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ヒトと魔物のキューピッド  作者:
八年生
233/300

病弱少年と癒しの天使



 彼の話をしよう。

 常にナンらかの病に侵されていて、やたら生命力が強くて、病同士の相性により中途半端に中和されている。

 これは、そんな彼の物語。





 中庭を散歩気分でのろのろ歩いていると、背後から突進されかけたのでひょいっと避ける。



「あべっ」



 突進してきたヴォルニーはずべっと転んだ。



「ナニしてんですのよ、ヴォルニー」


「おージョゼフィーヌではないか!」



 そう言って座り込んだままこちらを見上げるヴォルニーの目は、グルグルしていた。

 まあいつもグルグルしているが。



「いや実は俺今頭がクラックラしておってなー?うぇーいとなってひゃっほうとなったので好き勝手うろちょろしておったらジョゼフィーヌの銀髪が太陽光でギンギラギンでな!ナンか大体そんな感じだ!」


「オーケイ、いつも通りに脳みそイカれてんですのね」


「おう!」


「おうじゃありませんわよもう……」



 手を差し出して、どっこいせと立ち上がらせる。

 八年生の制服はテーマカラーが黒だから汚れが目立たなくて良い。



「つかアナタ、あんま暴れない方が良いんじゃありませんの?」



 ()えるヴォルニーの体内は、酷い状態だ。

 あらゆる病がドンパチ戦争を繰り広げているようにしかみえない。


 ……免疫細胞はもう、病同士の戦いに怯えて震える市民みたいな状態ですわねー。



「通常でも不治の病を六つ抱えてるのに、その時その時で病に罹るって……」


「今も十六種類が俺の中で見事ブレンドされてるぜ!」



 ヴォルニーは親指で自分を示しながらワハハと笑ってそう言った。

 涎垂れてる辺り、大分病ハイになってしまっているらしい。


 ……ヴォルニーの場合、感染病でも他のヒトに何故か移らないから接触は問題ありませんけれど……。


 ただしヴォルニーの免疫が低い為、他のヒトが平気でも、ヴォルニーは病気になったりする。

 ヴォルニーの内部に居る病気達はあまりの免疫力の低さによって逆に弱体化するというのに。


 ……アレですわよね、動物から一度人間に伝染ると、人間用にカスタマイズされちゃって人間にも罹る病気になるみたいな……。


 ヴォルニーの場合はソレの逆が発生する為、平均的な免疫力がある己などには感染しない。

 しかしソレにしても、不治の病六つに加えて十六種類の病とは。


 ……それら全部が体内で中和されてるとはいえ、無事ではありませんのよね。


 毒を持って毒を制すとは言うが、それは相殺しているだけであって根本的にどうにかなるワケではない。

 毒と毒で水になるような無効化ではなく、毒と毒で殺し合い拮抗している、というのに近いのだ。


 ……だからなのか、いっつもテンションこの状態なんですのよね、ヴォルニーって。


 常に顔色が悪くて体の動きが悪くて言動もめちゃくちゃ。

 病身だから当然だとは思うが、問題は中和されてしまっている部分だろう。


 ……中和されているからこそ、動けちゃうのが厄介ですわ。


 言動がアッパラパーではあるものの思考力はちゃんとあるので授業も問題無いワケだし。

 そう思って見ていると、ヴォルニーは濃い茶髪を体ごとゆらゆら揺らした。



「なあなあそれでさ今日の授業ってナニがあったかわかるか?俺はちゃんと授業を受けたハズなのだが途中で意識ぶっ飛んでたのかノートにお花が書かれていてな!」


「あの、ヴォルニー?アナタ大分ふらついてますけど大丈夫なんですの?」


「世界が回っていて常に動いているならそりゃ俺だってふらつくに決まっているだろう!不変なモノは無く地面は常に動いており地面が揺れれば上に存在している俺が揺れるのもまた必須!」


「うーん間違ってはいないからツッコミにくいですわねー」



 でも多分そのふらつきは具合が悪いコトによるふらつきだと思う。

 重心がぐらぐらするアレ。



「というかアナタの場合、そんだけ大変な状態でも比較的普通に生きれてるのが凄いですわよね。普通なら体ぶっ壊れて死にますわよ」


「ワハハ!俺はコレで結構頑丈だからな!まあ病にだけやたら弱くて常に病気だが!」


「うん、普通はソレこそがアウトなんですのよー?」



 トータルで二十二の病に侵されているとか普通に無理だろう。

 ソレも生活習慣病とかならまだわからなくもないが、ヴォルニーの場合はガチで普通の病気である。


 ……普通なら、風邪でもそれなりにぶっ倒れますのに。


 不思議に相殺して中和されているせいで、具合悪くて顔色悪くてふらふらで言動がアッパラパー状態だというのに、行動出来るし思考も可能という状態。

 逆に地獄な気しかしない。



「ソレでだなジョゼフィーヌ、俺が聞きたいのはコレなのだ!」



 そう言ってヴォルニーが取り出したのは、ノートだった。



「俺この花書いてて内容サッパリ記憶に残ってないのだが、今日の授業内容はナンだった!?」


「ケイト植物教師による座学だったのでソレで合ってますわよ。真ん中にでかでかと書かれてる花の隣とかに小さく特徴とか書かれてるじゃありませんの」


「アッ、ホントだ!」


「気付いて無かったんですの?」


「花に対して文字が小さかったのでな!意識朦朧としているせいで落書きでもしたのかと思っておったのだ!まあ問題が無いのであればソレで構わん!ではなジョゼフィーヌ!」


「あ、ちょい待ちなさいな」


「ぐえっ」



 首根っこを引っ掴んで呼び止める。



「アナタ、コレからドコ行くつもりですの?」


「体が熱くて脳みそがぐつぐつ沸騰しているようなのでな!森の川にダイブでもしようかと!」


「こらこらこら」


「む、ならば噴水か?しかし噴水は他の生徒や魔物が利用するコトもあるのでご迷惑をお掛けするのは良からぬコトかと思ひ馳せ参じた次第に候!?」


「うん、後半もう自分でもナニ言ってるのかわかっていないでしょうアナタ」


「そう褒めるな!照れるではないか!」


「褒めて無いから照れんで良いんですのよ」



 どっこいせ、とヴォルニーを肩に担ぐ。



「とりあえず第二保健室で熱冷まし貰いに行きますわよ」


「おお!アソコか!イヤだ!」


「元気に拒否りますわね」


「だってアソコに行くと毒しか与えてくれぬではないか!アレは不味い!」


「アナタの場合、体内が色々と厄介ですものねえ……」



 ヴォルニーの体内では、基本的に病同士が殺し合うコトで症状などが絶妙に相殺されている。


 ……つまり、実際に熱冷ましは使えないというか、使ったらアウトなんですのよね。


 熱冷ましを使えば熱が弱まり、今ヴォルニーの体内で熱と戦っている病が優勢になってしまい、別の症状が悪化しかねない。

 だからこそ、毒で両方を抑え込むのだ。


 ……またヴォルニーの場合、ある程度の毒は体内の病達が抵抗見せるせいであんま効かないんですのよねー……。


 色々と面倒が多そうな体質だ。

 遺伝ではなく生粋の人間だというのに。


 ……だからこそ、アダーモ学園長はヴォルニーをここの生徒にスカウトしたのかもしれませんけれど。


 この学園は色々と設備が整っているから良いが、他の学園だったらソコまで多種多様な設備ではないので、色々と大変だっただろう。

 まあ設備以前に王都以外ではまだそれなりに偏見の目もあるらしいので、恐れるべきはそちらかもしれないが。





 談話室のソファで横になり昼寝でもしようかと思っていると、ヴォルニーがやってきた。



「おうジョゼフィーヌ!少し用があるのだが起きぬとダイブして腹を圧迫するぞそれいーち!」


「数える云々無しの上に一数えてソッコでダイブカマそうとするとかどういう思考回路してんですのアナタ」


「おお!凄いなジョゼフィーヌ!まさか足の裏で俺を持ち上げるとは!」


「我ながらどうして昼寝しようとした結果、同級生の病人相手に飛行機してるのでしょう……」



 しかも片足で持ち上げるコトが出来てしまった。

 己の脚力凄いな。


 ……というかヴォルニーはヴォルニーで楽しんでるのがまた微妙な気分になりますわねー。


 コレ幼児が親にやってもらうタイプの遊びだと思うのだが。



「あの、すみません」


「ハイ?」



 声のした方を見れば、ソコには天使が居た。

 トゲトゲしていない気配からして、父のような戦闘系天使では無いっぽい。


 ……うーん、リスのような目をしてるのは戦闘系天使だけってワケでも無いんですのねえ。



「その、そちらの方、ヴォルニーがですね、アナタならわかると言いまして」


「ふむ」



 天使ははしゃぐヴォルニーを見ながらおろおろしているので、ヴォルニーの言動や行動に慣れていないらしい。

 つまり常識があるというコトだろう。


 ……ええ、常識がいまいち備わってないタイプだと、ヴォルニーがナニしてようが気にしませんものね!



「んじゃヴォルニー、ちょっくらこちらにいらっしゃる天使の話聞きたいので下ろしますわよ」


「ん?ああ、そうだった!ソコに居るのが癒しの天使かという天使なのだがな!水場はないかと聞くのでジョゼならば最適なアンサーを出せるのではないかと思ったのだ!」


「水場て」



 どっこいせとヴォルニーを下ろし、ソファに座り直す。

 昼寝時間は諦めた。



「水場なんてソコら中にあるじゃありませんの」


「いえ、そうではなく、そのですね」


「というか俺は急にやって来たその癒しの天使とやらについてまったくよくわからんのだがジョゼフィーヌはわかるか!?」


「エ!?」


「あの、ヴォルニー?癒しの天使がかなり動揺したようですわよ?」


「あ、あのですね、私はちゃんと挨拶した際に説明をしたハズなのですが……」


「うむ、理解出来なかったので仕方が無いな!俺は難しい説明はあまり理解出来んのだ!」


「あんま気にしない方が良いですわ。彼ちょっと脳みそアッパラパーなので」


「あ、アッパラパー……ですか」



 授業を受けれている辺り理解力は普通にあるっぽいのだが、どうしてもムラがあるのがヴォルニーだ。

 恐らく一時的に体内でバトっている病気達の拮抗が少し揺らいでいて具合が悪いタイミングだったりしたのだろう。


 ……そういうタイミングの時って病気の症状が表に出てる時だから、いつもより具合悪そうなんですのよね。


 つまり不可抗力と言える。



「ええと、ソレで?癒しの天使が姿を現して地上に居るってコトはお仕事ですわよね?」


「ご存知でしたか」


「まあ、わたくし戦闘系天使の娘ですもの」


「仕事とはどういうコトだ?」


「アナタはナンで逆さになってんですのよ」



 ヴォルニーを引っ掴んでソファに転がしてから、説明する。



「戦闘系天使は、基本的に地上勤務なんですの。悪と接触したらソッコで倒す、というのが仕事だからですわね。んでもって戦闘系天使は悪と戦ってる時に馬鹿が乱入しないよう、基本的に可視状態になってますわ」


「馬鹿?」


「戦ってる姿が見えないと英雄気取りの自分が見えて無い馬鹿とかがのこのこ近付いてくるらしいんですのよね」



 邪魔にしかならないので、戦闘系天使は可視状態になっているらしい。



「ですが基本的に天使は不可視の存在。ゴーストみたいなモンだと思えばわかりやすいと思いますが、ホラ、基本的に教会とかでも天使の姿は見えなかったりしますわよね?」


「成る程」


「あの、天使的にゴーストと同列扱いされるのはちょっと……あの世にもいけない死後の人間と一緒にされるのは……」


「人間的には今の説明がわかりやすいんですの」


「それでは仕方ありませんね……」



 癒しの天使はしょんぼりしながら頷いた。

 理解してくれたようでなによりだ。



「ではソコの癒しの天使が見えているのは、職務真っ最中だからというコトなのだな?」


「そうなりますわ。例えばメッセンジャー系の天使だって、お告げを伝える時は見えてたりするでしょう?ああいう感じですの」


「成る程。では俺に水場を教えるように言っていたのもその職務の為か!」


「ええと、ソレはそうなのですが……」


「が?」


「そもそも、私はヴォルニーを癒す為にこちらへ来たのです」


「初耳だが」


「言いました!」



 ……うーん、このままだとヴォルニーがちょいちょい口挟むせいで話が長くなっちゃいますわね。


 そう思い、ヴォルニーの口の中にクッキーを突っ込む。



「もがっ!?」


「ソレ食べてる間静かにしてなさいな」


「ははっは」


「で、癒しの天使。この間に最初から説明頼めます?」


「ハイ」



 癒しの天使は安堵したように息を吐いてから頷いた。



「まず、私は傷ついた部分や病などを穢れと認識しソレを祓う癒しの天使ではありますが、神に忠実な使いですので、誰も彼もを助けはしません。私が癒すのは、神が指定した存在のみです」


「まあ、そういうモンですわよね」


「理解していただけて良かったです。人間相手にコレを話すと贔屓だ何だとやかましく言われるのですが、天使が半分入っていると話が早くて助かりますね」



 ……うーん、本心からの発言にしか見えない辺り、実際そういうやかましいコトを言われたコトがあるのでしょうね……。



「そして今回私は、ソコの彼、ヴォルニーを癒すようにと命じられました」


「ヴォルニーを?」


「ふぉふぇ?」


「ハイ。どれだけ沢山の病にその身を侵されようと屈せず、貪欲に生を掴み取る。その根性は病に侵されるという苦難を、試練を突破していると言えるのです。

ですので、その困難を乗り越えた褒美として、私が遣わされました」


「……病などを穢れと認識する、でしたわね?」


「ハイ。アナタは天使が半分入っているので既に知っているとは思いますが、天使は穢れを嫌います。穢れは悪ですからね」


「あー」



 確かに悪は生理的に無理だ。

 特に己の場合、悪を嫌い距離を取る天使と違い、サーチしたらソッコでキルしようとする戦闘系天使の要素が半分入っているのだから。



「病などは悪認定が微妙ですので、穢れと認識されるのは呪いなどですね。ですが私は癒しの天使ですので、病なども穢れと認識します」


「そして、ソレを祓うと」


「ハイ。手で埃を払うようにパッパッとやれば、多少の穢れは祓い清めるコトが可能です。ですが彼の場合、不治の病などもありますよね」


「ありますわね」


「ふぁうー」



 ヴォルニーはクッキーをもさもさ食べながら頷いた。

 クッキーが無くなるそばから突っ込んでいるのでほぼわんこクッキー。



「長年の付き合いだからなのか、それらの穢れがこびりついてしまっているんです。まずはその病達をどうにかして清めたくてですね」


「ソレで水場を?」


「水場、と言いますか……水で流し清めるコトで穢れを落とすんです。ですので頭から水を掛けても良いような場所はないかと聞いたのですが、よくわからないからジョゼフィーヌに聞きに行くぞ、と……」


「成る程」



 突然連れ回されて大変だったコトだろう。



「とりあえず水場ですけれど、大浴場……がありますがアソコは男女別なんですのよね」


「私は女性寄りというだけで、特に性別が固定されているワケではないのでその辺りにこだわりはありませんが」


「性別が固定である魔物とかが気にすんですのよ」



 現代人は性欲が無いからその辺頓着しないのだが、常識ある魔物とかがその辺りを気にするのだ。



「ですので森にある川か、自室にあるシャワールームがオススメですわね」


「成る程……川の方が自然に近い流水なので清める力は強そうですが、まずはシャワーで落とせるだけ落として、それでも落とせない穢れがあれば、というようにしましょうか」


「よくわからんが話は纏まったか?」


「アナタ、せめて多少は聞いてなさいな……」


「聞いてはいたぞ。ただちょっと計算の式まではわかっても答えが出んだけだ」


「あー」



 理数系を苦手とする己からすると大分わかりやすい例えだった。





 コレはその後の話になるが、癒しの天使はしばらくヴォルニーのパートナー的立ち位置のまま地上に居るらしい。

 どういうコトかといえば、ヴォルニーの体質だ。


 ……今までの病は、六つの不治の病を含めて癒しの天使のお陰で完治した、のは良いんですけれど……。


 残念なコトに癒しの天使は癒すのが仕事であり、免疫力を向上させる能力は存在しない。

 故に病気になりがちなヴォルニーのそばで待機し、ヴォルニーが病に侵されればすぐに癒し、という状態に落ち着いた。



「いやあ健康とは素晴らしいものだなジョゼフィーヌ!俺今まで体術の授業のように動くのはドクターストップで無理だったのだが、健康になったお陰で出来るようになったのだ!

全力で体を動かせるというのは良いぞ!なにせ体が軽いしふらついたりもしないからな!」


「良かったですわねえ」



 相変わらず言動はアレだし目もぐるぐるしているが、顔色は良いし体の動きもしっかりしている。

 ()える体内の様子も、病の存在に怯えなくても良くなった免疫力が動き始めているので、多少は改善されていくだろう。


 ……まあ改善されなくても癒しの天使が居る以上問題は無さそうですけれど。


 実際天使の時間間隔は神程では無いとはいえ、人間に比べればそれなりに長い。

 人間の一生くらいは普通に一仕事分くらいだから問題は無いだろう。



「そうだ癒しの天使!後でカフェにでも行かないか?俺は昔からジョゼフィーヌ一押しの店に行ってみたかったのだが行けていなかったのでな!」


「カフェ、ですか?」


「うむ!俺の体にあった病は全て感染率激低ではあったものの、混血や体質によってはどうなるかわからんものだからな!

そしてうっかり拮抗が崩れると俺が思いっきり不調になるから中々外出が出来なかったのだ!」


「成る程……ですがその場合、別に私が同行する必要は無いのでは?王都に出ると免疫力の低いヴォルニーが病になる可能性はグンと上がりますが、しかし帰って来てから対処してもそう問題はありません。

私は人間の用いる金銭などを有していないので、私が一緒だとヴォルニーに無駄な出費が発生してしまいます」


「一緒に行くからこそ良いのではないか!ジョゼフィーヌ!天使は別に飲食不可だったりはしないのだろう!?」


「まあ重いのとか極東風のとかはあまり好みませんけれど、そんくらいなので飲食は普通に可能ですの。

とはいえ別に無くても問題は無かったりするので、紅茶の香りとか食べ物の香りとかがメインですわね。食べるよりも香りを取り込む方が天使流の食事になりますわ」


「ならばカフェは問題無いな?」


「ええ。あと香り以外も生クリームとかの白い食べ物は結構好むので好きな方かと」


「あの、私その辺り食べたコトが無いのですが……」



 癒しの天使はおずおずと挙手しながらそう言った。

 確かにナニかを食べる機会というのは、早々無いモノだろう。


 ……人間と一緒に生活すると食べたりするようになりますけれど、基本的に自分から進んで飲食を、とかはしませんものね、天使って。


 食事する必要もソコまで無いので、その時間を仕事にあてがちだ。



「ならば体験だな!苦手でも俺が食べるから問題はあるまい!」


「お金の問題でしたら、戦闘系天使が半分入ってるだけとはいえ同じ天使のよしみとして、カフェ代くらい奢りますわよ」


「……対価は?」


「食べた感想いただければソレで構いませんわ」


「成る程」



 頷いた癒しの天使に、少し多めにお金を渡しておく。

 いやあ、ほんの少しとはいえ身に余る重さの財布を軽くさせるコトが出来てありがたい。




ヴォルニー

免疫力が異様に低く常に病に侵されているが、謎に拮抗してどれだけの病に罹っていようと具合がとても悪い止まり。

生きる力がとても強い。


癒しの天使

戦いの力は無いが、病などを穢れと認識し祓い清め癒すコトが出来る天使。

尚天使であるが故に罪なども穢れとして認識してしまう為、戦闘系のように迎撃はしないものの、酷くイヤそうに距離を取る。


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