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5-13 半人前2

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

「お前ぇらの言い分はよーく分かった。で、俺にどうしてほしいんだ?」


 俺の質問にツフユが答える。


「アキ海中社殿では既に移動工房のレンタルサービスで狩りをしてるでしょ」


「満潮の砂浜だけだがな」


 アキ海中社殿の砂浜には満潮時のみ、アキオイスターという経験値の塊のようなMobが出現する。移動工房ではそいつを対象としたレンタルサービスを行っている。


「結構トップ冒険者も利用していると聞いたよ」


 白々しいツフユのおべんちゃら。お前、ヒナツに元冒険禁止区域での狩りを反対しているだろ。


「まーな。最近は商売も上々だ」


「そこで、鬼退治をもっと盛り上げるべく、レンタルサービスのコースに本殿と干潮砂浜のコースも加えてほしい」


 ツフユの提案に思わず声が出た。


「え……そんだけ……?」


「それ以上、何かするの?」


 ツフユもマジで言ってるらしい。



「…………分かった。お前らの話、乗ってやんよ」


「ありがとう。これで今年の冬は乗り切れるよ」


 ツフユの顔からイライラが消え、


「神官連のメンツも守られましたな」

「何よりです」


 モブ2人も緩み切った顔になった。


「た、だ、し――1つだけ条件を呑んでもらう」


「な、何だよ……」


「今回のイベントの責任者は誰だ?」


「神社関連のイベントだから、あたしが実行委員長だけど……?」


 ツフユか、ちょうどいい。


「お前、実行委員長クビな」


「仕方ねーか。あたしじゃ武器のことは分からないしね。レイ=サウス、あんたなら――」


「実行委員長はヒナツだ」



 ヒナツの言葉を聞いて、ツフユの顔がこれまで以上に険しいものになる。


「はぁっ!? ふざけんな、あんな半人前に何ができ――」


「半人前なのはお前だろ、ツフユ」


「あたしが半人前だぁ。どういう意味だ、レイ=サウス!?」


 ツフユが唇を引きつらせて俺を睨みつける。この間の喧嘩の時みたいに爆発する寸前。だが、今優位に立っているのは、俺だ。


「さっきから黙って聞いてりゃよぉ。横の2人はともかくツフユ、お前ぇそれ、人に物をお願いする態度か!?」


「………………っ!」


 正直、俺も態度は悪い方だ。よくバイトの先輩や店長に注意をされていた。

 だけど、ツフユのそれは完全に接客の態度じゃねえ。完全にアウト。俺が働いていたコンビニなら一発でクビだ。俺でもずっと働けていたのに。


「お願いを申し出る立場にありながら、失礼な態度を取ってしまい、申し訳ございません」

「我々の数々の無礼、お赦しいただきたい」


「…………申し訳ございませんでした」


 怒られていないはずの左右の2人が頭を下げるのを見て、ツフユも深々と頭を下げる。


「ヒナツは接客慣れてるからな、こんな失礼な態度は絶対取らねえぞ」


「はい。以後気をつけます」



「それと、ツフユ。レンタルサービスのコースを開設したところで、一日で何個豆を集められると思ってるんだ?」


「それは……」


 ツフユは何かを言おうとするが言葉が続かない。

 当然だ。移動工房のレンタルサービスは1日6人PTの3回転が限度。そんなペースじゃ豆は普及するはずがない。


「俺はアキ用の武器を販売してくれって言うと思ったんだ。そんなことすら考えなかったのかよ」


 俺の叱責にツフユが反論する。


「それは私どもも考えました。でも、どうせみんな怖がるから、豆集めを手伝ってくれるはずがありません」



「やっぱ、お前は半人前だ、ツフユ」


「どうして!?」


「何事もまず無理から始まって、思考停止している」


 そういうネガティブな性格なのだとヒナツから聞いている。でも、それじゃあ何も変わらない。


「ヒナツは確かにかんなぎの実力的には半人前だろうさ。でもな、それを何とか乗り切ろうと、いつも一生懸命だ。バカなりに色々な事を考えている。少なくとも、アキで狩りをしてもらうのが無理だなんて、絶対ぇ言わねえよ」


「…………」


 あれほどウザかったツフユの口は、もう開かない。


 だけど、本心は納得が言っていないのだろう。

 ツフユは下に視線を落とし、唇を噛みしめ俺の言うことを聞いている。

 半人前のヒナツなんかにできるはずがない。そう考えているのだろう。

 ヒナツのほうが実力は下。何も結果は出していない。ツフユの評価は妥当だ。



 だったら、俺たちが覆してやろうじゃねえか。その評価をよぉ!


「ツフユ、今回のイベントはいつもみたいに、だら~っとしてろ。お前よりもヒナツのほうが立派な巫女だってところ、見せてやる!」

次回は8月22日の15時頃に更新の予定です




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