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8-11 ルシファーからの挑戦

 早速サエラの家に攻略メンバーを招集。

 メンバーは俺とサエラ、アリス、メマリー、ヒナツ、フェーリッツの6人と守護霊スクルドだ。


「メインストーリー(笑)の更新って前々回のアニバ以来ですよね。正直もうJAO運営も忘れていると思いましたよ」


 アリスの言葉に相槌を打つ。


「だな。でも、運営だけを責めるのはかわいそうだろ。俺たちプレイヤーも忘れていたからな」


「確かに。ECとレイドDがあればメインストーリーの需要なんてありませんからね」


「せめて、もうちょっとマシなシナリオライター使っていればなぁー」


「ちょっと、アリスとレイだけで意味不明な話しないでよ」


 ヒナツに注意されてしまった。

 JAO運営のディスは盛り上がるけど、俺とアリスにしか通じないのが欠点だよ。



「確認だ。メインストーリーの『星降る夜の再来』まで、全員クリアしているよな?」


 全員が首を縦に振った。

 さすがこの世界のトッププレイヤー。


 本題に入ろう。


「今回のメインストーリーはこうだ。ルシファーが人造魔人アリアの体を乗っ取って復活しようとしている。アリアはルシファーを阻止すべく自殺しようとしている」


 俺の話を聞いてメマリーが目を丸くした。


「それは大変だよぉ!」


「アリアを止め、ルシファーを倒す。これが俺たちに課せられたクエストだ」


「へへっ……面白そうじゃん!」


 冒険野郎フェーリッツの目が光る。


「じゃあ、ヨモツヒラサカに行きましょう」


「まぁ待て、スクルド。メインストーリーが始まったんだから、それに合わせて行動すればいい」


 ここは異世界。何が起きるか分からない。

 クエストの進行から外れた行動を取るのはむしろ危険だ。


「まずは――」


 そう言って、倉庫BOXから1通の手紙を取り出した。


「この依頼状の送り主の所に行ってみようや」






「初めまして。あなたたちのような高名な冒険者に来ていただいて光栄です」


 会員制の酒場の個室で依頼状の送り主が待っていた。

 白衣を着たイケメンの優男だ。

 頭にはQマークことクエストアイコンが浮かんでいる。

 会話を進めてクエストを受ければ、メインストーリーが進むのは間違いなしだ。


「私の名はヘレル。ゼーテブルム帝国で研究員をしております。以後お見知りおきを」


 さらさらの金髪をなびかせて、ヘレルがにこやかにあいさつをする。


「帝国ねぇ……。何の研究をしているんだ?」


 かつて帝国はアリアを魔人に改造し、その力を悪用しようとしていた。


「魔石やモンスターの力を有効利用する研究です」


 爽やかな笑顔を崩さず答えるヘレル。



「ふぅん……で、俺たちにしか頼めない重大な依頼って何だよ?」


 依頼状には、重大な依頼があるので話を聞いてほしいとしか書かれていなかった。

 何とも、うさんくせぇ依頼だ。普通断られるだろ。

 相変わらずJAOのストーリーは雑だな。

 ヨモツヒラサカにいるアリアを連れ戻してきてほしいって、ちゃんと書けっての。


 だが、ヘレルの答えは俺の予想とは違うものだった。


「『ナゼルの底無し穴』にいる『ルシファーリテイナー』というボスを調査していただけませんか?」


 こいつ、何を言ってるんだ……?

 アリアは? ヨモツヒラサカは?


 サエラがヘレルに質問する。


「調査はどうやってするんですか?」


「ルシファーリテイナーを倒すと、ルシファーの邪印が現れます。そのスクリーンショットを撮って、私に提出していただければクエスト完了です」


 ヘレルはアリアを拉致改造した『帝国魔人研究所』の人物なのは会話の内容から明らかだ。

 懲りずに帝国がアリアを捕まえようとしているのか?


 けれども、今回のメインストーリーの筋書きは、アリアを止めルシファーの復活を阻止すること。

 帝国が出る余地なんてない。

 アリアが話すルシファーの復活とは話が繋がらないぞ。


 そもそも、ルシファーリテイナーの調査をさせたところで帝国に何の意味がある? そんなことをしても帝国はアリアを拉致することはできない。


「レイ君。これで本当に間に合うのかな?」


 サエラが不安そうな表情で尋ねてきた。

 心配はもっともだ。

 もしもアリアの自殺騒動が異世界独自仕様だったら、のんきに別ダンジョンを攻略している猶予なんてねえ。



 悩んでいると、目の前にクエストウインドウが出現した。


「『ヘレルからの挑戦』を受諾しますか?」と書かれている。


 ヘレルからの()()だと……。

 そういうことか!


「いいねぇ。面白そうなクエストじゃねーか。ヘレル、いや――」


 目の前にいる巨悪に人差し指を突きつける。




「魔神ルシファー!」




「「「ええっ!!」」」


 俺の指摘にPTメンバー全員が驚いた。

 当の本人であるヘレルは平然としている。


「会ったばかりの人をルシファー呼ばわりとは……。ちょっと変わったジョークですね」


 相変わらず天使のような優しい微笑み。

 だが、目の前の男からは正体を当てられたことに対する怒りを感じる。

 天使の仮面の下に潜んでいるのはドス黒い悪魔の顔だ。


「いや、俺はお前と違ってつまんねえ冗談は嫌ぇなんだ」


 ヘレルのまぶたがわずかにピクリと動く。



「なぜ私がそんなことを……」


「復活のよりしろを探していたルシファーは魔人研に潜入。そこでアリアを知った。肉体を手に入れようとするが失敗。アリアはヨモツヒラサカに行ってしまう。アリアの決意の固さの前に、さすがのルシファーでも手の打ちようがなかった」


 俺の話が進むにつれ、ヘレルの目が細くなっていく。


「アリアが死んだら計画はご破算になる。そこで俺たちに解決を依頼した。俺たちは全員アリアを帝国から救出したメンバー。アリアも心を開いてヨモツヒラサカから戻ってくると踏んだんだろう」


「ナゼルの底無し穴はルシファーの拠点ですよ。どうしてそこのボスを倒させるのです?」


「クエストタイトルは『ヘレルからの挑戦』――俺たちがヨモツヒラサカに挑む資格があるのか、それを確かめたいんだろ。ナゼルの底無し穴で俺たちが死んでしまったら、それもまたよし。俺たちは散々お前の邪魔をしてきたからな」


 メインストーリーでは既にルシファーの野望を何度も止めている。

 プレイヤーはルシファーにとっても憎い宿敵だ。


「何の根拠があって、そんなことを言うんです?」


「根拠なんていらねえよ。なぜなら――」


 クエストウインドウの『Yes』を押す。




「お前の挑戦、受けて立つからな」




 クエストウインドウの文言が、「クエストを受諾しました」に変わった。

次回は2月9日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




こちらも読んでいただいたら嬉しいです。


【防御は最大の攻撃】です!~VRMMO初心者プレイヤーが最弱武器『デュエリングシールド』で最強ボスを倒したら『盾の聖女』って呼ばれるようになったんです~


本作の目次上部にあるJewel&Arms Onlineシリーズという文字をクリックしていただければ、飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n6829g

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