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9-32 8月レイドRTA開幕2

「じゃあ、わたしたちも行こう~」


 メマリーが歩き出そうとすると、校内からMobが出てきた。


「戦闘は主人公のお前らに任せる。俺はモブキャラだし戦わないからな」


 そう言って、先人は後ろに下がった。


 現れたのは、8本の腕を持つ悪魔。

 専用グラフィックか。強そうだな。


「いきなりレイドMobだ。気合入れろ!」


 7月レイドで戦ったレイドMobたちは強かった。

 こいつも強いのだろう。

 どんなやつなんだ。楽しみだぜ。



 のそりのそりと近づく悪魔。

 メマリーが先頭に立ち、悪魔を迎え撃つ。


「まずはわたしが相手するよ。えいっ!」


 メマリーのマンプルが悪魔の胸を貫いた。

 まずはタンクがタゲを取って――。


「うぎゃあああああ~~!」


 悪魔はあっけなく爆散した。


「えっ……これで終わり……?」


 全員が顔を見合わせる。

 あまりにも弱すぎだろ、こいつ……。


 後ろで隠れていた先人が拍手する。


「さすがは主人公。【雑魚中の雑魚(しょうまお)】を1撃で葬るなんてな」


「【雑魚中の雑魚】って、そのまんますぎだろー!」


 相手雑魚だし、非戦闘員の先人でも倒せるんじゃね?


「このままエンディングまでよろ」


 そう言って先人は、どこからともなく現れたベッドの上に寝っ転がりながら、スイカを食べ始めた。

 なぁ、本当に夢の世界を守る気ある?



 それからすぐにMobの一団がやってきて戦闘を行った。


「数は多かったですが、敵が弱すぎましたな」

「先月のレイドDと全然違うな~。楽勝じゃん!」


 ほとんどのメンバーが楽勝ムードに毒されている。

 無理もねえ。

 非レイドMobはU帯でも弱いやつばかり。

 肝心のレイドMobでさえ、【通り魔(しょうまお)】という熊のMobが、倒すのに時間がかかってウザかったくらいだ。【雑魚中の~】なんて論外。


「敵を侮るのは良くないよ。慎重にゆっくり進もう」


「いや。雑魚は雑魚だ。この程度の相手なら、楽勝なのは当たり前」


 慎重に進むべきだと主張する冒険者を制する。


「だが、浮かれるのは甘ぇ。忘れたか、この勝負はタイムアタック。敵は雑魚Mobなんかじゃねえ。タイランだ!」


 俺の言葉で皆に緊張感が戻った。



「じゃあ、早速材料を探そう!」


「待て、メマリー」


 メマリーが俺に言われて足を止める。


「これはタイムアタックだ。タイランに勝つ戦略が必要になる」


 広くはないとはいえ、ここは学校。

 しらみつぶしに探すのは効率が悪すぎる。


「やみくもに探すだけじゃダメだ。材料を効率的に捜索するぞ」


 そう言って、マップを起動。


「校舎は1つ、5階建て。それと講堂か。運動場もあるのか……」


 マップを見ながらも、PTメンバーのステータスと技量を1人1人頭の中で確認する。



「最適解、見つけたぜ」



 俺の言葉でメンバーが歓声を上げた。

 サエラが俺に尋ねる。


「レイ君、どうやって勝つつもりなの?」


「タイランはvit型至上主義だ。高agi型は少ないはずだ」


 一般的にagi型は弱いとされている。

 それは間違いではない。

 だが、agi型にはagi型の良さがある。


「agi型の得意技は隠密行動。Mobの集団をかいくぐり材料を探せ――できるよな?」


「上等っしょ!」


 フェーリッツが拳を突き上げる。


「建物1階はサエラ、2階はジーフェン、3階はニーネ、4階はフェーリッツ、5階はニーネとフェーリッツが手分けして攻略しろ」


 サブ技能盗賊のジーフェンに、サブ技能スカウトのニーネ、フェーリッツ。

 彼らは単独調査のスペシャリストだ。

 どんなに敵が強くても、速攻でお宝を見つけてくれる。


「サエラちゃん、君のために1階も攻略するよ」


「じゃあ~、フェーリッツ君にお任せする~」


 フェーリッツめ、カッコつけやがって。

 ま、こいつなら余裕だろうな。

 1階もフェーリッツにやってもらうか。


「残りは二手に分かれて運動場と講堂を攻略する。間違いなくMobがウジャウジャいるぞ。気合入れていけよ!」






「現在クエスト開始から9分40秒経過。すごく良いタイムですね」


「だな」


 アリスの言う通りだ。

 あっという間にカレーの材料が揃った。


「タイランはまだ集めてる途中っすね」


 フェーリッツはさっさと捜索を終え、タイランの配信をチェックしている。

 PTごとに1つの階を攻略しているが、大人数で行動しているため余計な戦闘を避けられず時間がかかっている。



「愛情たっぷりのカレーができたよ! 先人、はい、あ~ん」


 ヒカリがカレーを先人に食べさせようとする。


「そんな羞恥プレイできるか。自分で食う」


 先人はヒカリが持つスプーンを奪い取り、口に入れようとする。



『有崎先人がカレーを食べられる確率は――0%』



 突然謎の合成音が聞こえてきた。

 すると、スプーンの上のカレーが消える。

 それどころか、鍋いっぱいのカレーまで無くなっていた。


「お前の仕業か――クリフトン」


『ご名答だよ、有崎先人』


 周りの空間が何もない暗黒空間に変化する。

 そして、俺たちの周囲を取り囲むように何十もの巨大モニターが出現した。

 モニターに白人の男が映る。

 こいつがカレー事件の黒幕クリフトンか。



『ある方に頼まれてね、君たちを抹殺する』


 クリフトンがそう言うと、30m程離れた場所に3人の男が出現した。

 中華風の武将に、豹の皮をかぶった変な男に、派手な服を着た男の3人だ。


『王洪、オセロメー、シルヴェストロ。有崎先人の前に、まずはこのゴミどもを掃除しろ』


 中華武人の王洪が両手を合わせる。


「御意」


 先人が解説を入れる。


「この3人を倒せばクリフトンとの決闘に勝利できるぞ」


「なるほど。クリフトンは倒さなくていいのか」


 モニター越しの相手を攻撃するなんて不可能だしな。


「俺みたいなモブキャラ、いやゴミキャラじゃ、3人相手なんて戦えるわけがない。絶対に勝ってくれよ~」


 先人の言葉に、クリフトンが鼻で笑う。


『夢の力を持たぬ冒険者など、我ら魔法候補生にとってはゴミ同然。そんな奴らを頼りにするなんて、有崎先人も実に情けない』


 王洪が鼻息を鳴らす。


「然り。前座の決闘くらい、軽く勝利してみせましょう!」


「ふーん……。前座はどっちだよ」


 ここはしょせん1stステージ。

 俺たちはFinalステージを突破するつもりなんだよ。

 1stステージなんか序の口だっての。


「しかもお前らのレベル、U帯かよ。ゴミじゃねーか」


 普通1stボスのランクはHU。

 今回は3体同時とはいえ、舐められたもんだ。


 視聴者に向かって宣言する。


「最初のバトルはゴミ掃除だ! 1stボスくらい、速攻で勝利してみせる!」

次回は4月26日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




今回のレイドダンジョンは拙作『将来魔王になって夢の国でハーレムを目指す』とのコラボです。

こちらも読んでいただいたら嬉しいです。

作者ページから飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n2551dl/

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