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ヒトと魔物のキューピッド  作者:
一年生
26/300

絵描き少年とペイントレディ



 彼の話をしよう。

 家族が多くて、絵が上手で、見本のような善人。

 これは、そんな彼の物語。





 この学園は魔物に対してはともかく、人間に対しては万全のセキュリティが施されている。

 何せこの学園の創設に関わったらしい伝説の魔法使いが掛けてくれた魔法なのだ。

 つまりどんな人間であろうと、正規の手段以外でコレを突破するコトは出来ない。


 ……まあナニが言いたいのかといえば、そのお陰で多種多様な生徒が居る、というコトですけれど。


 この学園は混血や障害者に優しい対応と設備が整っている。

 なので混血や障害者の生徒も多い。

 この学園は不届き者が入れないセキュリティが施されている。

 なので王族や貴族もこの学園に通っている。

 この学園は学費が安い上にバイトの紹介などもしてくれる。

 なので貧乏であろうとも学費さえ払えれば他の生徒と同じようにしっかりと学べる。


 ……そして教師達も皆平等に扱うので、生徒達もお互いを平等に扱えるんですのよね。


 異世界である地球の知識がある身としては、とても良いコトだと思う。

 偏見や差別が少なく、ただの友人として振る舞えるのだから。

 そしてその友情は、将来的に偏見の無い人間になれる大事なモノ。

 混血が多く、そしてコレから増えるだろうこの世界の人間としては、なによりも大事なモノだろう。



「すまない、ジョゼフィーヌ。手間を掛けさせてしまって……」



 王都を歩きながら隣でそう謝罪したのは、王都に家があるシャークだ。

 彼は大家族らしく、家計が大変……つまり、貧乏らしい。



「わたくしも買いたい本がありましたし、友人の頼みですもの。気にしないでくださいな」


「……ありがとう。そう言ってもらえると、助かるよ」



 シャークはそう言って朱色の髪を揺らし、ヘラリと笑った。

 こうやって貴族だなんだを気にしなくて良い友人がいるというのは、良いコトだと思う。

 本当、ヴェアリアスレイス学園様様だ。



「ところで、次はドコに行きますの?」


「ううん……」



 シャークは困ったように眉を下げる。



「まさかさっきの画材屋が悪質な店とは思っていなかったから、いつもアソコで買ってたんだ。他の店は有名だけど高いから……どうしよう」



 今日はシャークに頼まれ、画材選びを手伝っている。

 絵画などは貴族としてそれなりに見ているし、この目で()ているというのもあって材質などは大体理解している。


 ……まあ描けるかは別ですけれど。


 魔物や人体のパーツみたいな絵なら得意だが、風景などは全滅だ。

 基本的に透視が付与された視界な為、そのまま描くと木の向こう側も描写するコトになってしまうのでパースが狂う。

 まあ要するに描けはしないが目が肥えているので、画材の良し悪しを見抜けるのなら、とシャークに頼まれたのだ。

 そんなシャークはかなり絵が上手い。

 有名な絵画などで目が肥えている貴族として言わせて貰うなら、ソレらに匹敵するのではと思う程のクオリティだ。

 実際貴族の生徒が何人かシャークから絵を買っているのを()たコトがある。

 しかし金銭的な問題や子守りなどがあり、シャークは中々そちらを本業に出来ない。


 ……その上、あくまで趣味だからって相手が提示するよりもずっと安い金額で売るんですもの。


 目が肥えている貴族としては有名な絵画と同等の値段を提示するのだが、売る側のシャークがソレを受け取らないのだ。

 せめて受け取ればかなり家計が楽になるだろうに、そういうのは良くないから、と受け取らない。



「というか、いつもアソコで買ってたんですの?」


「うん、安かったから」


「まあ確かに安くはありましたが……」



 しかしさっきの店は悪質だった。

 絵の具は殆どが三流品の上、管理が杜撰。

 管理はキチンとしているが絵の具などの劣化が激しいから、画材選びを手伝って欲しいと言われて付いて来たものの、本当にタチが悪い店だった。


 ……パチモンや適当な混ぜ物を売るだなんて!


 質からすると他の店より安い値段であろうともボッタクリレベルな値段だった。

 あんな絵の具類であそこまでクオリティが高い絵を描くコトが出来たのかと思うと感動するが、しかしパチモンを掴まされていたというのは色々と駄目だ。



「そうですわね……他に知ってる画材屋、ドコですの?」



 バッと地図を広げて見せると、シャークはすぐに三箇所を指差した。



「えっと……こことこことここ」


「全部超高級な画材店ですわね……」



 悪質か超一流の二択。

 一か百かみたいな選択肢だ。



「中間の店とか行きませんの?」


「いや、コレらの店にも行ったコトは無いんだ。前にカメーリア先生に、良い画材を取り扱ってる店を聞いたら教えてくれた店で……あまりに敷居が高くて、近寄れも出来なかった」


「あ、うん、成る程」



 カメーリア美術教師に聞くまでは合っているが、聞き方が間違っている。



「多分カメーリア美術教師、良い画材を取り扱っているという質問に対して、超一流の画材を取り扱う店を答えたんですのね……」



 美術教師なだけあって、あのヒトは芸術家だ。

 キチンと向き合ってはくれるし質問にも答えてくれるが、相手の欲しているモノを察してくれたりはしない。



「じゃあとりあえず、次はこことここに行きますわよ」



 自分は地図に描かれている店を二箇所差した。



「画材屋かい?」


「ええ。一応カメーリア美術教師に、生徒でもお求めやすくて質が良い画材を取り扱っている店を聞いておきましたの。その時教えてもらったのがこの二店ですわ」


「あー……」



 質問の仕方を間違えたのに気付いたのか、シャークが納得したように苦笑した。



「そういう聞き方をすべきだったか」


「カメーリア美術教師は真面目な方ですから、質問には正確に答えてくれちゃうんですのよね」



 二人して顔を見合わせ、苦笑する。

 相手の事情を知っていようと、質問された以上はその質問に対する答えを口にするのがカメーリア美術教師なのだ。

 なのであのヒトに質問する時は、出来るだけ条件を付与した質問をする必要がある。



「ではここから近いこちらの画材店に向かいましょうか」


「うん、そうだね……あ」


「?」



 ふとナニかに気付いたように、シャークは視線を動かした。

 そちらを見ると、折り畳まれている虹色の傘を持った女性が困ったように道の端で座り込んでいた。



「すまない、ちょっと待ってて」


「あ、ハイ」



 言うが早いか、シャークは女性に駆け寄って声を掛けた。



「あの、大丈夫ですか?」


「え、……ええ」



 声を掛けられた女性は少し困ったような表情をしながら、半透明で少し透けている足首を擦る。



「……少し……足を捻ってしまったの。でも少し休めば回復するから、大丈夫よ。あ、もしかして邪魔だったかしら」


「いいえ」



 首を傾げる女性に、シャークはソッコで首を横に振った。



「道端で座り込んでいるので心配になっただけです。……あの、ホントに大丈夫ですか?」


「ふふ」



 女性は真っ赤な目を細めて微笑み、シャークの頭を撫でる。



「ホントに大丈夫。心配させてしまってごめんなさいね」


「いえ……その、手を貸しますから、ソコのベンチまで歩けますか?」


「……ありがとう」



 十歳のシャークと大人の女性では背丈に大分差があるが、肩を貸すコトで足を捻った女性はどうにかベンチまで移動した。



「とりあえずハンカチで応急処置しておきますけど、無理はしないでくださいね」


「あらまあ、ソコまでしなくても……」



 足首にハンカチを巻かれた女性はそう言いつつも、嬉しそうに微笑む。



「……ありがとう。このハンカチ、足が治ったら返すわね」


「いえ、気にしないでください。それでは、友人を待たせていますので」



 シャークはそう言って頭を下げ、こちらへ戻って来た。



「すまないジョゼフィーヌ、僕が画材選びの手伝いを頼んだのに置いてけぼりにしてしまって……」


「いえ、全部()てたので気にしてませんわ」



 ソレなりに距離があるので普通なら見えるか見えないかという感じだろうが、自分の目はある程度なら遠視も可能だ。

 しっかりと口の動きから()える字幕も読んでしまったので、あの女性が足を捻っていたコトも、ソレを助けたコトもわかっている。



「誰かを助けるのは良いコトですし」


「ああ、そういえば目が良いんだったね」


「ソレ前提で誘われたハズですわよ?」


「そうだった」



 クスクス、と二人で笑い合う。



「でもあの女性、魔物でしたわよね」



 そう、彼女は魔物だった。

 虹色の傘は普通のヒトでもあり得るだろう。傘に魔力が含まれているのは魔道具という可能性が高い。

 足が半透明というヒトも、混血ならばあり得る。

 だがヒトであるなら、目の色は茶色のハズだ。

 あの女性は赤い目をしていたし、カンからしても魔物にしか思えなかった。

 害は無いようだが気付いていたのだろうかと思ってそう言うと、シャークは何でも無いコトのように微笑んでみせる。



「うん、でも、困っているみたいだったから」



 ……ホント、シャークは絵本に出てくる善良なおじいさんみたいな善人ですわね。



「よし、そんな善良なシャークにはご褒美として一定金額まで画材をプレゼントして差し上げますわ。ナニか欲しい画材、ありますの?」


「え!?いやいや、同級生の友人にソコまでしてもらうワケにはいかないよ!?今のだって僕の自己満足でやっただけだし、ソレにジョゼフィーヌを助けたワケでも無いし」



 慌てたようにシャークは断る。

 しかしそのくらいはシャークが描く絵の取り引きの際によく見るので、気にしない。



「まあまあ、誰かを助けるというのは良いコトですもの。その行いのご褒美、ですわ」


「でも、今日は僕の買い物だったワケだし。ソレにまだ絵の具は使えるし……」



 あの絵の具をまだ使う気なのか。

 しかしあまり裕福では無いという事実から考えると、パチモンだろうと捨てたりはしないのだろう。

 というかまだ使えるモノを捨てるという思考が無さそうだ。



「ならキャンバスと筆をプレゼントですわね。奢りが気になるなら今度絵を一枚描いてくださいな」


「絵?」


「ソレなら納得出来るでしょう?」



 無償での施しを拒否するタイプには、ナニかしらの対価があると提示した方が早い。

 シャークもソレで納得出来るのか、まだ少し腑に落ちないような顔をしながらも頷いた。



「ふふ、感謝いたしますわ」


「あ、ちょっと」



 さっさと歩き始めると、シャークは慌てたように早足で後ろを歩く。



「描くにしたって、ナニを描けば良いんだい?ジョゼフィーヌの肖像画?」


「んー、ソレは遠慮しておきますわ。普通に中庭の光景とか、森の風景とか……、楽しそうとか幸せそうとか、そういう感じの絵だと嬉しいですわね」


「……うん、わかった」



 シャークが背後で確かに頷いたのを()て、どんな絵が描かれるのか、楽しみになってくる。

 彼の絵が素晴らしいのは()て知っているから、自分も彼のファンの一人なのだ。

 素敵な出来上がりだったら家に送ってお披露目して、貴族達に彼の絵の良さを広めても良いかもしれない。

 まあ彼本人はソレを知ったら困りそうなので、マナーのなったファンとしてそんな行いをする気は無いが。





 先日の外出から数日程経った放課後。

 午前中から曇っていたが、午後になってザーザーと雨が降り出した。

 森に行かなくて良かったと思いながら、自室で本をペラリと捲る。

 本当は談話室で読もうかと思っていたが、雨が降ってきた為談話室の人口密度がいつもより高いのだ。


 ……いくら談話室が広いとはいえ、初等部だけでも結構な人数ですものね。


 三学年分の人数の殆どが集まる可能性があると考えると、自室で大人しく読書するのが正解だろう。

 そう思い再びページを捲ると、扉がコンコンと軽くノックされた。



「ジョゼフィーヌ、居るか?」


「居ますわよー」



 イェルンの声だと思い扉を開けると、やはりイェルンが立っていた。



「よう、突然すまないねぇ」



 そう言いつつ、夕焼けカモメはイェルンの腕が無い方の肩に留まりながら羽繕いをしている。



「別に構いませんけれど……中へどうぞ」



 丁度ルームメイトであるヒナコは獅子と一緒に談話室へ行っていたので、一人と一羽を部屋に入れる。



「それで、ナニかご用ですの?」


「ああ、僕というよりは夕焼けカモメなんだけど」



 イェルンがそう言うと、丁度羽繕いを終えたらしい夕焼けカモメは一度体を震わせてから、落ち着いた様子で饅頭のように丸くなった。



「まあアンタなら見ればわかると思うけどねぇ……ちょっと正門の方の雨、()えるかい?」


「?」



 よくわからないが、言われるがままそちらの方に視線を向けて()る。

 雨が降っているようにしか()えないが、よく()るとソレは雨では無かった。


 ……ナンか、カラフルですわね。


 正門近くで降っている雨だけ、まるで絵の具のようにカラフルだった。

 否、アレは絵の具だろう。



「アレがどうかしたんですの?」



 多分魔物か混血の子の能力だろう。

 ソコまで気にするようなコトでは無いと思うが、アレがどうかしたのだろうか。



「いや、雨っていうかねぇ……アタシが言いたいのはその下に居る女についてさ」


「女?」



 言われた通り雨の下を()てみると、女性が立っていた。

 絵の具の雨に濡れないように虹色の傘を差している、半透明の足の女性だった。


 ……見覚えありますわー。


 というか今思い出したが、虹色の傘と半透明の足、そして絵の具の雨という特性からすると、彼女は恐らくペイントレディという魔物だ。

 その虹色の傘を差すと、その周辺に絵の具が雨のように降り出すという魔物。

 絵の具の雨は例え屋内だろうが、どころか狭い室内だろうが絵の具が降る。

 本魔の意思一つで、家の外に降らせるコトも、家の中に降らせるコトも可能だと図鑑には載っていた。



「あの女、実は昼前からアソコに立っててね。長年イェルンを待っていたアタシが察するに、ありゃ誰かを待ってるよ」



 ……多分、シャークにハンカチを返しに、ですわね。



「……で、夕焼けカモメは何故その話をわたくしに?」


「雨が降り出してきたらあの女、傘を差してね。そしたらあの女の周辺だけ絵の具の雨が降るじゃあないか。別にソレは良いんだが、下手に周辺が絵の具塗れになると苦情が来るかもしれないだろう?」



 ペイントレディの絵の具は水性や油性も思いのままらしいが、ソレはソレ。

 知らないヒトからすれば道や家などをカラフルなマーブル模様にしてくる魔物に見える可能性がある。



「ならさっさとあの女が待ってる誰かを呼び出して顔合わさせりゃ良いと思ったんだが、誰がそうなのかわっかんなくてね」


「まあ、生徒数も相当多いですものね」



 九学年がミッシリと詰まっている。



「そういうワケで、アンタなら知ってんじゃないかと思って言いに来たのさ」


「わたくし何でも知ってるお助けキャラじゃありませんのよー?」



 ……いえ、まあ。



「……知ってるのは事実ですけれど」


「ホラやっぱり」


「受け入れたくないんですのよー……」



 その称号は間違いなく面倒事が今まで以上にやってくる伏線でしかない。





 雨除けの魔法を使用して雨にも絵の具にも濡れないようにしつつ、正門に立っているペイントレディに声を掛ける。



「こんにちは」


「あら、こないだの……こんにちは」



 どうやらペイントレディもあの時こちらに気付いていたらしく、柔らかい笑みでそう挨拶をしてくれた。



「ええと……ペイントレディ、ですわよね?ソコで誰かを……というか、シャークを待ってますの?」


「そうね……」



 ペイントレディは少し困ったように眉を下げ、口元に指を当てる。



「シャークという名前かは聞いていなかったからわからないのだけど、先日借りたハンカチを返しに来たの。……アナタが来てくれて助かったわ」


「助かった?」


「ええ」



 心の底から安堵したような表情だったので首を傾げると、ペイントレディは頷いた。



「ここって確か、寮もあるんでしょう?ここで待っていれば会えるかと思って立っていたのだけど、もし彼が寮で生活していたらって考えると……ね。だからといって学園の中まで押し掛けるのはって思ってたから、彼の友人であるアナタが来てくれて、とても助かったの」



 そう言って、ペイントレディは綺麗に折り畳まれたハンカチを取り出した。



「アナタは彼の友人でしょう?だから、アナタから彼に返しておいてくれるかしら」


「シャークに会わなくて良いんですの?」


「……うーん」



 ペイントレディは困ったように苦笑する。



「ホントは会いたいけれど、いきなりソコまで押し掛けたら……はしたないって思われないかしら」



 頬を染めてそう言うペイントレディに、思わず笑みが零れてしまう。



「大丈夫、彼はそんなコト思うようなヒトじゃありませんわ。今の時間なら美術室に居ると思いますから、良ければ案内しますわよ?」


「……じゃあ、お願いするわね」



 少し恥ずかしそうにそう言ったペイントレディに、自分は頷いた。





 コレはその後の話になるが、二人はパートナーになった。

 正直ペイントレディを案内したら後は二人でごゆっくりとソッコで退散したので、本当にその辺りは見ていない為どういうやり取りがあったかの詳細は知らない。

 だが二人の話を聞いた限りだと、丁度シャークの絵の具が切れており、ソコでペイントレディが周囲にバケツを置いた上で傘を差し、室内に絵の具を降らせたらしい。

 その絵の具を受け取ったシャークはナニかお礼をしなくてはと言ったが、ペイントレディはコレ自体がお礼だとハッキリ言ったそうだ。



「でも、コレでは僕の方が得をし過ぎている。せめて僕からも、もう少しナニか……」


「……あの、もし本当にそう思ってくれるなら……私をそばに置いてくれないかしら」


「え?」


「まだ会ったばかりだから、パートナーに、とまでは言わないわ。……その、パートナー候補くらいには思っていて欲しいけれど……」


「……ソレは、えっと……」


「今は考えなくても良いの。ただ私は、アナタが……シャークが私を心配してくれて、肩を貸してくれて、ハンカチで手当てまでしてくれたのが嬉しかった。だから私は、アナタのそばに居たいと思ったの」



 そんなやり取りの後、色々とお互いの主張をしつつ話し合った結果、ペイントレディはシャークのそばに居たくて、シャークはペイントレディが居れば絵の具に困らないから、という感じの条件でそばに居るコトになったらしい。

 話を聞いていると現在ペイントレディはシャークの家でお世話になっているらしく、端から見ればパートナーにしか見えないのだが、本人と本魔が言うにはまだパートナー云々に関しては保留らしい。


 ……とは言っても。



「あ、ジョゼフィーヌ。コレ、前に筆とか買ってもらった時に約束した絵。楽しいとか、幸せとか……そういうのを思って描いたんだ」



 そう言ったシャークに渡された絵に描かれていたのは、絵の具の雨の中にいるペイントレディだった。

 幸せや楽しいをイメージしてコレを描いたなら、もうパートナーと言っても良いと思うのだが。



「あの、ペイントレディ……またモデルをしてもらっても良いかな?」


「私は構わないけれど……最近私がモデルの絵ばかりだけど、良いの?」


「うん。……君を描いていると、筆がノるんだ」



 そんな会話をして二人して恥ずかしそうに顔を赤くしているのを見て、もう少し微笑ましい関係のままというのも良いだろうと思い、自分は受け取った絵を抱えて自室へと踵を返した。




シャーク

お兄ちゃんしながら絵を描きつつ人助けしてる昔話の善人みたいな少年。

ちなみに昔話で若い男のトコロに若い女性がやってくると結婚ルートになるらしい。


ペイントレディ

足が半透明だから腫れてるの見えないし考えようによっては絵の具降り注がせるという迷惑な魔物な為、まさか手当てまでしてくれるとは思わなかった。

お姉さんなのでシャークの家では小さい子の面倒を見たりご飯作ったりとお手伝いしてる。


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