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7-23 ズニック救出1

前回は評価を頂きました。

数ある作品のうち本作を面白いと思っていただけて、本当に嬉しいです。

これからも頑張って物語を紡いでいきますので、応援よろしくお願いします。

 俺とメマリーとでゴブリンアルピニストを殲滅した。

 残るは、上で行く手を阻む原始人【アイスマン】だけだ。


 アイスマンとはズニックが1人で相手する。

 登山技能を持っていない俺たちではルート工作ができない。近づくことができなきゃ攻撃しようがねえ。


 魔法やチャクラムでアイスマンを倒すのは難しい。

 アイスマンのHPは8万4千、DEFは1万3千。超タフすぎて、攻撃するだけDRAの無駄。



 崖上を見上げると、ズニックが一生懸命岩壁に張り付きながらルート工作中。手を少し伸ばせば届く位置にアイスマンがいる。

 ルート工作すること2分。ようやくここまで来たか!


「ウヴォー!」


 自分が張ったロープに掴まりながら、アイスマンが石のウォーピックをズニックの腕に突き刺す。


 パリィィィン……!


 たった1回の攻撃で、アイスマンのウォーピックは水色の塵となって消えた。


 アイスマンのHPとDEFはお化けだが、ウォーピックのATKとDRAは低い。

 アイスマンのATKは1万。対して、ズニックが持つHUウォーピックのDEFは1万5千。

 ATKがDEFを大幅に下回ったせいで、【防御は最大の攻撃】で武器破壊されたのだ。


 アイスマンのDEFが超高いのはUウォーピックのおかげだ。ウォーピックが無くなってしまえばDEFは477まで下がる。



 こうなったら、あとは無抵抗無防備のアイスマンを下からコンコンと叩くだけだな。勝負は見えている。

 山登りを再開しようと岩に足をかけた、その時――




 すぐ真横をズニックとアイスマンが落ちて行った。




 予想外の惨劇に一瞬思考が止まる。

 この世界はゲーム(JAO)が基になっている。ゲームである以上死ぬのは当然。俺を含めた誰かが死ぬことは常に覚悟していた。

 だけど、目の前で見ちまうとさすがに……。


 いや! 動揺するんじゃねえ!

 そんなんじゃ、この異世界(ゲーム)は攻略できねえ。

 何が起ころうとも、冷静になれ、前を向け。

 俺が今やるべきことは――ズニックの安否確認だ。



『ズニック! 大丈夫か!?』


 PT通話を繋いでズニックと会話できるようにした。


 俺みたいにウォーピックを岩に引っかけることができていれば、滑落は止まるかもしれねえ。

 それに、落下距離が小さければ何のダメージも入らない。運良く近くに落ちてくれていれば問題ない。


 頼む! 無事でいてくれ!



『すまん』



 ズニックの声だ! PT全員が歓声を上げた。


『ズニック、何があった?』


『ミスった。アイスマンの野郎に死に際、腕を掴まれた』



『無事か?』


『ああ。問題ない。すぐにピッケルで滑落を止められたからな。それほど滑落していないはず』


『そうか――』


 そう言って、崖下をのぞきこむ。

 吹雪は収まっている。それほど視界は悪くねえ。

 ねえんだけど、ズニックの姿なんてどこにも見えねえぞ!?


『俺は独りで下山する。レイさんたちは行ってくれ』


 さらっと何でもないことのように言うズニック。


『下山……って、あんたのルート工作のスピードで、できるわけねえだろ!』


 怒っている俺と違い、ガイドのクマールはあくまで冷静に問題点を指摘する。


『のろのろ降りていたら、キラブリに襲われて死ぬぞ』


『俺のことはいい。山は自己責任の場所だ。そんなことより、メマリー、一刻も早くドラゴンを倒して病気を治しに行ってやれ。それが親孝行だ』


 ズニックを助けるのか、ボスを倒しに行くのか。

 心優しいメマリーは何も言えず呆然としていた。

 流した涙が凍り、光の粒となる。



『俺たちが取るべき選択肢は2つ』


 クマールが2つの選択肢について整理する。


『1つ目は、ズニックさんを切り離してスノードロップを採りに行く。メリットは、余計な体力の消耗をせずに済むことです。ドラゴンとの戦い、ソードステップの下山。少しでもFPを溜めないことに越したことありません』


 今回はクエストによる討伐ではないから、ダンジョンボスを倒してもメテオジャムは出現しない。だから、この難所ソードステップを下山しないといけない。当然FPは溜まりまくる。

 FPが最大値になったら動けなくなる。

 ほんのわずかなFPの有無が生死を分けるだろう。


『2つ目は、ズニックさんを助けに行く。ズニックさんがいれば戦う人が増え、戦闘が楽になります。特に帰りのアイスマンの処理が格段に楽になるはずです』


 ズニックがいなければアイスマンとの戦いはよりつらいものになる。

 それに、これから戦うのはグレイシアドラゴン、レベル103のHUダンジョンボスだ。戦力は1人でも多いほうがいい。


 アリスがクマールに質問する。


『どうやってズニックさんを助けに行くんですか?』


『PTを2手に分けます。1PTはここで待機。もう1PTは俺と救出に向かいます』


『難易度高そうですね』


 アリスが言う通り難しいミッションになると俺も思う。

 キラブリの行動パターンはリンク。つまり戦闘していると次々と仲間を呼び寄せる。

 遠距離攻撃可能なチャクラムでキラブリを殲滅できるのは俺だけだ。俺がいないPTはキラブリが寄って来るまで耐えなくちゃいけねえ。



『メマリー、今回のフィルン攻略はお前のオカンの病気を治すことが目的だ。どっちの選択肢を採るかはお前が決めろ。今すぐに』


 メマリーのオカンの命もズニックの命も時間との勝負。迷っている暇はねえ。


『みんなを助けたい――そういう気持ちでここまで来たから。ズニックさんを助けて、ママの病気を治したい!』


『よぅし、そうとなりゃあ決まりだ。俺はクマールと一緒にズニックを助けに行く』


『私も行く』


 サエラが名乗りを上げた。

 サエラなら支援もできるし、良いチョイスだ。


 こうして俺とサエラ、クマールの3人でズニックを助けに行くことになった。

次回は8月11日の12時頃に更新の予定です。




この作品を面白い、もっと続きが読みたいという方がおられましたら、下にある★★★★★のところを押して評価していただければ、非常に励みとなります。




こちらも読んでいただいたら嬉しいです。


【防御は最大の攻撃】です!~VRMMO初心者プレイヤーが最弱武器『デュエリングシールド』で最強ボスを倒したら『盾の聖女』って呼ばれるようになったんです~


本作の目次上部にあるJewel&Arms Onlineシリーズという文字をクリックしていただければ、飛ぶことができます。

参考までにURLも張っておきます。 https://ncode.syosetu.com/n6829gk/

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