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1-23 最高の時間

 現在後衛の配置はこうなっている。


 左側:スパゴブ(マジックアタック使用可)2体

 左中央寄り:スパゴブ(マジックアタック使用可)4体・サルファーギズモ1体・スパゴブ(弾数0)1体

 中央:スパゴブ(弾数0)3体

 右側:スパゴブ(マジックアタック使用可)2体



 この中で最初にどこを殲滅するか。


 サルファーギズモは防御SSを2填めしているので、EXPはもはやそれほど怖くない。通常攻撃の火炎も非常によけにくいがDPSが低いので、脅威とはいえない。


 スパゴブは魔法の弾数が0になったら、ぼうっとしているだけだ。プレーヤーが接近してきたときには、カラベラという刀剣に持ち替えて応戦するが、はっきりいって弱い。

 つまり、弾数0のやつは接近せずに放置。弾数が残っているやつには、接近して魔法の使用を止めさせる。というのが基本戦術だ。


 そこで、左側からつぶすことにした。

 弾数が残っているスパゴブは左中央寄りのほうが多いが、数が少ないほうからつぶすのがVRMMOの鉄則なので、それに従う。あとは順番に右に移動して殲滅していく。



 2回跳んで左側のスパゴブのところに到着。

 それと同時にスパゴブはワンドからカラベラに持ち替えた。

 スパゴブが切りかかろうと最初の1歩を踏み出す前に、スパゴブをズバッと一突き。もちろんスパゴブは消滅。

 もう1体のスパゴブが切りかかって来るが、その剣閃を見切ってスウェーで回避。そして、横薙ぎの一撃をスパゴブのどてっ腹に叩きつける。これで左側にスパゴブはいなくなった。



 さっきまで交戦していたスパモンたちがこちらに向かって走ってくるのが見えた。ウォークライがかっているので、全員俺を狙っている。


 飛んでくるマジックアタックをかわしながら、隣の集団に向かって走りこむ。それと同時にインベントリを開いておき、毒解除のポーションをいつでも取り出せるようにする。


 見ると、サルファーギズモの下に魔法陣が。魔法の詠唱中は足元に魔法陣が発生する。すでに毒状態である俺にポイズンを撃つわけがない。さては、EXPか!


「させるかよ!」


 棍をばらばらにして、ヌンチャクのモードにチェンジ。至近距離で素早く殴ると、サルファーギズモは消滅した。毒解除のポーションを一気に飲み干す。


 だが一安心したのも束の間、スパモンたちが到着。激しいバトルの再開だ。



 スパモンたちの鋭い爪が乱れ舞い、スパゴブたちが剣を勢いよく振り下ろし、遠くからは赤と青の魔法弾が飛んでくる。


 そんな過酷な戦場で俺のHPはかなり削れ、HPバーが赤色になっている。赤色は、HPが2割を切っていることを意味している。それどころか、現在のHPバーは1割もない。つまりヤバいってことだ。普通のプレーヤーだったらパニックになるかもしれない。

 だが、これも想定内。スキルウインドウをちらりとのぞき見て、心の中でファイブカウントを始める。5、4、3、2、1――。


「インデュアペイン!」


 スキル発動と同時に回復のポーションを取り出して飲み始める。戦いの前半で何度もあったシチュエーションだ。あのときよりも現在HPは低い。一見すると危機的状況だといえる。

 だが、俺は余裕だった。現在HPは低いが、それだけだ。もうDPSの高いホーミングバブルは飛んでこない。

 そんなぬるいダメージじゃ、俺は倒せねえ!


 赤いHPバーが伸び始め、2割を超え黄色に変わる。そのままバーはぐんぐん伸び続け、緑に変わり、そして最大値に達した。


 さあ、これで勝負は決したようなもんだ。あとはスパゴブを優先的に処理していけば、バトルは終わる。さっさと決めちまうか!




 最後に残ったスパモンの攻撃を三節棍でパリィし、返しざまの一撃をお見舞いする。


 スパモンはウキィ~と情けない声を上げて消滅した。そして、消滅していくスパモンからは「温泉の素」というアイテムが落ちた。

 JAOでは、Mobは倒されるとアイテムを落とす。アイテムをゲットしようと、みんなJAOをプレイしている。


 だがアイテムなんてどうでもいい。サエラのほうを見た。サエラのほうも戦闘が終わったのか、手を振って俺の元に駆け寄って来る。

 俺はサエラの無事を確認すると、そこら辺に落ちているしょぼいアイテムには目もくれず、どかっと大の字になって倒れこんだ。


 ああ! やっぱ、ゲームをしている時こそが、俺にとって最高の時間だ!



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