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3-17 橋攻略検討3

 対フォッカー用の武器についての説明を始めた。


「最優先は命中。ただでも当てにくい相手だ。当たらなきゃ狩りにならねえ」


「そりゃあ、そうっしょ」


 フェーリッツがうなずいた。


「次は攻撃力。1確するのはそれほど難しくねえ。こいつは突防だろ。斬に弱ぇ。水属性の倍率も2倍。水を外付けして、CATの高い長柄で斬れば楽勝だ」


 こう言った時、フェーリッツが少し苦笑いしたのが見えた。それには構わず説明を続ける。


「それから、ドラゴンブレスに対抗するには耐龍だな。防御はもちろん、耐風も填めたいところだが、まぁ、レシピ次第だ」


 耐龍とは、耐種族魔石の一つ、耐龍の魔石のことだ。耐龍を使えば、大種族龍のMobからの攻撃が大きく減少する。当然だが、ランクが高いほど減少量は大きい。なるべく内蔵したいところだ。

 耐風は耐属性魔石の一つ。耐風属性の魔石のことだ。耐属性魔石の効果は耐種族の効果よりも小さい。しかも、風属性攻撃はフォッカーの魔法だけだ。となると、優先順位は低い。外付けになると思われる。



「あと、当然だけど耐久もな」


「レイさん、どこでも鍛冶スキルを使える能力を持ってるんじゃなかったのかよ!?」


 フェーリッツが驚いた。無理もねえ。移動工房のチートがあれば、DRAとSDRAの心配はしなくてすむと思っていたはずだ。


「簡単に手に入る武器なら、どんなやつでも遊ぶことができる。これが今日の狩りのコンセプトだ。俺しか持っていないチートはお呼びじゃねーんだよ」


 フェーリッツは武器屋による武器の押し付けを憎んでいた。俺がチートを使ってしまえば、俺の力の押しつけだ。武器屋がでしゃばる必要はねえ。JAOの主役は武器屋じゃねえ、プレイヤーだ。


「分かった。あんたの言う通りっす。つまんねえこと言ってゴメン」


 フェーリッツも分かってくれた。やっぱり、こいつも俺と同じ、ゲーマーだ。


「それと、作る武器は1人2本だ。これはあくまで遊び。それ以上、金はかけられねえ」


 フェーリッツの武器は、フォッカー特化と、それ以外の武器にするつもりだ。汎用にするのか、モマとエフ対策にするのか、防御用にするのか、支援用にするのか、それはまだ決められない。


「了解っす」



「まぁ、基本方針はこんなところか。次に基礎ステを教えてくれ」


「いいっすよ」



 フェーリッツの基礎ステはこうだった。


 レベル:99

 最大HP:10280

 vit:67 str:23 dex:1 agi:88 int:44 res:55


 追加ATK:290

 HIT:10

 DOG:1600

 追加MAT(魔ATK):640

 DEF:850



 テ、テンプレじゃねぇ……。でも、ほとんどの数値が11の倍数、もしくは、それをほんのちょっと上回った数値で調整されている。メマリーのように適当に振った数値じゃねえ。明らかに意味がある数値。いわゆる謎ビルドってやつか。こいつはどんなプレイを見せてくれるんだ?



「長くなっちまったが、さて、これでお前ぇのリクエストを聞くことができるな。もちろん、全ての注文を盛り込むことまではしねえがな」


「こんなに盛り込んで、まだ俺のリクエストを聞こうって言うんっすか……」


 フェーリッツの言葉を聞いて、


「当ったり前よ、なんたって俺は――」


 自然に口角が上がる。


「武器屋だからな」


 依頼人にとって最高の逸品を作る。これこそ武器屋の使命。武器屋の醍醐味。

 そんな一番大事な事をおろそかにする阿呆なんて、俺から言わせりゃ、武器屋じゃねえよ。



「それじゃ、俺も遠慮せず言わせてもらうっすよ」


「おう、どーんと来いやぁ!」


「まず、俺は短剣使いっす。長柄は使えねーんだわ。あ、杖とかで魔法は使えるっす」


「…………」


 き、聞いてねーぞぉぉぉ!!

 橋は足場が不安定だから、機動力を生かさなければならない短剣使いとは相性が悪い。短剣使いだって知っていたら、さすがに橋は勧めなかったぞ。今から狩場を変更するなんて、かっこ悪ぃ真似なんてしねーけどな。


「とはいっても、RANが長い武器として、ショートソードを使うこともあるぜ。フォッカー相手にはそっちのほうが嬉しいっす」


 RANが長い武器って……、ショトソのRANは70しかねーんだぞ。全然長くねーんだけど。ショートソードって名前の意味、ほんとに分かってる?


「太刀とかじゃダメか?」


 太刀は斬の威力は出やすいし、ショトソよりも長い。ずっと対フォッカーのレシピが作りやすい。


「全然感触違うじゃん」


 まぁ、そりゃ、そうだ。ショトソは西洋剣。太刀は日本刀だ。使い方は全く違う。


「やっぱ、条件きついっすかね……」


「んなわけねーだろ! 一応聞いただけだぁ! 橋を攻略するショトソくらい作ってやんよ!」


 不可能を可能にするのもゲームの醍醐味だ。俄然やる気が湧いてくるってもんだ。



 他のリクエストは以下の通りだった。


 ・エアフロートもしくはスカイウォークを使いたい

 ・フォッカー特化にもスカイウォークを組み込んでほしい

 ・ショートソードには水魔石を内蔵

 ・どちらの武器でもフォッカーのサイコバレットを100%回避

 ・どちらの武器でもドラゴンブレスに耐えられるようにしてほしい

 ・フォッカー特化以外の武器にはハイディングとクローキングのどちらも内蔵してほしい


 スカイウォークとは一定時間空中を歩くことができるようになるアクティブスキルだ。エアフロートはそれの魔法版。揺れる橋ではかけておきたいところだ。

 サイコバレットとは攻撃魔法だ。ホーミング性能がなくHITも低いが、威力は高い。

 ハイディングとクローキングは隠密スキルだ。ドラゴンブレスをかわすには欠かせない。



「武器は明日渡す。場所は酒場でいいな?」


「OKっす! 明日楽しみに待ってますんで」


「最高の武器、期待して待っとけ」


 材料が無いので、この日はリクエストを聞いて解散することにした。

次回は3月30日の12時頃に更新の予定です。




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