料理長と無限バクバク
彼の話をしよう。
元孤児で、痩せていて、だからこそ食べるという行為を大事にする。
これは、そんな彼の物語。
・
正門から入って真っ直ぐの場所に、教員用の建物がある。
その一階が、食堂だ。
教師も九年生も三年生も一年生も皆、ソコで食べる。
モチロン、パートナーの魔物達もソコでの食事だ。
「あら、今日の受付けはバジーリオ料理長なんですのね」
「そうだとも」
ひょろりと長く、見るからに細い壮年の男性、バジーリオ料理長が微笑みながら頷く。
「さて、エメラルド。君の今日のご注文は?」
この食堂では、こうやって受付けに注文するシステムだ。
ここで注文をし、出来上がった料理を受け取ってその辺の席に座り、食べる。
ちなみに今日は教師に頼まれゴトをされた為、少し遅めの昼食である。
既に並んでいるヒトはおらず、食堂のテーブルもヒトがまばらだった。
「オススメはありますの?」
「全部オススメだな」
白髪が混じり、少し薄くなっている赤い髪を邪魔にならないよう括っているバジーリオ料理長は、そう言って笑った。
「人肉料理から草料理まで、何でもあるぞ」
「ホントーにそうだから適当言えませんのよねー……」
そう、混血の場合は親である魔物の体質を継ぎ、人間用の料理が食べられないヒトも居る。
というかそもそも魔物用の料理も置いてあるのだから、そのくらいは当然と言えよう。
……魔物、人肉食べる種族もそれなりに居ますものねー。
人肉が主食なのもそれなりに居る。
ちなみに害があると判断されれば害魔とされ討伐対象になる場合もあるのだが、基本的に不死身系の肉、または料理店などで提供される人肉を食うくらいならスルーだ。
地球でいう、熊が人間を襲わない限りは、そして自然を破壊しない限りは狩らないのと同じである。
ヒトの方も不死身系がまあまあ増えているので、共存可能なのは事実だ。
……ここで提供されてる人肉も、不死身だし回復するからっていう生徒の肉ですしね。
不死身系は痛覚が無いのも多く、そんな魔物を親に持つ子もまた不死身かつ痛覚無しが多い。
腕を切り落としたくらいなら、回復も数分だったりする。
そして肉の提供というコトは、要するに食材の提供だ。当然その分の値段が払われるので、バイト代わりに自分の肉を提供するヒトは多い。
……さて、ではナニを頼みましょうか……。
「バジーリオ料理長、今日多めに売れ残ってるのは?」
「売れ残りとは、恐ろしい単語を使うな……」
口の端を少し引き攣らせながら、バジーリオ料理長は軽く厨房を覗き確認する。
「桜馬の肉が多めにあるが、ソレにするか?」
「ではソレで」
振り返ってそう言ったバジーリオ料理長に、こちらも答えた。
桜馬とは、食用魔物の一種である。
極東……地球で言うアジアの方の食用魔物であり、肉が桜色で、食べるとほんのり桜の風味がするという馬の魔物。
地球基準では会話まで出来る相手を食らうなど、と思うかもしれないが、この世界の食用魔物は、自ら食われたがるのが多いのだ。
……食べ物としての本能、なのかもしれませんわね。
自分を食えと突進かましたり、ちょっとの衝撃でパーツがパージしたり、痛めつけられたがったうえで興奮の余り昇天したり、よっしゃ食われるぞ!と勢い良く自殺する食用魔物も多い。
ゆえにこのアンノウンワールドにおいて、食用魔物の牧場をやっているヒトは、かなりの技量を持つ必要がある。主に食用魔物の自殺防止など。
……まあ、味は良いので良いコトなんでしょうけれど。
「ふむ……料理はナニにする?」
「焼きか煮込みかスープでお願いしますわ」
「スープは時間が掛かるが、煮込みは魔法を使えばスグだから……煮込みにしよう。少々待っていてくれ」
そう言ってバジーリオ料理長は厨房へと移動した。
・
料理が出来た後、何故か自分はバジーリオ料理長と共に食事をしていた。
「……あの、料理はとても美味しいのですけれど、どうして一緒に食べてるんですの?」
「ナンだ、私が一緒に食べてはいかんのか?」
焼いた肉を巻いた野菜、をパンで挟んだサンドイッチのような、否、ケバブのようなモノを食べながら、バジーリオ料理長はムスっとした表情になった。
「別に、そういうワケじゃありませんけど……いつもはこうして食堂で食事をしている様子を見ませんもの」
「ああ、そういう意味か」
ケバブのようなモノを飲み込みながら、バジーリオ料理長は納得したように頷いた。
「私以外は既に食事を終えていたが、私はまだだったからな。そして一人で食べるのは寂しいからこうして真正面の席を取って食べている。あと食堂で食事をしている姿を見ないのは、基本的に私達料理人は料理を作りながら少しずつ摘まみ、腹を満たしているから。以上だ」
「成る程」
とても簡潔でわかりやすい。
「……あら?でも、ソレだと食事はしているはずですわよね?」
「そうなるな」
バジーリオ料理長はケバブのようなモノの最後の一口をゴクリと飲み込み、頷いた。
「基本的に料理人はつまみ食いで空腹をしのいでいるが、ソレはソレだ。ピークを過ぎたら普通に食事タイムに入る」
次にバジーリオ料理長は、スープを飲み始めた。
「まあ大体は厨房でそのまま食べるのだが、時々は食堂で食べたいのでな。今日はその「時々」デーだ」
「納得しましたわ」
通りで普段の食堂ではこの目でも視かけないはずだ。
……まあ、普通ピーク時に料理人が食事するとは思えませんけど。
そう思いながら桜馬の肉の煮込みを食べていると、スープを飲んでいたバジーリオ料理長の顔が歪んだ。
「……失敗だな」
「?ミスりましたの?」
「ミスったワケでは無く、試作品だ。コレでも料理長という立場であるし、多種多様な生徒が相手なワケだからな」
水で口の中をリセットしながら、バジーリオ料理長は語り始める。
「私は元々、この国では無い国の孤児院で育った孤児だ。ちなみに貧乏孤児院で食うに食えぬ孤児院だった」
「まあ」
……いきなり何か始まりましたわね……。
「だからこそ食べるというのは私にとってとても大事な行為だ。この食堂の利用は学費さえ払っていればおかわり自由。幼少期に欠食児童だった私としては、育ち盛りがしっかりと食べれるこの学園の環境はメンタル的にとても良い」
「メンタルに優しいというのは大事ですわよね」
こちらとしてはいきなり過去を語られて少々困惑中だが。
だが困惑中だろうと料理を食べる手は緩めない。
……基本マイペースに生きるのが長生きのコツですの。
アンノウンワールドにはマイペースかつゴーイングマイウェイ、かつ個性も強いヒトが多い。つまりスルーが一番というコトだ。
実際この程度の対応はデフォルトなので、こちらが黙々と食べていようと、バジーリオ料理長は気にせず語り続けている。
「で、そんな生徒達、そしてそのパートナーが美味しく、かつ満足した食事が出来るように、と私は日々試作品を作っては試食しているワケだ」
「ああ、そういう着地をキメますのね」
「どういう着地だ」
「こちらの話ですわ」
主にいきなりの自分語りの理由解明とか。
……最初にスタートと結論言ってもらってから詳細聞くのと、最初から事細かに説明してもらうの、どちらが良いのでしょうね。
個人的にはソコまで聞いていない、がベストアンサーな気もするが、流石にそのアンサーは口にするのが憚られる。
ので、追及を逃れるように桜馬の肉の煮込みを口に運んだ。
魔法を使用しただけあって、トロトロで味も染み染み。流石は王族から一般人まで通う学園の料理。
「まあ良いが……ただ、問題もあってな」
テーブルの上にある調味料でスープの味を調えつつ、バジーリオ料理長は溜め息混じりに言う。
「私はただのヒトだから、生肉だの人肉だの毒入りだのが食べられない」
「ソレがデフォルトだと思いますけれど」
人肉は火を通せばギリギリイケるのかもしれないが、生肉は刺身でもなければ腹を壊すだろうし、毒入りは最悪死ぬ。
……まあ、遺伝でそういうのが主食のヒトも居るから、仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれませんわね。
「あと元々欠食児童だったせいで、胃が小さくてな。量もあまり食べられんのだ」
「それは……生肉だの人肉だのを抜きにしても、試食する側としては不利ですわね」
大食いかつ味がわかるようなのがベストな試食係だと思う。
「だからこそ一応ソレらが主食な生徒や魔物に試食をしてもらったりはしているが……正直味見が出来んせいで味付けの加減もよくわかっていないからな。もしそういうのが得意な魔物でも居たらパートナーに欲しいくらいだ」
「あら」
味を調えたスープを一口飲み、マシな味になったのか一気に飲み干したバジーリオ料理長の言葉に、少し驚いた。
「バジーリオ料理長、パートナー居なかったんですの?」
「……真っ当に生きていてもな、不思議と出会いが無いヒトも居るんだ。今の内に覚えておけば、将来そうなった時のダメージは少なく済むぞ」
「真顔で暗黒面への勧誘するの、止めてくださいませんこと?」
もし本当にそうなったらどうしてくれる。
・
そんな話をしてから数週間後。
「軽いのは良いですけれど……かさばりますわねー」
カティヤ手芸教師とシャルル制服製作者にゴミ捨てを頼まれ、ゴミ捨て場に来ていた。
……どうしてこう、わたくしはヒトに頼まれるんですの?
一応断ったりもしているハズなのに、断れた試しが無い。
食堂で姉と会った時や、両親への手紙などで愚痴ったりしたが、返って来たのは「天使の子孫だから仕方が無い」という言葉だった。
……ソレって何の救いにもなりませんわー!
父のコトは好きだが、ソレはソレ。ヒトに頼まれる上に断れない性質が遺伝するとはなんたる悲劇。
しかも話を聞いている感じでは、兄と姉にも受け継がれているらしい。
……遺伝性が高いんですのねー。
そう現実逃避するしかないくらい、悲しい現実だった。
「って、あら?」
ゴミ捨て場に到着して早々に視たのは、ソコに置かれているゴミをモシャモシャと食べる魔物の後ろ姿だった。
見た目はまるで悪夢を食うと言われるバクだが、色合いが違う。
黒い部分はクリーム色で、白いハズの部分がピンク色というファンタジーファンシーカラーをしている。
こちらからは後姿しか見えないが、よく視てみると、その口はクチバシのようになっており、ソレでゴミを噛み千切っているようだった。
もう少しよく視てみれば、飲み込んだモノは喉にある歯で砕き、すり潰しているらしい。
……この魔物、無限バクバクですわよね。
お察しの通り、この名称をつけたのは極東だ。
見た目はバクであり、特徴を言うのであれば何でも食べれてどれだけでも食べれる魔物、と言うのが的確だろう魔物。
下手に食い荒らせば害魔に認定されるのがわかっているから、時々ゴミ捨て場に現れてゴミを食べると図鑑には書かれていたが、まさかホントだったとは。
……かといって、どう反応すれば良いんですの?
ソコまで考えて、少し前にバジーリオ料理長とした会話を思い出した。
バジーリオ料理長は確か、大体のモノを食べれるような魔物をパートナーに欲しい、と言っていなかっただろうか。
既に曖昧な記憶ではあるが、日々の食事を提供してくれている相手だ。
……一応伝えるだけ伝えておきましょうか。
とりあえず無限バクバクを刺激しないように、と手に持っていたゴミを程々の位置に置いてから周囲を視渡す。
バジーリオ料理長は、いつも通り厨房に居た。
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息が切れないレベルのダッシュで食堂まで移動し、厨房に居るバジーリオ料理長を呼び出す。
「バジーリオ料理長、少しお時間、よろしくて?」
「何だ、一体」
怪訝そうに厨房から顔を覗かせてこちらを見るバジーリオ料理長に、報告する。
「この建物の西側にあるゴミ捨て場に、どんなモノでも、どれだけでも食べれるという魔物……無限バクバクが居ましたわ」
「……は?」
「先日そういう魔物が居るなら紹介して欲しいみたいなコトを仰っていた気がしたので、報告に来ましたの」
そう言うと、バジーリオ料理長は他の料理人の方に一旦出ると言いながら、厨房から出てきた。
「エメラルド、その無限バクバクは確かに西のゴミ捨て場に居るのだな?」
その顔は、真剣だった。
「……はい。視る限り、まだあの場でゴミ食べてますわ」
「でかしたぞエメラルド!」
「はい!?」
笑みを浮かべながらそう叫び、竹のように風が吹けばしなりそうな細さのバジーリオ料理長は、そんな気配など感じさせない雄雄しさで食堂を飛び出して行った。
・
あの後慌ててバジーリオ料理長を追いかけたは良いものの、ガチのダッシュをされ、ゴミ捨て場でようやく追いついた時には、すっかり息を切らしていた。
「ぜぇ、はぁ……」
「確かにあの色合いと食いっぷりは無限バクバク……!」
……なのにバジーリオ料理長の方は少し髪が乱れたくらいって、理不尽ですわ!
先程のダッシュの時は息が切れないよう調整しながら走ったというのに、まさか往復するハメになるとは。その上、息切れまで発生した。
避けようと必ず訪れる運命だとでもいうのだろうか。息切れとの運命は遠慮したい。
……下手に運命認めると、マジで息切れの魔物との縁が結ばれる可能性ありますものね。
アンノウンワールドはその名称に恥じず、未知の魔物も多い。つまりとても危険ですの。
「そこの無限バクバクよ」
そんなコトを考えながら呼吸を整えていたら、バジーリオ料理長が無限バクバクに話しかけていた。
「……ん~?私のコトかしらぁ~?」
ゆったりした、間延びした口調。
可愛らしい女性の声でそう言いながら、緑の目をした無限バクバクはこちらへと振り向いた。
無限バクバクの言葉に、バジーリオ料理長は頷く。
「そうだ」
「あらぁ~……もしかして、ここのゴミ、食べちゃいけないヤツだったのかしら~?」
間延びしながらも少し気まずいといった表情になった無限バクバクに、バジーリオ料理長は首を横に振る。
「いや、ソレは別に構わん。こっちとしても助かるのでな」
「そう~、良かったわぁ~」
バジーリオ料理長の言葉に、無限バクバクは安心したように息を吐いた。
「それじゃあ~、私にナニか用があるのかしら~?」
「ああ」
頷き、バジーリオ料理長は無限バクバクへと跪いた。
……いきなりの行動に、無限バクバクが驚いてますわねー。
「私はこの学園で料理長をしている、バジーリオという者だ。知っているかもしれないが、この学園には多種多様な生徒が通っており……」
話が長くなるのではと思ったが、バジーリオ料理長はキリっとした顔でソッコで纏めた。
「端的に言って、料理のレパートリーを増やす必要性がある」
「でしょうねぇ~」
……片方ハショり過ぎですし、もう片方はのほほんとしてて理解してるかどうかわかりませんわねー。
「だが私は見てわかるだろうが、食が細い。あと人肉や生肉は食えん」
「あ~……」
無限バクバクから心の底から納得したような声が出た。
コクコク頷いているのは、納得材料しかないからだろう。
「しかし提供するには出来るだけ味見をして調理法方や味付けを研究したいのだ」
バジーリオ料理長は、真面目な顔で無限バクバクに向き合う。
「だから、君に頼みたい。まるで毒見をさせるようで大変申し訳ないにも程があるが、私は昔飢えていたコトがある。だからこそ、子供には美味しい料理を食べさせたい」
跪きながら、バジーリオ料理長は頭を下げる。
「どうか、私のパートナーになってはくれないだろうか、無限バクバクよ。君の食に関するポテンシャル目当て過ぎて本当申し訳ないが、こちらも全力を尽くす。君には試作品を食べて、率直かつ正直な感想を言ってもらいたい」
……言ってる内容をプロポーズの言葉だとすれば、まあまあアレですわよね。
申し訳ないを連呼しているあたりバジーリオ料理長にもアレだという自覚はあるらしい。
そもそも初対面の相手にパートナーになってほしいと申し込み、その口説き文句がコレだ。流石にアレだという自覚は当然あるだろう。
まあ、パートナーになるというコト自体はわりと当日即電撃パートナー率高いから問題は無いと思うが。
……問題は口説き文句ですわね。
思考が野次馬過ぎる気はするが、息は整ったものの立ち去るタイミングを失ったせいで背景と同化しているのだ。
このくらいの現実逃避は許されたい。
「う~~~ん……つまりぃ、私はただ食べて感想を言えば良いってコト~?」
「そうなる。パートナーになるかどうかは保留でも構わない。どうか協力してはくれないだろうか」
「ソレなんだけどぉ~……」
少し言いにくそうにしながら、無限バクバクは言う。
「私はパートナーになるのは全然良いのよぉ~。沢山食べれるっていう条件は良いし~」
……それは確かにそうですわね。
「でも~、もし私がパートナーになってぇ~、感想がトンチンカンだったらどうするのぉ~?」
アレな感じのパートナー申し込みではあったが、無限バクバクからしたらアリだったらしい。
もしパートナーになったら、を話している時点で、脈アリと捉えて良さそうだ。
ソレに対し、バジーリオ料理長は真面目な顔で答える。
「何度か食べてもらってこちらで味覚の解析をするだけだ。味覚では無く表現がトンチンカンだったとしても、今試食を頼んでいる生徒の中にもそういうのは居る。「コレはトリカブト系の後味に似てて好み」とか言われても、ソレが他の毒を食う生徒にも当てはまるかは不明だからな」
……ソレは確かに人によりますわー。
そもそも人の好み自体が千差万別なのだ。皆が皆同じ好みなら、家庭の味など存在しない。
味見出来て前例も多い料理ですらソレなのだから、味見も出来ない前例も少ない毒料理や人肉料理などは、本当に難しいモノだろう。
……どんな感想だったとしても、参考にするには時間掛かりそうですものね。
「ん~~……つまりぃ、ちゃんと最後まで面倒見てくれるってコト~?」
首を傾げながらのほほんとした口調で、だがしっかりした内容を口にした無限バクバクに、バジーリオ料理長は深く頷く。
「モチロンだ。私が君に愛想を尽かされるコトはあるかもしれんが、私が君を放置するなどは絶対にありえん」
「……じゃあ~、コレからヨロシクお願いするわぁ~」
無限バクバクはニッコリと笑う。
「ヨロシクね~、バジーリオ」
パートナー関係がまた一組生まれたのを見ながら、自分は学園に来てからやたらパートナー関係が出来るまでを見届けているような……と、思わず遠い目になった。
・
コレはその後の話になるが、無限バクバクは意外と味覚が肥えていた。
「コレねぇ~、とっても美味しいけどぉ、生徒に出すならもうちょっと薄めた方が良いと思うわ~」
人肉で作られた料理を食べながら、無限バクバクはそう感想を言う。
「あとコッチだけどぉ、この料理には動物性の毒の方が合うと思うの~」
「動物性……具体的には?」
「そうねぇ~……哺乳類系の毒が良いと思うわ~」
「わかった、注文しておこう」
会話の内容は少々アレだが、実際無限バクバクが来てからは毒が主食だったり人肉が主食だったりする魔物やヒトから、料理の味が格段に良くなったと好評だ。
味だけではなく新作料理も幾つか出ており、王都や他の町にある人肉料理店からレシピを譲って欲しいという話も来ているらしい。
円満そうで、なによりである。
バジーリオ
ひょろっとした痩せてるおじさん。
子供には美味しいモノを沢山食べさせたいので、毒なんてとんでもない!とは言わず、相手に合わせた料理を研究してる。
無限バクバク
カラーリングがファンシーな大食いバク。
毎日美味しいご飯食べれるし、清潔感が大事だからと色々ケアしてもらえるのでかなり快適な生活してる。




