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1-17 紫石の湧泉洞攻略検討

1確必中の計算は、計算に必要なデータが本文中に提示されておらず、未公表・非公表の計算式があるため、本文を読んでもできません。

そこまで計算できるレイSUGEEEをお楽しみください。


後書きに簡単なまとめを記載しておきます。

 仕方がないので、サブウエポンの検討を始めることにした。三節棍であることには、とりあえず目をつぶる。


 渡されたサブウエポンは2つ。三節棍とワンドだ。


 まずはワンドのレシピ。


 種類:SSワンド

 内蔵魔石:威力の魔石HS×1

 ヒールの魔石S×1

 威力の魔石S×1

 威力の魔石HR×3


 ワンドは杖カテゴリーに含まれるので、魔法スキルを使用することができる。魔法は一部の武器を除いて杖でしか発動できない。

 ワンドは短剣なみにCAP(容量)が小さいので、携帯性が優れている。


 このワンドにはヒールの魔石しかスキルが組み込まれていない。ということは、HP回復目的だ。ヒールの魔石のランクがまともなので、回復量はそれなりにある。

 このワンドはタイラン製なので強いとはいえないが、湧泉洞で使う分には問題ない。



 次に三節棍のレシピ。


 種類:SS三節棍

 内蔵魔石:命中の魔石HS×1

 命中の魔石S×2

 威力の魔石HR×2

 命中の魔石HR×1


 三節棍はDRAが1900しかないのに、耐久の魔石が1つも組み込まれていないのが不満だ。だが、この点はサブウエポンだし、今回は別にいいだろう。


 HSの魔石はステータスを1075、Sの魔石は500、HRの魔石は175上昇させる。つまり、HITは2250上昇することになる。かなりHIT重視のレシピだ。



 この武器で湧泉洞のMobに対応できるかを検討する。


「サエラ、お前のステータスを教えてくれ」


「えっ、別にいいですけど。どうするんですか?」


「スパモンを1確必中にするために、外付け魔石でいくら底上げすればいいか計算する」


 俺が言っても、サエラはきょとんとしていた。どうやら意味が通じていないらしい。


「一撃で確実に敵を倒せるATKと、確実に敵に命中させるだけのHITを計算したいんだよ」


「どうやって計算するんですか?」


「最初に言っただろ、『最終レべリングマップだから何でも聞いてくれ』って。湧泉洞なら、ボス以外のMobのステータスを全部覚えているよ」


「そんなこと……本当に分かるんですか……?」


 サエラが驚くのも無理はねえ。向こうの世界じゃ、Mobの全データや各種計算式が解析されており、Wikiなどのサイトを閲覧すれば簡単に調べることができた。だが、この世界は当然だがネットは繋がらないため、知るすべはない。


 だが、俺は覚えている。特に、湧泉洞はレべリングの最終マップだ。最適解を見つけるために、穴が開くほど攻略Wikiを見た。細かい数値までバッチリだ。


「分かるっていったら、分かるんだ。細かいことはいい。とにかく、ステを教えてくれ」



 サエラからステータスを聞いた後は、ひたすら電卓を叩き続けた。

 湧泉洞の主力はスパゴブリンとスパモンキーというMobだ。

 スパゴブリンは白いタオルを腰に巻いたゴブリンで、その名の通り今から温泉に入りそうなグラフィックだ。スパモンキーは幼稚園児くらいの背丈で、薄黄土色の毛と赤い顔の猿。つまり、まんまニホンザルだ。

 両方ともユーモラスで弱そうな外見だが、この2匹、特にスパモンキーをどう処理するかが湧泉洞で狩りをするポイントになる。



 スパゴブリンの重要なデータはこうだ。


 名前:スパゴブリン

 レベル:58(HSランク)

 大種族:ゴブリン

 HP:2182

 AI:アクティブ・後衛

    近接時はカラベラに持ち替える


 武器1:HSワンド

 火属性攻撃

 MAT:1211

 HIT:260

 DOG:496

 DEF:448

 アクティブスキル:ホーミングバブルR

          マジックアタックR


 武器2:HSワンド

 水属性攻撃

 それ以外は武器1と性能が同じ


 武器3:Sカラベラ

 ATK:967

 HIT:310

 DOG:491

 DEF:448


 スパゴブリンは後衛だ。10メートル離れたところに陣取って魔法をバンバン撃ってくる。

 MATマットとは魔法攻撃力のことだ。MATはそれほど高くないが、火と水、異なる属性のかわしにくい魔法を連発するのでかなり痛い。しかも数が多いときた。



 次はスパモンキー。


 名前:スパモンキー

 レベル:58(HSランク)

 大種族:動物

 HP:1635

 AI:アクティブ・リンク

    ヘイト変動が大きい(攻撃対象をころころ変える)


 武器:爪

 ATK:545

 HIT:907

 DOG:3147

 DEF:121


 こいつが湧泉洞一の難敵だ。

 HPやDEFは低い。だが、猿らしく身のこなしが軽く、攻撃を当てるのが大変だ。そのうえ、尋常じゃないDOGなので、十分なHITを確保しないと戦闘が終わらない。

 しかも、リンクなので、戦闘していると次々と仲間を呼び寄せる。こいつをうまく処理できないと、数匹のスパモンキーと戦っていたはずが、いつのまにか二十匹以上に囲まれていたということになるおそれもある。

 とにかく数が多いので、ATKは低いがダメージはたまりやすい。それに、こいつに手間取っていると、他のMobの攻撃を受け続けることになる。不用意にスパモンキーの大群に突っ込むのは避けたいところだ。


 だが、スパモンキーを狩らなきゃ意味がない。

 スパモンキーの経験値は288。同程度のレベル台の敵の経験値が大体240程度だから、スパモンキーの経験値効率の高さが分かるだろう。

 しかも次から次へと湧いてくる。危険を避けつつ上手くスパモンキーの集団と戦えたときは、大量の経験値を得ることができた。

 ちなみに、スパモンキーの次に数が多いのはスパゴブリンだ。こいつの経験値は196しかない。ただのお邪魔Mobだ。



 湧泉洞で安定して狩りをしようとすれば、次の2つの点に注意する必要がある。


 スパゴブリンのホーミングバブルのダメージをなるべく抑える。

 スパモンキーの湧きに対処できるように、スパモンキーを1確必中できるだけのATKとHITを確保する。


 それには、三節棍に内蔵されている魔石の効果だけでは不十分だ。魔石を外付けして、ステータスを上昇させる必要がある。



 全ての武器は、魔石を7つまで外付けすることができる。


 魔石を外付けすると、外付けした魔石の恩恵を受ける。

 例えば、命中の魔石を外付けするとHITが上昇し、回避の魔石を外付けするとDOGが上昇し、スキル魔石を外付けするとスキルを使用できるようになる。


 ただし、魔石の効果は3分と非常に短い。

 レアリティの高い魔石を効果が切れるたびに填め替えていると、ものすごく痛い出費となってしまう。そのため、武器よりも3ランク下の魔石を使うのが普通だった。

 何の魔石を外付けすればよいかは、置かれている状況によっても異なる。ある意味武器の選択よりも重要ともいえる。




「最適解見つけたぜ」




 計算完了を告げると同時に電卓のアプリを消した。


「どうすればいいんですか?」


 サエラはすすっていた紅茶のカップをテーブルに置いた。カップからは湯気が立ち上っている。いつの間にか2杯目を注文したようだ。計算に夢中で、全く気がつかなかった。


「命中Sが1、命中HRが2、威力HRが2でスパモンを1確必中だ。防御HR1個は填めておけよ。あと1枠は好きにしてくれ」


「ひゃぁ~。すごいですねー。ほんとに計算しちゃったんですね」


 目をぱちくりさせてサエラは驚いている。


「それくらい朝飯前よ。廃人なめんなよ」


「もうお昼食べちゃいましたよー」


「そういうことじゃねーよ!」


「じゃあー、命中は全部HRにしたらどうなりますか?」


 俺のツッコミを華麗にスルーして、サエラは話題を変えた。


「それだったら、命中HRが5になる。スパモン対策だけで7枠埋まっちまう」


 スパモンキー対策だけで外付けの7枠が埋まる。それじゃあ、スパゴブリンなどの攻撃を耐えることは厳しい。



「そっか~、そこまでちゃんと考えられてるんだね」


「あたりめえだ。伊達に廃人やってねーからな」


「何だかよく分からないけど、レイさんってほんとすごい人ですね~」


 素直できらきらした目でサエラに褒められる。

 かわいい女の子に褒められたことなんて今まで一度もなかったから、何だか、こそばゆくなってきた。


「と、とにかく、計算したから、さっさと行くぞ!」


 俺は慌てて立ち上がり、会計を済ませ店を出た。


◇今回のJAOのシステム説明まとめ


全ての武器は、魔石を7つまで外付けすることができる。

魔石を外付けすると、外付けした魔石の恩恵を受ける。ただし、効果は3分。




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