表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/372

8-27 戦いの幕開け

「というわけで、いよいよ14時からルシファーに挑戦する!」


 再び新聞記者たちの取材を受けている。

 面倒だが仕方ねえ。

 取材を受けるのも1流プロゲーマーの仕事だ。


「挑戦の様子はライブ配信する。入室パスワードは――」


 俺のプレイを見せたい。俺のプレイで魅せたい。

 昔からゲーム配信者に憧れていた。


 だが、向こうの世界で配信に手を出すことはなかった。

 トークが苦手、配信なんかやっても稼げない、アンチがウザい、ゲームとバイトで時間がない……。

 様々な理由をつけてやろうとしなかった。


 だけど、今は違う。


 たった一度の失敗ですべてを失う、この「リアル≠ゲーム」の世界で俺は気が付いた。

 本気で生きなきゃ、生き残れない。

 本気で生きなきゃ、つまんねえ。


「この戦いに俺たちの全てをぶつける。ナンバーワンプレイヤーの生き様をその眼に焼き付けやがれ!」


 自分で決めた道は必ず進む。

 それがどんな困難な道であっても、決して俺はためらわない。


 覚悟を決めた今は――これまでよりもずっと気持ちが軽やかだ。




 記者会見が終了。

 出発は2時間後だ。



「いよいよ戦いの始まりね」


 スクルドが俺に話しかけてきた。


「ところでレイ君、お願いがあるんだけど」


「今からデートはなしだぞ」


「あら残念。でも、もっと面白そうなイベントが始まるから構わないわ」


 これから始まるルシファー戦は一世一代の大勝負。

 デートなんかより、よっぽど楽しい。



「そんな大勝負だからこそ――お願いよ。私のカッコ悪い名前を改名してくれないかしら」


 スクルドの名前は【テスト用守護霊】になっている。

 JAO開発チームがテスト用につけたのものだろう。シンプルイズベスト。


「改名って言われても……どうやってやるんだ?」


「命名してくれれば、OKよ」


 そんなにあっさり改名することができるなんて、さすがテスト用守護霊。チートすぎ。



「じゃあ――今からお前の名前は【未来の女神 スクルド】だ」



 俺の言葉でスクルドが眩しく光る。

 守護霊ウインドウに記された名前は【未来の女神 スクルド】に変わっていた。



 新しく名前を与えられた女神がうふふと微笑む。


「ありがとう、レイ君。これで名実ともに、一人前の女神になれたわ」


「そうか。ま、俺は別にどうでもいいけどな」


「せっかくだから外見とか声も変えてみる? 貴方好みの外見にしてみてね」


 スクルドの見た目が次々に変わっていく。黒髪美女、エルフ美少女、ツインテール幼女、頭ぼさぼさの老婆――。


「俺はアバターのスキンは変えねえ主義だ」


 結局、スクルドの見た目は変えなかった。

 そのままが一番だ。




 スクルドファッションショーが終わると、ツフユがやって来た。


「お疲れ、救世主様」


「さっきの記者会見でも言ったけどよぉ、俺は救世主にならねえ」


 記者会見でも、救世主になるのかという質問は予想通り死ぬほど湧いた。10回目までは数えていたが、面倒くさくなって数えるのを諦めたくらいだ。


「何とでも言え。それよりルシファー戦だけど、あたしも観戦させてもらうよ」


「意外だな。お前は見ないと思ってた」


 ツフユは面倒くさがりだからな。


「あたしの友人に、お前に興味を持っているやつがいてね。そいつのためにあたしが実況しなきゃいけないんだよ。はぁ~面倒くせぇ~」


「へぇー。じゃあ、いいところ見せねえとな!」


「そいつが言うには、『ナンバーワンの称号は軽くない』ってさ」


「ったりめぇだ。ナンバーワンの称号が軽かったら、目指す意味がねえ」


 このクエストはゲーム。

 元の世界では多くの廃人が、積み上げてきたプライドを懸けて戦っていることだろう。

 軽いわけがねえよ。


「脅してやろうと思ったのに……。ま、死にたがりのあんたなら、そう言うんじゃないかと思ってたけど」


「死にたがりじゃねーよ。生きるために戦うんだ」


「フッ……冗談さ。あたしも、あんたには期待している」


 そう言って、ツフユは俺の肩に手を乗せる。

 その手は重たかったが、温かく感じた。


「おぅ、任せとけ。救世主になること以外はな」


 こうして、ナンバーワンを決める戦いが始まった。






 悪魔軍のボスは【人造魔神アリア(HU)】だ。

 アリアといっても、体はアリアだが意識はルシファーに乗っ取られている。

 事実上ルシファーだといっていい。

 だが……。


「これで終わり……?」


 ヒナツがつまらなさそうに溜息をついた。


 3本のHPバーのうち2本は折れ、残った1本もすでに真っ黒。残りHPはあとわずか。

 ボス戦は既に終盤だ。


「シッ!」


 悪魔の姿をしたルシファーが爪を振るう。

 爪はメマリーの胸を引っかいたが、ダメージを与えることすらできなかった。

 HITが全く足りていない。

 この爪はフェイズ3から追加された武装だが、まるでメマリーに通用していない。


「弱いなぁ~」


 ヒナツが言うのももっともだ。

 戦いが始まって20分強。ピンチは一度もない。


 対するルシファーは、追い詰められているはずなのに平然としている。

 余裕というよりは、まだ戦いを始めていないという雰囲気だ。



 ルシファーの周りに光の粒子のエフェクトが出現する。

 このエフェクトは、ルシファーが回復魔法を使ってくる合図。


「させるかぁっ!」


 ヒナツがメギラスを持って飛び出した。

 回復魔法で粘られる前に一気に決める気だ。


 隣に立っているサエラが話しかけてきた。


「レイ君、アリスさん。これで終わりだと思う……?」


「思いません。いくら何でも弱すぎます」

「同じく」


 アリスと俺が即座に否定。

 亜人3軍のボスたちのほうがずっと強かった。

 こんな弱いボスと戦ったところで、ナンバーワンを決めることはできない。


「ダブルピアース!」


 ヒナツの攻撃が決まった。

 ルシファーのHPバーが完全に真っ黒に変わった。

 通常ならこれでボス戦は終了する。

 だが――




「ウォーミングアップは終わりだ。さぁ、ナンバーワンを決める戦いが始まるぜ」




 ルシファーが宙に浮かび、黒いオーラを放つ。


「完全復活した我の力を見せてやろう」


 ルシファーの外見がアリアから、翼の生えた長身男性に変わった。

 ルシファーが宙から俺たちを見下ろしながら、抑揚をつけた調子で語り始める。


「弱き人間よ、聞くがよい。我こそは全知全能の神であり、世界を滅ぼす魔神――ルシファー」


 漆黒の翼、黒い鎧、銀色の長髪、冷たい切れ長の目。

 これまでのクエストで何度も目にしたツラだ。

 忘れるわけがねえ。


「我が復活したからにはこの世界は終わりを迎える。抵抗など無意味。破滅を受け入れよ」


「お前こそ、自分を受け入れたらどうだ?」


 俺の挑発にルシファーの眉がぴくりと動く。


「お前に世界を滅ぼす力なんてねーよ」


 ルシファーはしょせんイベントのボスだ。

 いくら強かろうと、冒険者と戦うことしかできない。

 しかも、その力もイベント開催中の2週間限定だ。


「戯言は我を倒してから言うのだな」


 ルシファーの頭上に3本のHPバーが出現する。


「上等だぁ! 最高に熱いバトルを期待しているぜ!」


来週からは全11回、8週間にわたるルシファーとのバトルです。

次回は6月8日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




こちらも読んでいただいたら嬉しいです。


【防御は最大の攻撃】です!~VRMMO初心者プレイヤーが最弱武器『デュエリングシールド』で最強ボスを倒したら『盾の聖女』って呼ばれるようになったんです~


本作の目次上部にあるJewel&Arms Onlineシリーズという文字をクリックしていただければ、飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n6829g

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ