電気少女とパララサスサーペント
彼女の話をしよう。
遺伝で肉体の電気信号に干渉可能で、蛇が好きで、面倒くさがりな。
これは、そんな彼女の物語。
・
膝の上が重い。
「ちょっと、ベルナルダ?膝枕ならともかく、そう上半身を完全に預けられるとわたくしも困るんですけれど」
「だって面倒臭いんだよー……」
赤みのある金髪を揺らし、ベルナルダはいやいやと首を振った。
談話室のソファに座って本を読んでいたら、ドシャッと落ちるようにうつ伏せたのだ。
……膝枕ならよく要求されるからともかく……。
現在のベルナルダは完全に干された布団。
最早干物。
そして膝掛けでもあるまいに膝掛けのようにデロリと膝の上に乗っかられるとかなり足が痺れる。
……全力で力抜かれてるせいで重みダイレクト過ぎますわ!
もうちょっと気遣いは無いのだろうか。
無いだろうな。
ベルナルダはそういう子だ。
「……というかベルナルダ、なーんでそうもグッタリしてんですのよ」
「僕って電気信号に干渉出来るだろう?」
「ああ、あのスタンガン的な」
「スタンガンはよくわからないけど」
「静電気の強いバージョンで麻痺らせるアイテムですの」
「成る程、うん、大体そんな感じ。とはいえソレは他人用であって、僕自身に使う時は自在に操作が可能なんだよね。だからこそ電気信号を用いるコトで肉体を自由に動かせるワケだけど」
「うーん、普通はそういうのに干渉云々抜きでも自分の体は自由自在なんですのよー?」
まあ厳密に言うとそれなりに個人差はあるが、基本的には自由自在だ。
「ちょっと電気信号で体動かしたら、凄く疲れた。だるい」
「一応聞きますけれど、普通に動くんじゃなくて電気信号用いての行動をした理由は?」
「自分で動くなんて面倒じゃないか。電気信号に干渉すれば思った通りに体が勝手に動くんだ。人体は電気が通ってるからね。
こないだ機械好きメンバーが作ってたラジコン?だったっけ?ナンかこう、リモコンでガチャガチャ動くヤツ」
「あー、ありましたわね」
「要するにアレみたいな感じでさ、電気信号を使えば意識的に動こうとしなくても、思った通りの方向に体が勝手に動くんだよ。静電気に触れた瞬間、弾かれるように手が離れたりするだろう?大体あんな感じ」
「反射的に動くヤツですわねー」
「そうそう。普通に動くのが面倒だったから、そうやって動いてたんだ。足に電気信号を流して足を動かして、ってね。ただソレやってたら疲れたしだるだるーって感じになったからこうして休憩をしに来たってワケ」
「うーん完全なる宝の持ち腐れというか無駄遣い過ぎるというか。アナタ普通に動けるなら普通に動いた方が数倍楽だと思いますわよ?」
「面倒なのはイヤなんだ!」
「珍しい大声で言うこっちゃありませんわ……」
しかも目ぇカッ開いて言うセリフでもない。
決め台詞でもあるまいに。
「大体な、やる気なんて概念には色々物申したいんだ。具体的には僕はお前を信じていないとかそういうコトを」
「やる気の概念がここに居たらぎゃふんって言いそうですわね」
「そもそもやる気ってナンだやる気って。やる気が無いから面倒臭がりなんだよこっちは。食事するのもお風呂入るのも着替えるのも起き上がるのも外に出るのもやる気が要る。でもやる気は無い。
だから面倒臭い。面倒臭いのにやらなきゃいけない。やらなきゃいけないけど面倒臭いしでもやらなきゃいけなくてマーーーーーーッ!」
「ヒトの膝の上で発狂しないでくださいな」
やる気一つにどれだけ嫌悪感を抱いているんだ。
というか発狂する方が面倒臭いと思うのだが。
「つまり面倒だってコトだよ全てが。何故やらなきゃいけないんだ。生きるコトが面倒臭い。でも死ぬ気は無い。ハー。
だから僕は電気信号で動くんだ。じゃないとやってられるか。自分の意思で動くなんて面倒なコトは出来ない。覚悟を決めるのには五十年必要だ」
「ちなみにナンの覚悟ですの?」
「…………起き上がる覚悟」
「五十年寝てたら普通は完全に体固まって覚悟決まっても起き上がれなくなってそうですけれど」
「ならもう寝る。寝続ける。いやでも寝るのも結構体力が必要で面倒臭い。面倒臭い。息を吸うのも吐くのも面倒臭い」
「ベルナルダ、自覚無いなら言っておきますけれど、そう愚痴るアナタが一番面倒臭いコト言ってるって自覚なさいな」
「要するに僕は電気信号以外で動く気は無いってコトだよ。自分から動くだなんて無駄が多い。電気信号で動けと命じれば動こうとしなくとも勝手に動いてくれるんだから、そっちの方が経済的だ」
「経済に関係してるとは思えませんけれど……というか自覚云々については完全に無視ですのね?」
否定するのも面倒臭いと言って受け入れるかと思いきや、さらっと聞こえない振りしてスルーしよった。
面倒臭がりだわ発狂するわで困りものだが、この辺り中々タフなメンタルを有している。
「……蛇に会いたい」
「その辺に居ますわよ」
「癒されたいんだ僕は!蛇!もしくは蛇系!」
「トカゲとかドラゴンとか?」
「ドラゴンは一緒くたにしても良いのか微妙なラインだけど、まあそうだね」
「ならコルンバーノのパートナーであるフォスルドラゴンとか」
「重要なのは鱗部分だよジョゼ。彼女は僕も一度見たコトが……まあ、頭部と手しか見たコトは無いけど。でも彼女化石ってコトは鱗皆無だろう?僕が好きなのはあのツルツルすべすべな鱗なんだよ」
「あるかもしれないじゃありませんの」
「あるの?」
「ありませんけれど」
「ジョゼそういうトコあるよね!」
「ふふふ」
ベルナルダの頭をぽんぽんと撫でれば、すぐに大人しくなった。
「……森に行こうかなあ」
「あら、電気信号でのだるみはもう取れたんですの?」
「取れてないしだるさはずっとあるよ。でも好きな生き物に会いに行くなら、電気信号でバチッとやって会いに行く」
「そのくらい自分の意思で動きなさいな。会いたいって気持ちはあるんでしょう?」
「会いたいと会いに行こうは違うんだよ。……それに、彼がまたあの場所に居るとは限らないって思うとね」
「彼?」
「蛇の魔物。サイズ大きめでね、結構格好良かったんだ。ナンかじっと見てきたから、丁度持ってた卵サンドあげた」
「へえ、大蛇の魔物……あの森何でも居ますわよねえ」
「うん。あ、ジョゼなら種族わかるかな?」
「大蛇って結構数居るから断言は出来ないと思いますけれど……特徴は?」
「上半身、というか首から肩、腕にかけてが人間っぽかったよ。頭や胴体や下半身は蛇!って感じだったけど」
「アッ、ソレ思いっきりアウトな魔物の可能性大なので会いに行くのオススメしませんわ」
「アウト?害魔?」
「んー、害魔では無いんですけれど…………とりあえずあんま会わない方が良いのは確かですわね」
「怖いんだけど」
「詳細語るとアナタが普通に受け入れそうなのでちょっと……」
「どういう意味なのかさっぱり過ぎる」
……もしホントにあの魔物だった場合、全力でお世話しようとするんですのよねー……。
となると面倒臭がりなベルナルダからすると、アリというコトになるかもしれない。
そうなると最悪捜索する必要があるのだ。
……万が一そうなってもせめて一回帰って来て報告だけはしといてくれないと!
「とりあえず、見知らぬ場所で目が覚めて体が動かなかったら電気信号で体の中の毒素を汗で排出して逃亡するように。
正直言ってベルナルダの性格を考えるとアナタ好みとも言える可能性が高いので不要な心配かもしれませんけれど、一応一回は帰って来て報告だけは頼みますわね。
じゃないと捜索する必要がありますし、アナタが合意かどうかを確認出来ないと最悪その魔物を討伐しないと駄目になるかもしれません」
「結局どういうコトなんだい?」
「その魔物がアナタを守ろうとしてわたくし達とアナタを接触させまいと攻撃してきたら害魔認定するしかなくなる可能性があるってコトですわ。とにかく一回は戻る。オッケー?」
「まったく意味がわからないし、結果的に僕は怖い目に遭うのか素敵な思いをするのかも不明だけど、とりあえずオッケー」
「よし」
「というか毒素を汗で、とか言ってたけど、僕は毒素を盛られる可能性があるのかい?」
「その魔物、多分思っているのと一致してたら相当な麻痺毒を持っているので……」
そして思っている通りにパララサスサーペントだった場合、気に入った相手に麻痺毒を流し込んで身動きを取れなくし、人が三人くらいで生活出来そうな広さの巣穴に連れ帰る習性がある。
ソコで延々と麻痺毒を流して体の自由を奪いながら、対象が死ぬまで甲斐甲斐しくお世話をするのがパララサスサーペントだ。
……蛇らしく貪欲かつ執着強めですし、ね……。
甲斐甲斐しく世話をするという習性の通り、ちゃんとご飯やらお風呂やらをいたれり尽くせりでやってくれる魔物でもある。
ただ麻痺毒で完全に身動きを取れなくしてくるだけで。
……まあソレが一番アウトなんですけれど!
合意でも合意じゃなくても麻痺毒を盛るのがパララサスサーペント。
だからこそ念の為に、ベルナルダに毒素の排出法を伝えておいたのである。
当然、無駄な心配で終わってくれるのがなによりの幸いだが。
・
必要不可欠な心配となってしまった。
あの後よくわからんという顔をしながらも森へ行ったベルナルダだが、夕方、日が落ちる前に戻ってきた。
「…………大丈夫ですの?」
「ジョゼの心配がまさか本当に役立つとは思わなかったよ……!」
葉っぱやら土やらをあちこちに付着させながら、ベルナルダはそう言った。
どうもやはりパララサスサーペントだったらしい。
「また会いに来てくれたのか」
嬉しそうにそう言って抱き締めてくれたと思ったら痛みが走り、気付いたらほら穴の中だったそうだ。
確かにベルナルダの方に牙の痕があるのが視えたので、ガブリとやられて麻痺毒を注入されたのだろう。
「ああ、起きたか」
「はれ……」
「麻痺毒が回っているから喋れねぇだろ。無理すんな。俺は今からお前の為の食い物を確保してくるから、大人しく眠っとけ。お前の全部、全部を、全部全部全部全部全部を俺がやってやるからよ。心配せず寝ててくれ」
とても甘く優しい声でそう言って額にキスをし、立ち去ったらしい。
「で、その隙に?」
「そう、その隙に電気信号で一気に発汗させつつ、麻痺毒を汗に混ぜて出した。
そして体の自由が戻ったから、そのままふらつく足に電気信号流して全力逃亡。汗のせいで葉っぱやら土やらが付着するしで酷い目に遭ったよ」
中庭のベンチに腰掛けながら、ベルナルダは疲れたようにそう言った。
「というかアレさ、どういうコト?ドコが僕なら受け入れられるってなったの?流石の僕も食われるのはちょっと」
「食われはしませんわよ。お世話されるだけですわ」
「……お世話?」
「体の自由を奪う代わりに、全ての世話をするんですのよ。あのパララサスサーペントって魔物は。食事から洗顔から風呂から着替えから排泄から身嗜みから歯磨きから髪のケアから本当全てに至るまで」
「ちなみに自由は」
「その対価として完全に奪われますわね。常に麻痺状態」
「うあー、なら無理だ」
そう言ってベルナルダは頭を抱えた。
「僕は自由で居たい。お世話はされたいしそこまでしてくれるならとても助かるしお世話になりたいけれど、僕は自由のままが良いんだよ」
「あら、詳しく聞いたらなら戻ろうってなるかと思ってましたわ」
「だから詳しく教えなかったのかい?」
「ええ。そのまま居心地良いからって失踪されちゃあこっちが困りますもの。一旦帰って来て合意かどうかだけ伝えてくれないと」
「なら言っておくけどまったくもって合意じゃない!蛇であるコトは最高だったし、見た目もドンピシャ!声も口調も好み!体が大きいトコロも好みだった!その上お世話してくれるとか最高!是非パートナーになって欲しい!」
「なら良いんじゃありませんの?」
「でも僕は自由が好きなんだよ!お世話されるのは良いけど管理されるのは違うんだ!」
「普段から電気信号で体動かしててある意味自分で自分を管理しているようなモンでしょうにナニを今更……」
「ジョゼ、キミは僕にどうなって欲しいんだい?」
「そうですわね、今はとりあえずわたくし達が座ってるベンチの背後で今にもアナタを抱き締めようとしてるパララサスサーペントと話し合いしてその辺纏めたらどうかと思いますわ」
「エッ?…………ワーーッ!?」
「おっと、逃げるな逃げるな」
「ギャッ」
後ろから腕を伸ばしていたパララサスサーペントによって、ベルナルダはあっさりと捕まった。
捕まったというか、背後から優しく抱き締められている。
……ベルナルダの足がパララサスサーペントの尾に絡めとられてギッチリ拘束されてるのは、ええ、見なかったコトにしておきましょう。
悪であるならば仕留めるが、基本的に蛇とは戦いたくないのだ。
粘着質だし執着が強いし唆すしで天使としては天敵とされる魔物。
……うん、合意無しでまた麻痺毒注入するようなら一撃くらいカマす必要があるかもしれませんけれど、そうならない限りは空気と同化して放置!ですわね!
身の安全を確保するのは大事だ。
特に蛇は喧嘩を売りさえしなければこっちに意識を向けるコトすらしないワケだし。
「話は聞いていたから大丈夫だ。すぐには麻痺毒を注入したりしねぇよ。あれを注入すると会話が出来ねぇしな」
「すぐには」
「世話、されたいんだろ?なら大人しく俺だけのパートナーになってくれよ、なあ」
「パートナーに関しては本当好みだから全然オッケーだけど自由を奪われるのだけはちょっと」
「ソレは俺だって同じだ。俺はお前に自由になって欲しくねぇ。自主的行動をされるのが駄目なんだ。移動もナニもかも俺がやってやるから、お前は大人しく寝ててくれよ」
「ソレが無理なんだってば!僕は確かに自分で行動するのを嫌うけれど、動かないと動けないは違うんだよ!」
「平行線で長引きそうなので口挟ませてもらいますけれど、とりあえずお試しでパートナーみたくやってみたらどうですの?」
四つの目がこちらを向いた。
「要するに麻痺毒云々だけが問題なら、世話するなり同居なりは問題無いってコトですわよね。ならベルナルダの部屋にパララサスサーペントが泊まって、ベルナルダの世話をする、ってのじゃ駄目なんですの?」
「麻痺毒を与えないと自主的行動するだろ」
「その子本気で面倒臭がりだから多分大丈夫ですわ。アナタが先回りして用意したり、手渡したり、移動したりすればモーマンタイ」
「俺は水を手渡すんじゃなくて水を飲ませてやりてぇんだよ。なんなら喉を撫でて飲む補助までしたい」
「だそうですけれど」
「麻痺毒仕込まないならそこまでやってくれて全然構わないよ」
「麻痺毒を仕込まないと喉が勝手に飲むだろうが」
「その辺は上手くすり合わせて行きなさいな」
「……ジョゼ、さっきから早く話を終わらそうとしてない?」
そう言うベルナルダにニッコリと笑い、空を指差す。
「もう日ぃ暮れてんですのよ」
あと汗まみれかつ土や葉っぱまみれのままであるベルナルダを放置してたら風邪引く可能性が高いので、さっさとお風呂に入って欲しい。
・
コレはその後の話になるが、お風呂云々についてを言ったらパララサスサーペントが「確かにその通りじゃねえか!」と叫んで麻痺毒についてを諦めたので良しとしよう。
もっとも大浴場は男女別になっている為パララサスサーペントは入れなかったので、自室にあるシャワールームに行ったらしいが。
……大浴場に関しては、パートナーの裸を他の魔物に見せてなるものか、って魔物達がそういうの止めてますものねえ……。
ちなみに何故パララサスサーペントがシャワールームにベルナルダを連れて行ったのかと言えば、彼がベルナルダを洗う為だ。
そういうのまでしっかりとお世話するのがパララサスサーペントである。
……うん、まあ、性欲無い分羞恥心無いので問題ありませんけれどね。
性欲があって羞恥心も人並みにあったらさぞキツいだろう。
異世界の自分がそう言っているのできっとそのハズ。
もっともベルナルダはお風呂すらも面倒臭がる子なので、入れてくれるし洗ってくれるし丁寧だし気遣い完璧だしで素晴らしかった、とのコトだったが。
「だから!麻痺毒は止めてくれって言ったハズだろう!?」
「そうは言われても、やはり動けないベルナルダを世話したい、というのは本能だからな」
……あー、またやってますわねー……。
談話室の一角で、ベルナルダとパララサスサーペントが騒いでいる。
騒いでいるのはベルナルダだけだが。
……本能だからもう、どーしようもないとはいえ……。
お試しパートナーになった日の夜、パララサスサーペントは思いっきり麻痺毒を注入したらしい。
もっとも目が覚めたベルナルダがソレに気付き、ソッコで毒を排出してどうにかしたらしいが、ソレが頻繁に発生しているのだ。
……タイミングを見計らって麻痺毒仕込むパララサスサーペントもパララサスサーペントですし、麻痺毒仕込まれながらも対処は出来てるし麻痺毒以外に拒否る理由無いしと言って受け入れてるベルナルダもベルナルダですわ。
麻痺毒を注入されるというのは相当に拒否る理由だと思うのだが、彼女からするとそうでも無いのだろうか。
それともパララサスサーペントへの愛の方が上回っているのか。
……怒りながらもパララサスサーペントを抱き締めてる今の姿見ると、愛が上回ってる方な気がしますわね。
「というか、おい、抱き締められるのは本望だが一旦離せ。そろそろ飯の時間だろうが」
「歩きたくない」
「なら麻痺毒を受け入れてくれても問題無いんじゃねぇか?」
「それは問題だよ。歩きたくないけど歩けないようになりたいワケじゃないんだから」
「そうかよ。まあ歩きたくねえっつうのは俺としてもありがたいが、拘束されてちゃ飯を作って持ってくるコトも出来ねえ」
「ご飯は別に食べなくてもよくない?」
「良いワケねえだろちゃんと食え。俺が与える以外の食いモンを食うのは許さねえが、俺の作るモンはちゃんと食え」
「んー、ソレ前から気になってたんだけど、どうしてわざわざ作ってくれてまでこだわるのかな?」
「お前の身体を構築させるモノを俺が用意したら俺のモンだろ」
「僕は僕のモノでしかないんだけど、まあ良いか。その辺考えると面倒臭いし」
……ソレで良いのかわかりませんけれど、確かに面倒臭そうと思うと納得は出来ちゃうんですのよねー。
「ホラ、一旦離せ。抱き枕にすんな。お前が俺を拘束したままじゃ俺はお前の為に動けねえだろうが」
「僕の為に抱き枕になってくれたりはしないのかい?」
「麻痺毒を盛って良いならな」
「週一で寝てる間に無断で麻痺毒注入して動けなくさせてくるクセに。もー、良いよわかったよもー。真面目なんだから」
「俺はお前を健康的に生かす為に生きてるんだから当然だろうが。俺はお前が死んだら死ぬ。だからこそ、キチンと健康かつ幸せになってもらわねえとな」
「麻痺毒に関しては?」
「ソレは俺の幸せの為だ」
ラブラブのような喧嘩ップルのような感じだが、アレで歯車は合っているんだろう。
そうじゃなかったら、マジで週一ペースで麻痺毒盛られてるベルナルダが流石にマジの拒絶をするだろうし。
ちなみにパララサスサーペントは気に入った相手が死ぬと後を追う為、お前が死んだら俺も死ぬ発言もまたマジである。
蛇系は大体愛が重い。
ベルナルダ
遺伝により肉体の電気信号に干渉が可能だが自分自身にのみであり、他人にはちょっとした静電気程度しか干渉不可能。
しかし面倒臭がりが高じて精度が高い為、体内の毒素を汗として排出させるコトも可能。
パララサスサーペント
気に入った相手を麻痺らせて連れ帰って自由を奪った上でお姫様扱いする魔物。
意思はあって欲しいので人形遊びがしたいワケでは無く、しかし人形のように全てお世話する必要がある状態であって欲しいという面倒臭さ。