表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/372

8-24 新チートスキル【移動武器屋】

 その後もリチャードは次々アクティブスキルを繰り出してきた。

 使用したスキルはラグナエンド、DD、CRクルセイダーズラッシュ、スカイインパクト、ヴァーティカルムーン、Expエネルギーエクスプロージョン、イーグルスマッシュ、マジックガトリング。

 そのどれもが高レアリティのスキルだ。

 最低レアリティのスキルでも星3という豪華さ。


「ギャハハハッ! Expエネルギーエクスプロージョン!」


 エクスカリバーの先から放たれる白い光球。


「サンクチュアリ」


 対するアリスは防御スキル、サンクチュアリを発動。

 光のドームを発生させExpを防いだ。


「こっちだよ!」


 魔法使用後の硬直で固まっているリチャードの背後から、メマリーがマンプルの刃を突き立てた。


「ギギャアッ!」


 リチャードの怒りにまかせた一撃。

 だが、メマリーはそれを回避。

 いくらエクスカリバーのATKが高くとも、落ち着いて対処すれば、よけることくらい問題ねえ。



 そういえば1分くらい戦っているけど、リチャードのやつスキルばっかり使ってきたな。

 きっと行動パターンがスキル重視なんだろう。

 最初はスキル連打で大変だけど、保有スキルのリキャストタイムに入ったらガス欠で楽になるな。


 ん、てことは、ちょっと待てよ……。

 この戦略でいけば圧勝できるんじゃ。

 電卓アプリを起動。そして、高速で計算。

 なるほどね……。




「最適解、見つけたぜ」




 メマリーと戦っているリチャードを挑発する。


「おい、ゴブ公!」


「ゴブ公じゃねえ! 俺様はアークゴブリンキング、リチャードだ!」


 んなこと聞いてんじゃねーよ。



「そのおもちゃは楽しいか?」



「おもちゃ? ギャハハ、何のことだぁー?」


「脳みそスッカスカだから分かんねーか。ルシファーからもらった、その悪趣味な剣モドキのことだよ」


 俺の言葉を聞いて下品に笑い始めるゴブ公。


「ギャ~~~ハハハハハッッ! 弱っちい人間に教えてやろぅ~。これはな、最強の剣エクスカリバーって言うんだぜぇぇぇ!」


「知ってるし。お前なんかよりずっと」


「ただのHU武器とはな、全然戦闘力が違うんだ。見てやがれぇ――」


「相手はわたしだよっ!」


 メマリーがリチャードに立ちふさがり、マンプルの刃を突き立てる。

 だが、攻撃はリチャードの体に届かなかった。

 これではリチャードは止まらない。


 リチャードはメマリーの懐にステップイン。

 そのままメマリーに黄金の刃を突き立てる。

 ダメージは6141。HPの4割が削れた。


「ギャァァ~~~~~ヒャヒャヒャヒャヒャヒャッッ! スキルなしでもこの威力ぅ! 弱っちい人間なんて瞬殺だよぅ!!」



 赤ん坊みたいに笑い転げるゴブ公を見て、溜息が出た。


「お前は武器に振り回されている」


 エクスカリバーは最強武器。

 エクスカリバーを持っていれば何でもできる、エクスカリバーを持ちさえすれば1番活躍できる。

 最強すぎて、そんな錯覚を覚えてしまう。

 何度もJAOで見た光景だ。

 俺だって、最初にエクスカリバーを自分の物にしたとき、そう勘違いしそうになった。


 その勘違いを乗り越えて初めて、エクスカリバーの真価を発揮することができる。


「お前みたいなゴブ公に、エクスカリバーはまだ早ぇ」


「グ……、グギィィィ!」


 怒りに任せてエクスカリバーを振り回すゴブ公。

 スキルなしとはいえ、相変わらず雑な攻撃だ。

 手負いのメマリーを追い詰めることもできていない。



 さて、マイクパフォーマンスはこれくらいにして、そろそろ仕掛けるか。


「アリス、ゴブ公にスキルリチャージを撃て」


 俺の指示にアリスが目を見開いて反論する。


「スキルリチャージをキングに撃つんですか!? 危険すぎます!」


 ヒナツも驚いている。


「どうして相手に強化魔法バフをかけるのさ!?」


 アクティブスキルは最大使用回数が決まっている。

 最大使用回数分使用すると、一定時間そのアクティブスキルを使用できなくなる。

 この時間をリキャストタイムという。


 スキルリチャージとは、アクティブスキルのリキャストタイムを短縮する強化魔法バフだ。


「ゴブ公は明らかにスキル重視のAIだ。リキャストタイムを抜ければすぐにでも、またスキルを使ってくれるだろう」


 現在ボスの全てのアクティブスキルがリキャストタイムに入っている。


「それならいっそ、思う存分使わせたほうがいいんじゃねーかってな」


「意図は分かりました。でも、星5スキルの再使用は危険すぎます。特にラグナエンドとDDは」


「大丈夫だよ、アリスさん」


 サエラが優しく微笑む。


「レイ君のことだから、きっと計算済みだよ」


「サエラの言う通りだ。安心しろ、星5スキルは2度と撃たせねえ」


「分かりました。レイさんを信じます」


「ありがとう、みんな」


 結果は必ず出す。


「フェーリッツさん、メマリーさん、下がってください。スキルリチャージ!」


 針がぐるぐる回る時計のエフェクトがついた魔法弾がゴブ公に命中。


「ギャハハハッ! これでスキル使い放題だぜぇぇぇ!」


 支援をもらって馬鹿笑いするゴブ公。

 やっぱお前には、そのおもちゃすら扱えねえよ。



「さて、新チートの初実戦投入といくか!」


 今までの俺は、どこでも鍛冶スキルを使用できるチート【移動工房】しか持っていなかった。

 だが、俺は屋号登録をしたことで、JAOのシステム上武器屋として認められた。

 そんな俺が使える新しいチート。


「サエラ、カタログを出してくれ!」


 サエラは俺の店の店員だ。

 店員は商品のカタログを出すことができる。

 もちろん普通ならば店内でしかできないことだ。


「いいよー」


 だが、俺はどこでも武器屋を開設できる。






 これが俺の新しいチートスキル、【移動武器屋】だ!






 ネーミングにひねりがないのは勘弁な。



「ねぇ、レイ君。移動武器屋で何するの?」


「よく聞いてくれた、サエラ。――在庫の中から、ゴブ公に対する最適解の武器を選んで使うんだよ」


 JAOでは無限にアイテムを持つことはできない。

 重量を表すステータスWEIと容量を表すステータスCAPの影響を受けるからだ。


 だが、武器屋のラインナップにそんな制限はねえ。

 人間が持てるよりもはるかに多い数の武器を自由に取り出すことができる。



「俺が今回使う武器は――これだ!」


 操作完了。

 俺の手に選択した武器が現れる。

次回は5月18日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




こちらも読んでいただいたら嬉しいです。


【防御は最大の攻撃】です!~VRMMO初心者プレイヤーが最弱武器『デュエリングシールド』で最強ボスを倒したら『盾の聖女』って呼ばれるようになったんです~


本作の目次上部にあるJewel&Arms Onlineシリーズという文字をクリックしていただければ、飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n6829g

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ