさらに削る」


 この戦いはRTAリアルタイムアタック

 タイムを削れなきゃ負けだ。

 まして相手はレイド特効がついた課金武器。

 ゼロコンマ1秒でもタイムを削りたい。



「今もみんな一生懸命やってるけど、どうやってタイムを削るの?」


 サエラの疑問に答える。


「色々案はあるが、例えば……蠍座のLJを有効活用するとかな」


 LJとは、星座の加護を受けた特別な外付魔石のことだ。

 原則Uレアリティ相当の効果が6個もついている。

 しかも、外付けしても消滅しない。


 アリスが異論を述べる。


「でも、蠍座を使わなければリパルシャントに攻低、防低、封印はかかりませんよ」


 蠍座のLJの効果は以下の通り。


 命中U×3

 威力U×1

 ポイズンアタックSS×1

 状態異常成功率上昇HS×1


 状態異常成功率上昇は蠍座にしかないパッシブスキルだ。

 リパルシャントの状態異常耐性は高い。

 成功率上昇が乗らなければ、デバフをかけることはできない。


「それは分かってるし、俺もデバフ用に使うべきだと思ってるよ。ただ、タイムを詰めるという一点で考えればよぉ、スタンさせてしまえば攻低と封印をかける時間は短縮できるだろ」


 蠍座のLJはヒナツが持っている。

 ヒナツはデバフをかけるよりもアタックするほうが得意だ。

 LJの効果時間は3分しかない。

 貴重な3分をデバフ専念で使い切るよりも、ガンガン攻撃したほうが無駄はない。

 それに、蠍座には威力Uの効果がついている。

 活用させなきゃ大損だ。


「あとは俺のユニークスキル――だな」


 俺たち世界を救った6人はルシファー討伐クエスト報酬として、ユニークスキルをもらった。

 どいつも超がつく程のぶっ壊れチートスキルだ。


「だったら、なおさら防低をかけたいよね……」


 俺のユニークスキルはDEF無視攻撃ではない。

 サエラの言う通り、防低をかけたほうがいいに決まっている。


 アリスが溜息をつく。


「でも、リパルシャントはデバフにかかりにくいです。特に、封印、攻低、防低に関しては蠍を使ってもデバフにかかる確率は2割。下振れすると厳しいですね」


「RTAってことを考えたら……常時防低にしておくのが理想だな」


 蠍座のリキャストタイムやデバフの効果時間を考えれば、なかなか厳しいのは分かっている。

 それでも俺は、理想ムーブを追及する。




「うるさいよっ!」


 リパルシャントの足元に大きな魔法陣が出現する。


「シーリング! シーリング!」


 ヒナツは懸命にロッドを振るが、リパルシャントは封印にかからない。


「【予言の聖女 エリノーラ】顕現せよ!」


 危機を察知したアリスがヒーラーの守護霊を顕現させた。


 その数秒後リパルシャントの範囲魔法が発動。


エリアスリープ!」


 エリノーラのサンクチュアリが間に合い、俺たち第1PTはこれを防いだ。同じくツフユのサンクチュアリも間に合い、第4PTも防ぐことに成功。

 だが、第2第3PTは全員睡眠にかかってしまった。


 この惨状にサエラが驚く。


「高resのメマリーちゃんまで寝てる!」


 メマリーはresがボーナス9もある。今まで状態異常は全くかからなかった。

 さては、フェイズ4から使用する新しい武装か!

 状態異常成功率が大幅に上昇しているんだろう。



 アリスの指示が飛ぶ。


「第1PTは第2PTの救援を、第4PTは第3PTの救援をお願いします。ヒナツさんは引き続きデバフを。ジデさんとナルレさんでボスのタゲ取り。ツフユさんは2人のサポートをお願いします」


 体を強く揺り動かしたり、耳元で大声を上げたりすれば、睡眠は解除できる。

 すぐに立て直したい。


「ごめん、シーリング弾切れ。ディフェンスダウンいくよ!」


 ヒナツがディフェンスダウンを撃ち込み始める。

 だが、今回もかからない。

 2割の壁は厚い。



 攻撃を受けているタンクが吠える。


「ゲヒャヒャッ! 効かねええ」


 タンク2人は硬い。

 しかもツフユのバリア付き。

 超火力のリパルシャントの拳3にもしっかり持ちこたえている。



「うるさいよっ!」


 足元に再度魔法陣が出現。

 リパルシャントが使用するデバフ魔法は睡眠、封印、攻低の3種類。

 どれもきついが、タンクたちには踏ん張ってほしい。


ワイドディフェンスダウン!」


 タンク2人の頭上に壊れた鎧のアイコンが出現。

 ここで防低かよっ!

 タンクの命、DEFを下げられちまった!


 リパルシャントが右腕に力を込める。


「リパからは逃げられないからねっ! スリープアタック!」


 直撃を受ければタンクが死亡する。

 そんなピンチに――


「わたしに任せて! アーマーボディ!」


 チームのメインタンク、メマリーが復帰した。

 吹き飛ばされながらも受身を取り、キッとボスを睨む。


「わたしはチームのメインタンク、どんな攻撃だって抑えるもん!」


 メマリーはバリア無しの直撃をくらった。

 さっきの一撃も失神するぐらい痛かったはず。事実メマリーのHPバーは赤色になっている。

 それでも、メマリーは一歩も退かない。

 へたれのくせにメマリーも言うようになったじゃねえか。



 とはいえ、防低をかけられたらメマリーでも厳しい。

 さすがはフェイズ4。プレイヤーたちを殺る気だ。

 いや、違うな。

 課金武器無しで挑む俺たちが常識外れ。

 運営が想定していないピンチを自分で招いているともいえる。


 だけど、ピンチにビビってちゃ常識は超えられねえ。

 常識は外れるだけじゃ、ただの雑魚。

 常識を超えてこそ、超一流のプレイヤー。



 俺の意志をできるだけ多くのメンバー、そして、俺たちを応援してくれている視聴者に伝える。


「拳3でもいっぱいいっぱいだったってのに、防低だぁ! ピンチにも程があるだろ」


 ここでニッと笑う。

 最高に熱いシチュエーション。

 笑わずにはいられねえよ。


「そんなピンチを、俺たちはチャンスに変える! 一気にタイム短縮だ!」


 少し疲れていたメンバーの眼がギラギラと燃え始める。

 いいねえ。

 常識を超えるとメンバーが信じていてくれるなら、俺たちは本当に常識を超えられる。

次回は5月24日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




今回のレイドダンジョンは拙作『将来魔王になって夢の国でハーレムを目指す』とのコラボです。

こちらも読んでいただいたら嬉しいです。

作者ページから飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n2551dl/

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