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ヒトと魔物のキューピッド  作者:
一年生
12/300

ガサツ少女とスカイゴールドフィッシュ



 彼女の話をしよう。

 脳筋で、ガサツで、なのにとても可愛らしい顔の。

 これは、そんな彼女の物語。





 ここ最近、談話室に居ると面倒がやってくる気がしたので、自分は自室に居た。

 前から読もうと思っていたハードカバーの小説も借りたので、万全の引き篭もり体制は整っている。

 同室の子もパートナーと共に王都へ行ったので、コレでゆっくりと読書タイム!



「おうーいジョゼ居るかー?おーいジョゼー?居るコトはわかってんだぜジョゼー!いやホントお願いします開けてくれジョゼ!宿題手伝って!」



 ……せめて、何ページかくらい読ませてくれたって良いと思いますの。


 表紙を開いた瞬間に扉がドンドコドンドンとリズミカルさのカケラも無いリズムでノックされる。

 いやもうノックというか、殴っているような音だ。


 ……正直居留守を使いたいですけれど……。


 しかしこのまま放置しておくのは他の部屋の子にも迷惑になるので、出るしかない。



「わかりましたわ、アニー。今開けますから静かにしてくださいまし」


「おう!」



 本を置いて扉を開ければ、ソコにはフリフリのドレスが似合いそうなお人形のように可愛らしい顔……に勝ち気な笑みを浮かべた、アニーが立っていた。

 可愛らしい顔にあつらえたかのような金髪もまた美しいというのに、アニーはそんなコトを一切気にしていないのか、その髪は適当に括られている。


 ……折角の髪ですのに、グッシャグシャ……。



「いやー、居てくれて助かったぜジョゼ!」



 アニーはそう言って笑みを浮かべながら、ドッカリと机に備え付けの椅子に座る。



「フランカから出された魔物の宿題が意味わかんなくってよー」


「せめて先生を付けなさいな、アニー。あと座るのは構いませんけれど、女の子が足を開くのはいただけませんわ」


「ハイハイ」



 そう、アニーは女の子だ。

 一人称が俺で口調も男らしいが、ソレでも見た目は人形のように可愛らしい女の子なのだ。


 ……まあ、本人まったく気にしてませんけど。



「んでよ、ジョゼ。フランカセンセーから宿題出されただろ?知ってる魔物の種類を最低でも十種類書いて提出ってヤツ」


「ああ、アレもう終わりましたわ」


「いーーーーなーーーー!」



 そう叫び、アニーはバタバタと行儀悪く椅子の上で足をバタつかせる。



「俺も一応やったんだぜ?猫とか犬とか書いてよ。なのにフランカのヤツ書き直しって!酷くね!?」


「いやソレ当然だと思いますわよ」



 ドーベルマンとかスコティッシュフォールドというのを書け、という宿題に対し、犬だ猫だと書くのはアウトだ。



「というか、アレ凄く簡単な宿題ですけれど……」


「魔物の種類とか興味ねーもん」



 ハァー、と溜め息を吐きながら、アニーはガリガリと頭を掻いた。

 ただでさえグシャグシャな髪が、より一層酷いコトになってしまった。



「……わかりましたわ、教えますわよ。その代わり、髪を整えさせていただけます?」


「ん?お色直し?そりゃ髪長いヤツは勉強する時に髪括るヤツも多いけどよ、お前ショートにしてるし別にしなくて良いんじゃね?」


「わたくしじゃなく、アナタのですわ。そのグチャグチャの髪、クシを通して結び直させてくださいな」



 そう言うと、アニーは意味がわからないとでも言うような表情をする。



「俺の髪なんて別にどーでも良いと思うけど……ま、良いや。任せるぜ」



 椅子に座ったままこちらに背を向け、アニーは髪留めを解いて渡してくれた。



「はい、お任せくださいな……って、ナンですのこの髪留め」



 髪留めに使われていたのは、輪ゴムだった。コレは髪留めじゃない。髪を何本か殺す凶器だ。



「ああ、ソレ?ナンかあったから、髪伸びてきたし丁度良いやって思って」


「特に思い入れも無いんですのね?」


「おう」


「じゃあコレ捨てますわ。代わりにわたくしのリボンを使いますわね」


「え、ジョゼ髪ショートなのに使うの?」


「伸ばしてるんですのよ?あと買い物が趣味なんですの。学園に来てからは図書室があるので本を買う頻度は少し減りましたけど、その分こういった装飾品を買ったりしてるんですわ」


「ふーん」



 所々絡まっているアニーの髪を解きつつ、クシで優しく梳く。



「やっぱジョゼって貴族だからか金持ちだよな」


「確かにお小遣いは多いですけれど、ソコまで荒く使ってはいませんわ。そもそも学園に来てからは、ちゃんとバイトで稼いでますわよ」


「え!?どんなバイト!?」


「コラ、振り向かないでくださいな。髪が引っ掛かっちゃいますわよ」



 アニーの顔を正面に向け直し、その金髪をリボンで纏める。



「で、どんなバイトしてんだ?」


「翻訳ですわね。ホラ、わたくしって目が良いから、他国の言葉も読めるんですの。なので他国語の本をこの国の言葉に書き換える翻訳作業で稼いでますわ。学園側からの正式なバイトなので安全ですし」


「へー……でも、それってソコまで稼げるのか?」


「ええ、結構。翻訳も的確だと高評価ですし、最近は古語の翻訳もどうかって話が来てますから、そちらもやるつもりですわ。わたくしとしては普通に読める文字ですので、紙とペンとインク、あとは腕が持つかどうかですもの」


「あー、文字沢山書くと腕とか指とか痛くなるもんな」



 そう、執筆業に寄り添う存在であり、天敵だ。

 地球とは違って魔法があるので、回復自体は可能。

 ゆえに重症化する前に、というか症状が出る前に保険室でメンテナンスをしてもらうコトも多い。


 ……まあ、わたくしの場合、この目に異常がないかというメンテナンスも含んでますしね。


 後天的だし理由も不明なので、一応検査は必要なのだ。

 ついでに腕のケアまでしてもらうのは、と思わないでも無いが、翻訳する中には医療系も含まれているので頼みにくいというコトは無いのが幸いだ。



「さ、綺麗に髪も整いましたし、勉強をしましょうか」


「うげっ」



 勉強という言葉を聞いて、アニーは可愛らしい顔を嫌そうに歪めた。



「ちゃんと覚えやすく簡単な魔物だけを教えるつもりですわよ。多く言っても覚えられないでしょうから、とりあえず最低限」


「流石ジョゼ!俺みたいに頭悪いヤツに対してちゃんとソイツ基準にしてくれるそーゆートコ好き!」


「ハイハイ、わたくしもアニーのコトは好きですわよ。じゃ、先生方のパートナーを覚えましょうか。コレなら覚えやすいでしょうし。まずケイト植物教師のパートナーですが、わかります?」


「ナンかの木」


「酒木、ですわ。名前の由来は酒が詰まった実が生るからですの」



 その後時間こそ掛かったものの、日暮れ頃にはどうにか十種類前後の魔物の名称をアニーの頭に叩き込むコトが出来た。





 最近は本を読んでばかり……いや、何故か頼まれたりして読書出来ないコトも多かったが、しかし本を読んでばかりなのも事実だったので、少し歩くコトにした。

 今は昼休みであり、食事もサンドイッチで済ませたのでまだ時間はある。


 ……授業まで中庭を歩いて、放課後は王都に繰り出すのも良いかもしれませんわね。


 そんな風に放課後の予定を立てつつ、中庭を歩く。



「ジョゼーーー!」



 ……さよならゆったりした時間。



「……アニー、どうしたんですの?」


「ジョゼ!魚!ナンか魚!猫!なかさ!」


「アナタ、頭大丈夫ですの?」


「いつも通りだぜ!」



 いや、いつもよりヤバイ。

 そう胡乱げにアニーを()て、アニーが腕に抱いている存在に気付く。



「ソレ、魔物ですわよね?」


「そう!」



 アニーが抱いていたのは、幼児くらいのサイズはある空色の金魚だった。

 レースを重ねたようにヒラヒラしている美しい尾びれ。

 光を反射して空色に輝くそのウロコには、傷がある。



「……スカイゴールドフィッシュ、ですわね。空気の中を泳ぐ空色の金魚。どうしたんですの、その傷」


「猫!」


「成る程、猫の魔物に襲われてたのを助けたんですのね」



 端的過ぎる言葉ではあるが、アニーの表情と、スカイゴールドフィッシュの傷を()ればすぐにわかる。

 基本的にその辺は弱肉強食なのでスルーが多いのだが、助けた以上は見捨てるワケにもいかない。



「第一保険室に連れて行きましょう。カルラ第一保険医なら魔物の手当てもしてくれるハズですわ」


「おう!」





 無事にスカイゴールドフィッシュの手当てが終わり、全身にタトゥーが入っているカルラ第一保険医は包帯を巻いたスカイゴールドフィッシュをアニーに手渡す。



「とりあえずの処置ではあるが、毒などは検出されなかったから安心しろ。あとは毎日包帯解いて薬を塗ってまた包帯を巻いてやれば一週間くらいで治る」



 そう言うカルラ第一保険医に、アニーは不思議そうに首を傾げた。



「魔法で治せねーのか?」


「世の中魔法では治せんモノもある、というのは知っておけ」



 カルラ第一保険医が椅子に腰掛けると、その体にあるタトゥーがグニャリと蠢いた。



「例えば手術が必要な場合、アレは魔法ではどうにもならんだろう。いやどうにかは出来るが、相当手慣れていないと無理だ。うっかりで血管に傷を付けられたら敵わんのでな」


「つーか、単純にその体をしっかり理解してねえと魔法で治癒とか出来ねんだよ!」



 ゲラゲラ、と男の声で笑ったのは、カルラ第一保険医の体にある蠢くタトゥーだ。

 カルラ第一保険医の左頬辺りで、タトゥーの頭部ともいえるガイコツが笑う。



「自分に対してなら出来るぜ?そりゃ自分だからな。ナンとなくわかるってモンだ。しかし他は違う!昔はそうでも無かったが、最近じゃあ人体もかなり変化が著しいしな。教科書通りの人体してるヤツなんて、今の時代早々いねぇよ」


「うるさいカースタトゥー」


「ギャーーーッ!?」



 ゲラゲラと笑っていたカースタトゥーに対し、カルラ第一保険医が酷く不愉快そうに自分の左頬ごとカースタトゥーをメスで切りつけた。

 しかし、カースタトゥーにダメージは無い。だってタトゥーなのだから。

 だがカースタトゥーは悲鳴を上げた。



「テ、テメェ!自分の顔相手にナニしてやがんだオイ!ツラに傷付けるとか馬鹿じゃねえのか!?」


「自分の体くらい自分で治せる。大体お前が騒がしいのが悪いんだろう。多少の痛みで大人しくなるならソレで良い」


「多少の痛みじゃねーだろうがよソレは!」



 ……ワリとこのやり取りはいつものコトですけれど、今聞きたいのはそういうこっちゃありませんのよね。



「あの、よろしくて?とりあえず、このスカイゴールドフィッシュの治療は薬でなくては駄目、というコトなんですのよね?」


「傷よ無くなれ痕すら残らず……ん、ああ、そうだな」



 魔法で頬の傷を治したカルラ第一保険医は頷く。



「さっきも言ったように、治癒系の魔法で重要なのは理解してるかどうかだ。魔物の場合は最近の人類のように未知も多い。下手なコトをするより、薬で治す方が安全性が高い」



 そう言い、カルラ第一保険医は机の上に置いてあった薬と包帯をアニーに渡す。



「良いか?一日一回、包帯替えて薬を塗れ。飯は知らんから図鑑読むなりして食堂で注文して、アニーが食わせろ。あとアドヴィッグに感謝だな」


「アドヴィッグ保険医助手、ですの?」


「ああ。アイツはちょっと出る用事があったから今は居ないが、お前達が来るのを予知したのはアイツのパートナーであるカラーパンサーだ。で、準備をしたのはアドヴィッグ。私はただ、やって来たお前達をアイツらが準備しておいた道具を使って手当てをしただけだ」


「カルラ、お前最近アイツらが準備してくれるからって治療に必要な道具とか忘れてねえだろうな?一人で準備出来るのか?」


「コイツのコトは無視してくれ」


「ギャーーー!テメェまた自分の顔に傷付けやがって馬鹿野郎!」



 ……この二人のやり取りに関しては、こういう漫才だと思った方が良いですわね。主にメンタルに。





 アニーの部屋に移動した後、目覚めたスカイゴールドフィッシュは意外と大人しくしていた。



「あの、確かに食べれると言いましたが、せめてもうちょっと小さく、ちょ、あの……サイズがオカシイのくらいわからないのかお前は!?せめて小さく千切るくらいはしろ!」



 ……ええ、まあ、ちょっとキレると言葉遣いが荒くなりますが、基本はまともな紳士ですの。


 というか怒るのもまた真っ当な理由ばかりなのだ。

 そう、例えばアニーがスカイゴールドフィッシュに水を掛けようとしたから、とか。

 ちなみにこの行動だが、止めた上で話を聞いたらちゃんと理由はあった。



「いや、だって魚だろ?コイツ。水要るだろ」


「……もう一回、スカイゴールドフィッシュの生態について説明しますわね?」



 スカイゴールドフィッシュは空中で生活可能な魔物なので問題無いと教えたハズなのだが、どうも記憶にインプットされていなかったようなので、改めて説明した。

 アニーは文字を読むのが苦手なので図鑑を読むのすら拒絶されたが、看病する以上最低限は学んでおいてもらわなくてはならない。



「……あの、話を聞いていたら凄く不安になってくるんですけど……私の看病をするの、アナタでは駄目なんですか?どうしても私は、彼女に……明らかに看病に向いて無さそうな彼女に看病されなくてはいけないのです、か……?」



 何度も初心者向けの説明をしていたら不安にさせてしまったようだが、しかし、ソレは出来ない。

 何故なら、拾ったのはアニーだからだ。

 自分が拾ったのであれば自分が面倒を見るが、アニーが拾い主であるのは事実。

 もしここで自分が引き取って看病すれば、地球でもよくある「ちゃんと犬のお世話するって言ったのに結局お世話してるの私じゃない!」みたいな現象が起きる可能性がある。


 ……流石にアニーが魔物助けてわたくしが面倒を見て、というのは無理ですわー。


 ソレをやると際限無く魔物を助けかねない。

 いや、魔物を助けるコト自体は良いコトなのだが、自分への負担が大きい。

 魔物救助は一回二回ならともかく、連続でやるのは良くない。生態系が崩れる可能性がある。

 アンノウンワールドの魔物に生態系なんてあるのかとも思うが、弱肉強食の世界に要らんコトして怒られたくはないのだ。

 なので、自分はスカイゴールドフィッシュに頭を下げる。



「……ちゃんと様子を確認には来ますわ」


「そう、ですか」



 自分の言葉に含まれた様々な意味を悟ったのか、スカイゴールドフィッシュは納得はいかないものの、仕方が無いというような声でそう言った。



「なあジョゼ、んじゃあ濡らした布で拭けば良いのか?」


「今日は手当ての時にその辺りもしていただいたので不要だと……」



 振り返ると、アニーはベッチョベチョに濡れた布を持っていた。



「その布、魔法で濡らしたのはわかりますが、絞ってませんわね?」


「え?布濡らせばソレで良いんじゃねーの?」


「あの!ジョゼフィーヌさん!?俺コイツに看病されるのやっぱり嫌なんですけど!怖い!悪化する気しかしない!」



 スカイゴールドフィッシュの懸念はもっともだったので、看病の基本を教えつつ、忘れるかもしれないからと一応紙にも書いて置いておいた。





 コレはその後の話になるが、意外や意外、アニーとスカイゴールドフィッシュはパートナーになった。

 最初こそアニーの雑の中の雑と言っても良いくらいの雑な看病に辟易していたスカイゴールドフィッシュだったが、アニーが毎日怪我をして帰ってくるのを見て、少し態度を変えた。


 ……まあ、アニーの怪我って、全部自分で危険な場所とかに行って勝手に怪我してるだけなんですけどね……。


 が、怪我の理由を自分に聞いてソレを知った上で、スカイゴールドフィッシュは態度を変えた。

 具体的には、アニーをよく観察するようになった。

 そして一週間経って完治したスカイゴールドフィッシュは、アニーに言ったのだ。



「アナタ、自分から死にに行きそうで怖いんですよ。放っておいたらその辺で自業自得の結果死んでそうというか。……それに、雑な看病だったとはいえ、助けてもらった恩はあるワケですし」



 少し照れながらそんな前置きをしつつ、言った。



「だから、私をアナタのパートナーにしてくれませんか?危険からアナタを守りますよ」


「おう、よくわかんねーけど良いぜ!」



 そしてアニーはあっさりとそう返した。



「……あの、そんな簡単で良いんですの?」



 何故かまたもやパートナー成立の場に居合わせてしまっていた自分がそう問うと、アニーはこう返した。



「おう、コイツ見た目綺麗だし。あと頭良いみたいだから勉強教えてくれそうだしな!」



 その理由はどうなんだとも思うが、アニーらしくて安心した自分はまだまとも枠だと信じたい。

 そんな感じであっさりとパートナーになった一人と一匹だが、ワリと仲良くやっている。



「あーもう、止めんなよスカイゴールドフィッシュ!」


「あのですね、前にも私は言いましたよ?」



 森を少し入ったトコロで、揉めている一人と一匹が()える。

 声は聞こえないが、口の動きを見れば、他国の文字と同じように字幕が出るので、ソレを見れば良いだけだ。



「この奥は危険が多いんですから、無理に進んだりして万が一があったら管理人にも迷惑が掛かると……ちょ、あの、だから進むなって……アニー!進むなって言ってるだろうが!」



 スカイゴールドフィッシュは、森の奥に進もうとするアニーの顔の前を横切るコトで動きを止めさせていた。



「俺は俺の力量で守れるならナニが相手だろうとお前を守る気はあるが、だからって俺自身はそう強く無い!身の丈にあった場所で遊べ!」


「……へー?」



 その言葉を聞いたアニーは、可愛らしい顔には似合わない、ニヤリとしたいやらしい笑みを浮かべた。



「お前、俺のコト守ってくれる気はあるんだ?」


「は?当然でしょう」


「ふーん」



 そう一度返してから、心の中でその言葉を反芻したのか、アニーはニンマリとした笑みを浮かべた。



「……ふぅーん」



 語尾に音符が見えそうなその笑みはきっと、素のアニーを理解しながらもソコまで言ってくれたスカイゴールドフィッシュに対する嬉しさの現れだろう。


 ……アニーはモテますけれど、キホン見た目に誘われたヒトばかりですものね。


 だからこそ、あんなにも嬉しそうな笑みを浮かべたのだろう。

 そう思いつつ、スカイゴールドフィッシュでも無い自分が盗み()てはいけなかったなと思い、アニーとスカイゴールドフィッシュから視線を逸らした。




アニー

見た目はロリータ服が似合いそうなお人形さんビジュアルだが、中身は雑。石鹸で全身洗うタイプ。

ジョゼフィーヌに貰ったリボンはちゃんと使ってるが相変わらずグシャグシャ。


スカイゴールドフィッシュ

実はボディだけで猫くらいのサイズはあり、尾びれに至ってはボディよりサイズがあるという子供向け抱き枕くらいのサイズ。

助けて貰ったのは事実だからと、日常的にキレつつもアニーのコトは大事にしてる。


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