首長少女と獅子
彼女の話をしよう。
極東からの留学生で、ルームメイトで、首が伸びる。
これは、そんな彼女の物語。
・
寮の自室についてだが、寮ではルームメイトとの同室だ。
そして内装のカスタマイズは好きにしても良い、という決まりになっている。
どうせ一年で部屋はチェンジされるコトになり、その際に色々クリーニングしたりもするので、その上でなら、というコトだ。
チェンジの際のリセット時に魔法やらナンやらを使用するので、壁紙なども自由にして良い。
……とはいえ、一年でリセットになりますのよね。
壁紙チェンジは魔法でも可能だ。
なので魔法の練習も兼ねて、魔法で壁紙の色を変える生徒が多い。
染色系魔法の練習になるという理由と共に、一年で手放すのにわざわざ壁紙を張り替えるという面倒臭さがあるのだろう。
実際自分もわざわざ張り替えようとまでは思わない。
……普通に綺麗な白い壁紙ですし。
自分の場合は天使の娘だからか、白い壁紙も結構好みだ。
モチロン他の壁紙も全然オッケーなのでルームメイトの好みで構わなかったのだが、そのルームメイトも特にこだわりは無いというコトで、自室は白い壁紙のままになっている。
ただまあ、やはり白いは白いので、汚れが目立つという問題があるというのを、数週間ぶりに思った。
「じょ、ジョゼ!?すみませんすみません、ホントーに申し訳ありません!ホラ獅子!謝って!」
「俺は悪いコトしてねえぞ!」
高い位置にある頭を下げるルームメイトと、そんなルームメイトにタオルで全身の泥を拭われているルームメイトのパートナー。
そして泥が壁や床に付着している自室。
……あー、机に花が置いてあるトコロを見ると、またですのねー。
よくあるコトだし、別に魔法を使えば良いので気にならない。
しかしヒトより気にしがちな性格であるルームメイトのヒナコは、とても申し訳無さそうに小さくなっていた。
体を小さくすると同時に、首の長さも少し縮んでいる。
「あの、本当にすみません……私のパートナーが」
「よくあるコトですもの。今更そう気にしませんわ」
笑ってそう言うと、ヒナコはホッと安堵の息を吐いた。
薄くピンクが入った茶髪をお団子に纏めている彼女は、極東からの留学生だ。
そして混血であり、首が伸びるという特徴がある。
……まあ本人、あまり使いこなせていないのかよくコケてますけど。
首が伸びると距離感がわからなくなるらしく、よくコケたり頭をぶつけたりしているのを見かける。
ならば首を伸ばさなければとも思うが、本人が言うには首を短めで固定すると酔ってしまうらしい。
車酔いならぬ首縮め酔いなど聞いたコトが無いが、まあ混血だしあり得るのだろう。
「それにしても……」
ぐるりと部屋を見渡せば、あちこちに泥が付着している。
「獅子、暴れましたの?」
「暴れてねーよ!」
ヒナコのパートナーである獅子がガウッと吠えた。
「俺はただコイツがまた頭ぶつけて泣いてたから、花持って来てやっただけだっつの!驚かそうと思って机の上に置いといてやったら、コイツ全然気付かねー上に悲鳴なんて上げやがって!」
そう言う獅子は、タオルを被せられながら不満気にプンスコと拗ねている。
「え?あ、ホントだ」
そしてヒナコの方はたった今机の上のプレゼントに気付いたらしい。
「……えーと、つまりサプライズでプレゼントしようとしたら、泥の方に驚かれて、プレゼントに気付いてくれないわ怒られるわで拗ねてるんですの?」
「拗ねてねーし!」
……拗ねてますわー。
「でもこんだけ泥だらけだったら、そりゃ泥の方に目が行きますわよ?」
「だってあの花泥の真ん中に咲いてたんだよ!前に花壇の花持って来たら怒られて、だから森で見つけてきたっつーのにまた!また怒られた!」
「んー……喜ばそうという気持ちは素敵なんですけれど」
獅子は床を尻尾でペシンペシン叩きながら拗ねている。
コレもよく見る光景だ。
どうも感性が子供というか、良し悪しがいまいちわかっていないらしい。
だからこそ泥だらけの姿で好きな子へのプレゼントを渡そうとするのだろうが、しかしヒナコはそこまで子供でもないので、泥の方を気にしてしまう。
……まあ、ルームメイトの迷惑になるって思考もあるんでしょうけれどね。
まあダンゴムシとかカマキリの卵を持って来るワケでは無いだけ紳士的だとは思う。
カブトムシや綺麗な石よりは、素敵な花をプレゼントされた方が反応も返しやすい。
「……あの、獅子」
すると、ヒナコが机の上にあった花を手に取って、拗ねている獅子に話しかけた。
「部屋を泥だらけにされたコトに怒ったのは当然の行為なので謝る気はありませんが、その……折角のプレゼントに気付かずに怒ってしまったのは、すみませんでした」
ペコリ、とヒナコが頭を下げる。
「……別に、気にしてねーし」
そう答える獅子の声と口調はまだ拗ねたままのモノだ。
「……気にしてますよね?」
「気にしてねーし」
「いや気にして」
「気にしてねーっつってんだろ!お前が頭ぶつけたの引き摺ったりしてなけりゃソレでいんだよ!」
「へ」
「あ」
……あー、よくあるよくある。
獅子の言葉に言われた方も言った方も真っ赤になるのを見ながら、このやり取りにすっかり慣れてしまった自分は溜め息を吐いてから手を叩く。
「ハイ、ちゅうもーく」
「はっ、ハイ!」
「お、おう!」
自分が居たのを思い出したのか、二人は慌てて姿勢を正した。
「とりあえず仲直り出来たようでなによりですけれど、泥だらけ問題は解決してないんですのよね」
「ごもっともです……」
伸びていたヒナコの首が、落ち込みを表現するかのようにしゅしゅしゅ、と縮む。
「でもまあ魔法使えば部屋の方はソッコで綺麗になりますし、このくらいならわたくしがやっておきますわ。だからヒナコは獅子をお風呂に入れてきなさいな」
「い、良いんですか?」
ヒナコの言葉に、思わずクスリと笑ってしまった。
「だって、獅子ってば泥に浸かったのか、毛の根元まで泥だらけなんですもの。タオルで拭いてもあんまり意味ありませんわ」
あれだけ泥が付着していてば、お湯で洗わなくてはガピガピに固まってしまうコトだろう。
「それともわたくしが獅子をお風呂に入れた方が良いんですの?」
「そ、ソレは私がやります!獅子のパートナーは私ですから!」
「でしょう?」
今の時間ではまだ大浴場のお湯は準備中だろうが、幸い部屋には備えつきのシャワールームがある。
「じゃ、こっちはわたくしに任せなさいな」
「いつもすみません……」
「同室ですもの、構いませんわ」
そう微笑むとヒナコも安心したように笑い、獅子を抱えてシャワールームへと移動した。
・
部屋の泥を綺麗にしてから、時間が少し余ったのでケイト植物教師のトコロへ行って貰ってきた花瓶に、ヒナコの机の上に置かれた花を生けた頃、サッパリと泥が落とされた獅子を抱いてヒナコが出てきた。
「あら、随分とサッパリしましたわね」
「はい!」
しっかりと乾かし終わってフワフワの毛になっている獅子を抱き上げながら、ヒナコは嬉しそうに頷く。
「この間ジョゼが買ってくれたシャンプーのお陰で、あっという間に泥が落ちたんですよ!ソレにホラ!フカフカなんですよ!フカフカ!」
「ちょ、コラ、おま、ヒナコ!止めろとは言わねーけど恥ずかしいだろうが!」
……獅子はちゃんと恥ずかしいだけだって自己申告するタイプのツンデレですのねー。
正直そっちの方が変な擦れ違いは起きにくそうなので、個人的には良いと思う。
しかし、確かに獅子の毛並みはフワフワだ。
いつも風呂上りはフワフワになっているが、ボリュームがいつもの倍になっている気がする。
「シャンプーの成分や獅子の毛質を視て選んだモノでしたけれど、合っていたようで良かったですわ。喜んでもいただけたようですし、買った甲斐がありました」
「ジョゼにはいつも、お世話になってしまいますね」
「わたくしが好きでやっているコトですから気にしないでくださいな」
少し申し訳無さそうな顔をしたヒナコに対し、即座にそう返す。
誰かにナニかをあげたくなるのは最早クセなのだ。
モチロン毎日頑張っているヒトに対してのみ、ではあるが。
……ヒナコ、極東からは結構遠いのに頑張ってますものね。
あからさまなプレゼントだと受け取ってくれなさそうだし、そういうのはパートナーである獅子の領分だ。
だからこそ、自分は受け取りやすいよう、獅子用のモノや消耗品などを贈るコトにしている。
……わたくし、ヒトに頼まれたら断りがちなんですけれど……。
しかし何故か手伝ったり貢いでしまったりしている現状。
だがまあこないだ家族に手紙を送ったら父から「天使はそういうモノだから」と返って来たので、そういうモノだと思っておこう。
「でも、いつも世話になるばかりで……」
ヒナコはそう言いながらベッドに腰掛け、ブラシを取り出して獅子をブラッシングし始めた。
「図書室で本を探すの手伝ってもらったり、勉強でわからないトコロを教えてくれたり……」
「本探しはよく頼まれますし、同室なんだから勉強教えるくらいしますわよ」
やたらとゴリ押しで頼んでくるようなタイプの頼みは断りたいし疲れるのだが、ヒナコのような控えめタイプが相手だとつい世話を焼いてしまう。
コレも天使の特性なのだろうか。
「おいヒナコ、耳の後ろ、もうちょいやってくれ」
「はいはい」
「おう、ソコだソコ……」
気持ちが良かったのか、ヒナコにブラッシングされながら獅子は寝息を立て始めた。
「でも、やっぱりお世話になりっぱなしな気がして……」
ブラッシングを続けながらも話を戻してきたヒナコに、思わず苦笑を漏らす。
「そう言われましても……あ」
……折角ですし、聞いてしまいましょうか。
「それなら、馴れ初めとか聞いてもよろしくて?」
「馴れ初め、ですか?」
「ええ、アナタと獅子の」
寮で顔を合わせた時には、既に獅子はヒナコのパートナーとしてそばに居た。
なのでわざわざ聞いたりもしなかったのだが、ここ最近周囲がパートナー成立しがちなので、どうせならここの馴れ初めも聞いてみたくなったのだ。
「うーん……」
ヒナコは手を動かしながらも、首をくねらせて難しそうな顔をした。
流石ろくろ首系というか、骨や関節がどうなっているのか謎な動きだ。
「言いたくないなら別に言わなくても構いませんわよ?」
「あ、いえ、そういうワケじゃないんです」
ただ、とヒナコは眉を下げる。
「あまり面白い話じゃないし、すぐ終わっちゃいますよ?」
「ただ純粋に気になるだけですから、そう気にしないでくださいな」
恋バナが純粋かはヒトによるだろうが。
「んー……それじゃあ話しますね」
寝ている獅子を仰向けにひっくり返してブラシを動かしながら、ヒナコは話し始めた。
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ヒナコはスピスピと眠っている獅子を見つめながら、思い出すように語り始める。
「アレはもう何年も前のコトなんですけど……その、大前提として、獅子ってホントは対なんですよ」
「ああ、図鑑で見ましたわ。確か狛犬がどうとかで阿吽、でしたっけ?」
「ソレです」
コクリ、とヒナコは頷く。
「獅子は神社に居る場合が多いんですが、森の中に居る獅子も居るんです。ただ同時に森は危険も多くて……昔、私は二匹とよく遊んでたんですよ」
ホラ、とヒナコは首を伸ばしてみせる。
「私って首が伸びるじゃないですか。だから森とか入るとすぐ引っ掛かったりしてて……ソレを二匹が助けてくれたのが最初なんです」
「そうなんですのね」
「ハイ。……ただ……」
ヒナコは悲しげに獅子を見る。
「地震による土砂崩れで、獅子の対である吽が大怪我をしてしまって。二匹とも神社で保護はされたんですけれど、獅子は対がそんなコトになっちゃったから、多分精神的に辛かったのか……かなり衰弱しちゃってたんですよ」
かつてかなり衰弱していたらしいが、その獅子はヒナコの膝の上でプピーという間の抜けた寝息を立てていた。
「幸い……というか、吽の方は介護が必要ですけど、命に別状はありませんでしたから、後を追ったりはしませんでした」
……ソレはつまり、死んでたら後追いしてた可能性があるってコトですわよねー。
だがソレもよくあるコトだ。
獅子のように対が居る存在だとか、他にも対として存在している魔物は居る。
対どころか三体四体でセットな魔物も居るのだが、ソレらセットでこその魔物みたいなトコロがあるので、一体でも欠けるとかなりメンタルに問題が出る、と本には書かれていた。
「私は二匹が神社に保護された後もちょくちょく会いに行ったりしてたんですけど、この学園からスカウトが来た時、吽は怪我のせいで動けないからどうしようって悩んだコトがあったんです」
「……怪我、酷かったんですの?」
「後ろ足が潰れちゃったんですよ」
ヒナコは苦笑してそう答えた。
「本魔は「生きていますから」って言って魔物用の車椅子を使ってるんですが、ソレでも学園までの遠距離だと、どうしても不安があって……」
「ソレは、確かにそうですわね」
大怪我して車椅子生活するコトになった相手を連れ回すワケにはいかないだろう。
「私は色々学びたいなって思ってたので、この学園からスカウトが来たのは嬉しかったんですけど……二匹のコトが大好きだったから、離れたくなくて」
ヒナコはとても優しい瞳で獅子を見つめながら、指先で獅子の喉を撫でた。
「そしたら、阿が……獅子が、「吽は一匹でも大丈夫だし帰ったら会える!お前は学園に行きたいんだから無理とかせず、いや正直行って欲しくは無いが、じゃなくてその、吽も良いって言ったし」って言ってから、ちょっともごもごして……言ってくれたんです」
「何て?」
青春の気配に思わずニヤニヤしながら聞くと、ヒナコは照れ臭そうに笑った。
「「俺がお前のパートナーになって守ってやるから、学園に行く方を選べ」って」
「ソレめちゃくちゃときめくヤツですわね」
「ハイ、ドキドキしました」
へにゃ、とヒナコは幸せそうに笑う。
「吽も「学ぶコトは大事です」って言って学園に行くのを進めてくれて……ふふ、吽ってば、「帰ってきてくれるならいつでも会えますから」って」
「格好良いですわね」
「うん」
嬉しそうに、ヒナコは首を伸ばして膝の上で寝ている獅子のフワフワな毛に顔を埋めた。
「吽、卒業したらサプライズもあるって言ってくれたし……二匹とも、大好き」
「……そのサプライズって、パートナーになるってコトだったりしません?」
複数でセットの魔物の場合、セットで一人のパートナーになるコトが多い。
セットとはそういうモノだからだ。
ヒナコもそう思うのか、うん、と頷いた。
「多分そうだと思うし、そうであって欲しいなって思います。対である獅子相手に、どっちかを選ぶっていうのは……ありえませんし」
「そりゃそうですわよね」
セット系の魔物にはどちらを選ぶか、なんて選択肢は無いのだ。
複数を選ぶというコトを、強欲とは言わない。
まあセットではない魔物やヒトを複数選ぶのであれば強欲と言われるだろうが、セットの場合は全て含めて一つ扱いだ。
だからこそ、セット系の魔物が相手の場合は、責任持って全部を選ぶというのが正解となる。
「相思相愛のようで、なによりですわ」
「な、ナンか改めて言われると恥ずかしいですね……!」
そう言って、ヒナコは照れ臭そうに顔を赤く染めた。
・
コレはその後の話になるが、話を聞いた時の後半、獅子は起きていた。
「わかっててもサプライズをバラすなよなー」
ヒナコが居ないタイミングを見計らって、拗ねた獅子にそう言われた。
「だってわかりきってましたもの」
「そりゃそうだけどよ」
獅子はゴロンとヒナコのベッドに寝転がり、マーキングするかのようにグリグリと体を擦り付ける。
「……もしかして、アナタがしょっちゅう彼女に贈り物をするのって」
「吽に言われたんだよ。「僕が一緒に居られない間アナタは一緒に居られるんですから、泣かせたら許しませんよ」って。だから泣かねーようにプレゼントしたりしてんだけど、上手くいかねーんだよな」
「泥にさえ気をつければ良いと思いますけれど……」
贈り物に花というチョイス自体は正解だと思うし。
「というか、対だったりセットだったりする魔物ってあんまり離れるイメージありませんけれど、別行動可能なんですのね?」
「そりゃな。でも必ずヒナコが吽のトコに帰るってわかってるから出来るだけだ。あとヒナコには誰か付いててやんねーと心配だからってのもあるな。俺らが目を離した隙に変なの引っ掛けないか、とか」
「愛してますのね」
「モチロン」
当然のように獅子は答える。
「俺も吽も、アイツしかパートナーにしたくねーし。なら大事に大事に俺らのモンだって主張しとかねーとな」
「だから、卒業を待たずに対である吽より先にパートナーになったんですの?」
「少なくともパートナーが居れば手ぇ出そうとは思わねーだろ?それに卒業したら吽もヒナコのパートナーになるんだから、結果としては変わらねーよ」
パートナーなら、共に居たいと思うモノだ。
しかし獅子の対である吽は大怪我のせいでこちらへ来れない。
二匹ともパートナーだというのに片方だけしか共に居られないというのは、そしてソレが九年続くというのは、ストレスにもなってしまうだろう。
けれど虫除けかつ予約の為にもパートナーは必要。
だからこそ、共にパートナーになるのではなく、同行する獅子……阿だけがまずパートナーになったのだろう。
……感覚的には多分、今は恋人関係とか婚約者みたいな感じで……卒業して対である吽もパートナーになったら、その時こそ正式な夫婦、みたいな感じなのでしょうね。
「……ふふ」
揺らがないその瞳に固い絆を感じて、思わず笑いが零れてしまった。
獅子はこちらの笑みに嫌味が無かったからか特に気にした様子も無く、ベッドに転がっているままだ。
……こういう深い信頼で結ばれたパートナー関係、憧れますわ。
卒業したら、ヒナコに家庭円満系のモノでも贈ろうか。
そんな風に未来を思い、また笑った。
ヒナコ
名前は漢字で書くと陽奈子という文字。
勉強に行き詰ったりホームシックという獅子でも難しい問題などの時、大体ジョゼフィーヌが助けてくれるくらいには日頃の行いが良い。
獅子
ホントは吽は死んでる予定だったけど書いててしっくり来なかったので存命ルートに。
ヒナコと一緒に居るのは阿で、活発ツンデレな子。極東で留守番をしてるのは吽で、真面目クーデレな子。