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ヒトと魔物のキューピッド  作者:
六年生
188/300

アクセサリー店主とキャノンリトルガール



 彼の話をしよう。

 王都でアクセサリー店をやっていて、大らかな性格で、盗人絶対許さないマン。

 これは、そんな彼の物語。





 いつものアクセサリー店で、展示されている品物をゆっくりと見る。



「あ、コレ新作ですの?」


「よくわかったね」



 自分の言葉に、ドミニク店主は白髪が混じっている暗い赤色の髪を揺らしてクスクスと笑った。



「よく来てるからわかりますわ」


「確かに。特にジョゼフィーヌはゆっくりと見てるもんな」


「ジョゼフィーヌはしりょくがいいぶんゆっくりみなくともだいたいみきわめられるだろうに、いつもじっくりとじかんをかけているね」


()える情報と、じっくり見るコトにより得られる感情とかはまた別物ですもの」


「ふぅん、なるほど。ところでジョゼフィーヌ、おちゃいれたけどのむかい?」


「ご近所さんがくれたクッキーもあるぞ」


「あら、いただきます」



 用意された椅子に座り、キャノンリトルガールが淹れてくれたお茶を飲んでほっと一息。



「……この店、ホント居心地良いですわよね」


「そう?あんまり言われないセリフだけど、そう思ってくれてるなら良かった」


「ほとんどのきゃくはながいするどころか、はいりもせずにかえっていくこともおおいからな」


「ナンでだろうな、アレ」


「多分ソレ、直前に盗人シメてた時に多いヤツですわよね」


「ああ」


「うん」


「その剣幕とかにビビッてるんだと思いますわよ」


「僕達別に盗人じゃなければ攻撃しないのに」


「そりゃこうしてお茶やお菓子まで出してくれる辺り客に対してかなり優しいのはわかってますけれど、普通はビビるモンですわ。狂人ならともかく」


「ああ、ジョゼフィーヌはきょうじんだもんね。だからこうしてじょうれんになってくれたのか」


「まあ、そうですわね」


「でもソレならもっと他にも客が居ると思うんだけど。僕の店の客、常連になってる子ばっかりでさ。新顔は全然来てくれないんだよね」


「ジョゼフィーヌがしょうかいするこくらいだよな」


「多分基本的な狂人はアクセサリーにあんま興味持たないから、だと思いますわ」



 その辺の感性がよくわからないというかちょっとイカれてるからこそ、狂人なのだ。

 まあ自分の場合は常識が備わったイージーレベルの狂人なのでアクセサリー店にも普通に来るが。


 ……もっともわたくしはわたくしで自分用じゃなく、友人とかにプレゼントする用ですけれど……。


 友人相手だろうと尽くしがちなこの性格、天使の生態的なモノなんだろうか。

 神に奉仕する種族だと考えるとあり得るのがちょっとイヤだ。

 いや神に奉仕するコト自体はまったくもってイヤではないが。


 ……わたくし、内心で一体誰に言い訳してるんでしょう……。


 でも神はワリと心の声も聞き取って来るので油断ならない。

 だって心の中の祈りも聞き届けたりするのが神なのだから。



「しっかし、本当に困っちゃうよね。普通の客は中々来ないし、盗人は多いし。どうして僕の店は盗人がよく来るんだ」


「全力で潰しまくってるから、盗人達がこの店で盗み出せれば箔が付くって思ってるんじゃありませんの?愚か者だからやってはいけないコトもわからないし、危険度も察せないのでしょう。

それにこの店から盗み出せたとなれば高値で売れそうですしね」


「うーん、ソレで五体が四散したりすると考えると、メリット薄いと思うんだけどな」


「ドミニクはぬすみにすぐきづくし、わたしはおもいっきりげいげきするしね」


「キャノンリトルガールによる迎撃ってかなり迫力満点ですわよね。わたくしアレ結構スカっとするので好きなんですのよ」


「えっ、そうかいそうかい?そっかー、スカっとするかー!いやあうれしいな!

よーしジョゼフィーヌ、うれしいコトをいってくれたからジョゼフィーヌにはわたしのぶんのクッキーをあげよう。わたしのぶんまでおおきくおなり」


「わたくし年齢と性別的に考えると既に結構タッパありますけれど、ありがたくいただきますわ」



 というか言い方やこうして頭を撫でてくれる仕草などを見ると、やはりキャノンリトルガールは見た目通りの年齢では無いのだな、と実感する。

 まあ魔物どころか人間でも見た目通りの年齢でないコトはよくあるコトなので今更気にする程のコトでもないが。


 ……でも、ホントこの見た目で攻撃力たっかいんですのよねー。


 見た目は可愛らしい幼女だが、その辺の空間から大砲を出現させたりする火力バリ高な魔物、ソレがキャノンリトルガールだ。

 ちなみに指先や手の平、肩など体の一部を大砲化するコトも可能なので、こういう系が好きなヒトからすれば垂涎モノな魔物だろう。


 ……まー、ドミニク店主見てると、ドミニク店主にはそういう趣味嗜好は無いっぽいですけれどね。



「ああ、じゃあキャノンリトルガールは火薬でも食べる?」


「うんうん、いただこうかな」



 キャノンリトルガールはドミニク店主の膝の上に座り、渡された火薬を飴であるかのように頬張って噛み砕き始める。



「……火薬が主食って、大砲だと考えると普通で、ヒト型と考えると一瞬驚きますわよねー」


「普通は一瞬で収まらないと思う」


「ヒトってけっこうみためにえいきょううけるもんね。わたしからすればヒトのすがたをしただけのたいほうなんだから、かやくたべるのはふつうなんだけど」


「クッキーとかも食べれるとはいえ食べれるだけで、火薬じゃないと栄養摂取出来ないのがキャノンリトルガールの生態だもんな」


「あー、居ますわよねそういうタイプ」



 例えば邪神との混血なマリーナも、人肉や人血からしか栄養が摂取出来ないタイプだ。

 彼女はそんな体質でありながら肉や魚が苦手だったのが難点だったが。


 ……ま、レッドストロベリーが良い仕事してくれてるから問題無くてオッケーですけれど。



「…………そういえば思ったんですけれど、お二人ってどういう出会いでパートナーになったんですの?」


「んーと、僕は昔あんまりアクセサリーが売れなくてね」



 キャノンリトルガールを膝の上に抱えたまま、ドミニク店主はお茶を飲みながらそう話し始める。



「いや今もあんまり売れてないんだけど、まあお金は一応あったんだ。で、じゃあ昔の知恵をお借りしようって」


「つまりいせきとかにいって、むかしのアクセサリーのぞうけいとかをまなぼう!ってコトだね」


「成る程」



 確かに歴史的価値があるとされる昔の装飾品は、心奪われる造形をしているコトが多い。

 個人的には、アレは昔々の魅了系魔道具なんじゃないかと思うが。


 ……魔道具っぽくはありませんけれど、ヒトの心を惹きつける仕様になってる気がするんですのよね。


 実際アクセサリーというのは身に着けているヒトを良く魅せるモノなので、人心を惹きつけるという部分があるのだろう。

 恐らく食用系魔物が食べられたいという本能を有しているように、歴史的価値のある装飾品もまた、そういう根本的なナニかが。


 ……ま、そんな発想したって実際どうか知りませんけれどね。


 ホントかどうかはゲープハルトとかアダーモ学園長とかモイセス歴史教師とかに聞けばわかるかもしれないが、別にソコまで興味がある分野でもないので別に良い。

 自分が興味ある分野は文学とか魔物の生態とかその辺なのだ。


 ……そういえば、こないだゲープハルトが教えてくれた魔物関係の事実はビックリ仰天過ぎましたわ。


 まさか大昔では、ヒトと魔物の意思疎通が出来ていなかったとは。

 古代では今のように会話可能だったそうなのだが、その後ヒトが魔物を拒絶したとかヒトだけで生きようとしたとかで会話が出来なくなったらしい。


 ……確かに魔物って声帯とはまた違う部分から発声してるみたいなトコあるから、聞き取る側であるこちらが歩み寄らない場合、聞く耳を持ってないってコトになるのでしょうね。


 異世界である地球もフィーリングやボディランゲージくらいでしか意志疎通が出来なかったらしいので、歩み寄りの精神が足りない時代だったんだろうか。

 となるとアンノウンワールドの人間が異世界である地球に行けば、ワンチャンどの生き物とも会話可能な可能性がある。


 ……わたくしみたいに知識がINする例がある以上、あり得ないって言い切れないのがアンノウンワールドですわよ、ねー……。


 いつでも未知がソコに居る、ソレがアンノウンワールドだ。



「……あ、失礼、ちょっと思考が脱線した末に違う結論に到着したので続き、お願いしてもよろしくて?」


「ジョゼフィーヌはよくそうやってしこうがだっせんしてだまりこむよな。まあわたしたちはおとなだから、こどものやたらひやくするしこうはだいじにするはだ。すきなだけしこうをめぐらせるといい」


「うんうん、意外と浅かったり深かったり、ソレ最早深淵とか覗いてないか?ってなる時とかあるもんな。思考するってのは良いコトだよ」


「アッハハハ……」



 ここでお茶する時もよく思考を飛ばしているからか、保護者のように温かい目で微笑まれた。

 ありがたいが絶妙に居心地が悪くなる温度の目だ。



「ソレで続きだけど、要するに僕は遺跡に行ったんだよね。で、行った遺跡ってのがかつて戦争があった場所だったんだ」


「ん?」



 その言葉に、思わずキャノンリトルガールに視線を向ける。

 キャノンリトルガールは大砲を用いる辺り、完全に戦争用に作られたであろう魔物だ。



「お、さっしたかい?そう、わたしはかつてソコでせんそうようのへいきとしてもちいられていたんだ」


「もっとも僕が発見した時はボロボロの姿で座り込んでたけど」


「せんそうがおわればふようになるのがせんそうようのへいきだからね。わたしはみためこそかわいらしいおんなのこだが、ほんしつはへいきだ」


「そういやナンで幼女の見た目なんですの?」


「せんそうにくるヤツってのはまもるべきかぞく、そしてやしなうべきかぞくがいるヤツ……ソレもおとこがおおいだろう?おんなのこのみためってのは、あいてのこころをゆさぶるのさ」


「あー」



 確かに自分の子供を連想したりすると考えると、精神的ショックはさぞや大きいコトだろう。

 攻撃出来なければキャノンリトルガールの砲撃により死ぬし、攻撃して仕留めれば見た目だけとはいえ女の子を殺したという精神的負荷が掛かってメンタルが死ぬ。


 ……うーん、効率的って思う辺り、わたくしも狂人ですわねー。


 だがモイセス歴史教師から色々教わっている身としては、やはり効率的で良い作戦だな、と思う。

 見た目幼女なら相手の町にこっそり入り込んで油断してるどころか警戒すらしないだろうから、ソコをついて一瞬にして大惨事を発生させるコトも可能だろうし。

 ソレにキャノンリトルガールの愛らしく幼い見た目なら、仮にキャノンリトルガールが全て倒されたとしても幼い女の子だろうと容赦なく屠る悪の国だ!とか言ってネタに出来る。


 ……まあその場合、幼い女の子を戦場に出した方はどうやねんって意見も出そうですけれど。


 結局勝とうが負けようが、口が上手いヤツ次第なのだろう。

 戦争に勝ったとしても口喧嘩で負ければ、その瞬間に非道な国として名を刻むコトになるのだから。



「さてそういうワケで、せんそうしゅうりょうご、わたしははいきされた。まあふようぶつだし、せんそうがおわったらへいきはふようというのはとうぜんだからね」


「ソレでキャノンリトルガールは廃棄されたその場所にずっと居て、ソレを僕が見つけた、っていう」


「移動しなかったんですの?」


「はいきされたたいほうがじりきでいどうするとおもうかい?」


「大砲そのままで想像するとホラーな気はしますけれど、アナタ足があるじゃありませんの」


「そうはいってもいくさきがないからね。へたなくににいけば、へいきとしてにんしきされる。へいきであるのはじじつだが、ヒトというのはへいきがあればせんそうをしたくなるものなのさ」


「つまり?」


「つまりまたしにんたくさんでてさいしゅうてきにはいきされるのはいやだから、ってぼんやりしてた」


「その結果遺跡を色々見てたら体育座りしてる浮浪者みたいな女の子見つけた僕の気持ちわかる?」


「ご愁傷様ですわ」


「ホント、凄いビビったからなアレ」



 当時を思い出しているのか、ドミニク店主は遠い目になる。



「看板娘として可愛らしい服着てた方が客引きになるしってコトで今はフリフリの服着せてるけど、当時は布巻いてただけだったし。エッ、医者?医者呼ばなきゃ駄目なヤツ?って凄い慌てたよ」


「まあわたしのめのいろをみてすぐにまものだときづき、ソッコでしょうきをとりもどしていたけどな」


「そっから保護して、パートナーに?」


「大体ね。最初は大変だったよ。キャノンリトルガールってば自分は戦争用の兵器だからヒトの近くには居ない方が良い危険物だ、とか言って」


「じじつじゃないか」


「まあ、だからこそ僕は一緒に来てくれって頼んだんだけどね」


「盗人撲滅の為に?」


「うん」



 ドミニク店主は実に良い笑顔で頷いた。



「品物は売れないのに盗まれはするからホントにイライラしてたんだよ、あの時。

で、キャノンリトルガールを見つける前の遺跡でこのカチンコをゲットしてたから、これなら攻撃力さえあればどれだけ迎撃してもセーフなんじゃ……?って思っててさ」



 そう言ってドミニク店主が取り出したのは、魔道具であるカチンコだ。

 アレは最早伝説のアイテムなんじゃないのかレベルでリセットしたい事象全てをリセット出来るので、ヤバい。


 ……ええ、そう、具体的にはキャノンリトルガールが盗人をドーンしても元通りに生き返らせるコトが可能レベルで!


 まあ流石に時間制限的なのはあるらしく、巻き戻せるのは五分以内の出来事のみだそうだが。



「そんなワケで、わたしはドミニクについていくコトにしたワケだ。

しょうじきホントにやめたほうがいいとおもっていたのだが、カチンコののうりょくをみせられたからな。とりあえずソレがあるならまあだいじょうぶだろう、と」


「僕としては盗人が許せなかったから、過剰レベルの火力でドーンしてもセーフっていうのは最高だったよ。ホント、盗人は何度殺しても殺したりない程憎かったし」


「気持ち、お察ししますわ」



 金があるのに?とか品物全部盗まれたとかじゃないなら、とか普通は思うのかもしれないが、悪を許せない自分としてはとても共感出来る価値観だ。

 被害としては少なかろうが多かろうが、盗みをした時点で地獄落ち確定な罪なのだから、死ぬよりキツイ苦痛の味わうというのは当然だろうに。


 ……ええ、地獄ってそういうトコですものね。


 寧ろ生きている間にその責め苦を軽く体験するコトで、こんな目に遭ったコトで反省しているみたいだからまあまあまあ、とあの世の裁判で情状酌量の余地があるかもしれないし。

 つまり盗人退治は善行というコトだ。



「でもわたしとしては、さいしょはちょっとしんぱいだったけどね。わたしこうげきしてころすコトにとっかしてるから、つかまえたりみたいなてかげんはにがてだし」


「でもこのカチンコがあるから、全力ブッパして周辺壊れようとソッコで元通り、っていう」


「店内だろうと容赦なくドーンしてますものねえ」



 この六年間で三回程巻き込まれドーンして瓦礫の下敷きになったり体の一部を失ったりしたコトはあるが、元通りになるのでまあ良いか、と思うコトにしている。

 自分は痛覚があるのであまり良くはないのだが、愚か者に罰を与える為のモノであるならば仕方あるまい、という感じだ。


 ……ええ、愚か者への罰を与えている最中というコトは、近くに居過ぎたわたくしの自業自得みたいなモンですものね。


 ソレに対し喚くのは、戦争地帯に突っ込んで銃弾掠ってピーピー泣くバカくらいだろう。

 ソコ突撃したらそりゃそうなるだろ、みたいなコトだ。





 コレはその後の話になるが、お茶を飲んでいたらそういえば、と前にユスティネと会話した内容を思い出した。



「ああでもそういえば、過激な迎撃のお陰で兵士達もここで捕らえた盗人は大人しいから助かってるみたいですわよ。やっぱ痛い目見てない愚か者は世の中を甘く見てるからか、脱走しますものね」


「脱走かあ。見つかれば幸せだけどな」


「そうだね、だっそうまえにみつかるコトができればたしょうのばつのあとにろうやのなかへもどる、でおわるワケだし」


「完全に脱走しちゃうと、もう頭パァンしかないっていう」


「ホント、アレどうして脱走するのでしょうね?ソッコで見つかって頭パァンなって全て台無しになるに決まってますのに」


「自分は見つからない、って思ってるんじゃないのかい?」


「大人しく罪を償ってれば死後の裁判で多少融通利きますのにねえ」



 罪を償っていないという事実に脱走したとか償いから逃げたとかが加算され、死後の裁判が不利になるだけだろうに。

 しかもソッコで頭パァンな分、逃げた先で善行を為して情状酌量の余地を、という時間すらない。


 ……つまりただ自分で自分の首絞める行為でしかないんですのよね。


 まあ自分の首を絞めるというか、自分で拳銃を頭に突きつけてるようなモンというか。

 やってるコトが殆ど自殺志願者でしかない。



「……そーいうのがあるから、わたくしにとってのこの店は居心地が良いのかもしれませんわね」


「どういうトコだい?」


「愚か者には容赦なく制裁を与え、結果的に真面目に働いているモノの手伝いをしている。きっとそういう部分が、天使であるわたくしの本能的に落ち着くんだろうな、っていう話ですわよ」


「ふぅん」



 キャノンリトルガールの問いにそう答えるも、彼女は兵器的にその辺の心情にはあまり興味が無いのか、よくわからないと言いたげに首を傾げながらお茶を飲んだ。



「まあ普通天使が一番落ち着くのは、高い場所か教会とかの神域ですけれどね」


「だろうね」


「そう思うと、流石にそのレベルじゃないとはいえ、ジョゼフィーヌが気に入ってくれているというのはありがたい。

同列じゃないとはいえ、ただのアクセサリー店が神域と一緒に語られてるようなモンだし」


「アハ。まあ、単純にこうしてお茶やお菓子貰えるから、ってのが大きいのかもしれませんわよ?」


「そっか。ならまた用意しておくよ」


「うんうん、ジョゼフィーヌはじょうれんだし、よくかっていってくれるし、なによりわたしのたいほうのよさをわかっているからね。キミのようないいこのきゃくはだいかんげいさ」



 その言葉の裏には盗みをするような愚か者はお断りだ、という気持ちがあるのがよくわかる。

 が、よくわかるので指摘はしない。



「……じゃ、わたくしはまた、友人でも連れてきますわ。どうせならプレゼントする相手に来てもらった方が、好みも把握しやすいですしね」


「そういいながら、いっしょにこなくてもこのみをピンポイントでいとめてくるタイプだろう、キミ」


「うふ」



 ニヤリと笑ったキャノンリトルガールに、こちらもニマリと笑って返す。

 そんな自分達を見て、ドミニク店主は微笑ましそうに微笑んでいた。




ドミニク

アクセサリー店を経営している、見た目渋いが中身はワリとラフな店主。

盗人への殺意が高過ぎる程に高い。


キャノンリトルガール

可愛らしい幼女の見た目をしている大砲の魔物。

戦争用兵器として作られた魔物な為、殲滅は得意でも攻撃力を抑えるのは苦手。


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