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ヒトと魔物のキューピッド  作者:
四年生
109/300

命名少年とガール



 彼の話をしよう。

 名付けの力が強くて、のんびりとした性格で、日向ぼっこが好きな。

 これは、そんな彼の物語。





 図書室に新刊が入っていたのでソレを借り、天気も良いので中庭で読もうかと外に出ると、ヴァレンティンがベンチで横になっていた。



「……ん、おお、ジョゼフィーヌじゃねえか。元気か?」


「ええ、見ての通り元気ですわ」


「そうか、そいつはなにより」



 くああ、と大きな欠伸を漏らしつつ、ヴァレンティンはその深い緑色の髪を掻きながら起き上がった。



「ヴァレンティンはまた日向ぼっこですの?」


「あー、まあ……結果的にはそうだな」


「結果的に?」



 どういうコトだと思いつつ、ヴァレンティンによって占領されていたベンチのスペースが開いたのでソコへ座る。



「最初はまたやらかしちまったんで、不貞腐れて寝てたんだよ。気付いたらいつも通りの日向ぼっこになっちまってたけどな」


「また、って……またナニかを名付けたんですの?」


「その通り」



 ヴァレンティンは眉を顰めながら口だけをニッとした笑みのカタチにして苦笑する。



「ケイト先生がよ、大量に咲いてどうしようっつってた花があったろ?」


「ああ、ありましたわね」



 土に触れた瞬間発芽して十分足らずで開花するという品種改良された花であり、酔っぱらったケイト植物教師がその種をぶちまけた結果凄いコトになったアレだ。

 しかも咲くまでは短いのに咲いてからが結構長いという作りになっている。


 ……ケイト植物教師、温室でやらかしたせいで新しい植物植えようとしてたのにって落ち込みながら食堂でお酒呷ってましたわねー。


 まあケイト植物教師が酒を飲んでいるのはいつものコトだが。

 あの花は根がしっかりしたタイプなので引っこ抜くのはかなりの重労働であり、自然に枯れるのを待つという選択肢を選んだらしい。

 ただ幸いだったのは新しい植物を植えようとして温室内の一部をナニも無い状態にしていた結果ソコに咲いたので他の植物の邪魔にならなかったコトだろう。


 ……まあその分、折角整えた場所が想定外の花に占拠されたのは多少ショックだったみたいですけれどね。



「で、俺が呼ばれたんだ。あの花は完全に観賞用でしかないが、俺が名付ければ良い感じにイケんじゃねえか、って」


「あー」



 ヴァレンティンは、名付ける力がとても凄い。

 わかりやすく言うなら発言が実現する言霊、の名付けバージョン。

 例えばリンゴにセクシーという名付けをすれば、セクシー体型なリンゴが出来る、みたいなアレだ。


 ……我ながらもうちょい良い例えは無かったのでしょうか。


 まあ大体そんな感じだし自分の中では理解出来ているから良いとしよう、うん。



「ただ、ケイト先生としては新種の花の種でも作ってくれるような花にして欲しかったらしいんだが……」


「……違う名付けをしましたのね?」


「丁度腹減ってたから、「美味そうな花」って言っちまってな……」


「あー、名付けする気だったからその言葉に魔力乗っちゃったんですの?」


「ザッツライト」



 深い溜め息を吐きながらヴァレンティンはベンチの背もたれに上半身を預け、天を仰いだ。



「観賞オンリーの花が食用も兼任出来るってコトである意味結果オーライっつってケイト先生には喜ばれたが、下手したらもっとヤバいのになってた可能性を考えると……やらかしたな、ってよ」


「まあ、確かに」



 ケイト先生はさぞや大笑いしながらグッジョブと親指を立てていそうだが、しかしミスっていたら大変だっただろう。

 前にリンインが言っていたように、名前とはその対象をそのカタチに固定させるモノ。

 もしその花に対して「臭い花」と言っていたら、悪臭を漂わせる花へと変じていた可能性が高い。



「いっそマスクか包帯でもして喋れないようにすべきか?」


「いやいや、言葉に魔力乗せなければセーフなんですから、ソコまでしなくても……」


「でも魔眼持ちのヤツはうっかり凝視したら発動するかもっつって目隠ししてるヤツ結構居んだろ」


「あー」



 確かに。



「……あ、でもこの能力だからって兵士からの協力要請もあるしな。他に得意も無いからってメインの稼ぎはソレだし……あー、面倒クセェ」


「面倒臭く考えてるのはヴァレンティンだと思いますわよー」


「じゃあジョゼフィーヌならどうすりゃ良いと思うんだ?」


「どうすりゃ、って……マスクとか包帯で喋れないようにするより、魔眼を封じる目隠しのような魔道具を身に着ければ良いんじゃありませんの?」



 そんな選択肢は無かったのか、ヴァレンティンは自分の言葉にパチクリと目を瞬かせていた。



「……例えば?」


「例えば、声帯の部分がキモなのであればチョーカーなり首輪なりつけて魔力を散らすとか、言葉として発するコトで魔力が乗るのであればレナーテ地学教師のような喋れるタイプのマスクで散らすとか……そういう感じで良いんじゃありませんの?」


「成る程……確かに物理的に元を潰さなくても対処は出来るな」



 潰す気だったのか。

 目を抉るという選択肢がソッコで出てきたテクラといい、どうして最初に最後の手段を発案するのだろう。


 ……ま、狂人ですものねー。


 そう思い遠い目をしながらふと空を見上げれば、父の目を思い出すような青空が広がっていた。

 今日も空は美しい。



「そうすれば必要時にだけ名付けの能力を使える、か……」


「まあそう言っても今回の件に関しては多分そういうの使ってても同じコト起きてたと思いますけれどね」


「エ?」


「だって使用する気だったタイミングでポロッと言った結果だったのでしょう?使用する気だったタイミングで使用出来るようにしても、そうやってうっかり呟いたら普通に同じコト発生しますわよ?」


「あー……!」



 確かにと思ったのか、納得が滲み出ている声を漏らしつつヴァレンティンは頭を抱えた。



「……よし、魔道具云々とかその他諸々は一旦保留にして、出来るだけ気を遣って慣らすコトにする。油断してうっかりをやらかすのはキツイ」


「うん、ソレは同意しますわ」



 リンインから聞いた「肉便器」と名付けられた不定形魔物の話を聞かされた身としては、本当に名付けには注意してほしい。

 まあそう思いながらも、自分は自分で何体かの新種魔物に種族名を付けたりしているのだが。


 ……だって頼まれましたし、ほぼそのまんまなネーミングだからセーフ!セーフのハズですわ!



「ああ、居た居た。おーい!」


「ん」


「あら」



 内心言い訳をしていると、正門の方からヘンモ警備員がベイビィユニバースを抱っこしながらこちらへ大きく手を振った。



「今、時間大丈夫かな?」


「ナニか用ですの?」


「ああいや、エメラルドじゃなくて」


「俺か?」


「そう」



 自分自身を指差してそう言ったヴァレンティンに、ヘンモ警備員は頷いた。



「兵士が協力を要請したいって呼んでてさ。どうも未来予知が出来る兵士曰く、キミの名付けが必要らしくって」


「うげ」



 ヘンモ警備員が苦笑しながらの言葉に、ヴァレンティンはイヤそうに顔を顰める。

 恐らくそう言って呼ばれた場合は面倒事率が高かったりしたのだろう。


 ……気持ち、よくわかりますわー……。



「ああ、いや、でも必要だってんなら行くべきだよな……一般市民としても報酬貰う立場としても世話になってるしよ」



 ヴァレンティンはそう言って溜め息を吐いてから、仕方がないといった様子をバリバリ前面に出しながらどっこいしょと立ち上がる。



「じゃ、ちょっと行ってくる。愚痴とか聞いてくれてあんがとな、ジョゼフィーヌ」


「気にしないでくださいな。わたくしが色々と聞いた結果ですもの。お仕事頑張ってくださいまし」


「ああ……ちなみにジョゼフィーヌの兄貴に会ったらナンか言っときたいコトはあるか?」


「特にありませんけれど、もし会えたら「悪人に気持ちだけでもと寄り添おうとするな」と」


「お前、毎回ソレ言うよな……」



 何故かナンとも言えない目で見られたが、あの兄は優し過ぎるので毎回言わないと心配なレベルなのだ。

 まあ父曰く、戦闘系では無い普通の天使はそのくらい心優しいのがデフォルトらしいが。





 先日ヴァレンティンが兵士に協力を要請された後、かなりの大捕り物があったらしい。

 アンノウンワールドは狂人が多いのでソコまでの噂にはなっていないが、普通の感性だったらあちこちで噂が駆け巡っていたであろうレベルの大事だったそうだ。


 ……うん、まあ、大事でも「へー」で済ませるからこその狂人ですものねー。



「……で、そちらの子が先日名付けたという?」


「ああ、ガールだ。ガール、彼女はジョゼフィーヌと言って俺の友人で……困った時に相談すると九割方助けてくれるし一割助言してくれるから仲良くしとけ」


「うん、わかったわ」


「いやその説明でわかられても困るというかヴァレンティンには後日わたくしについてのイメージを色々と問いただしたいですわね……」



 溜め息を吐きつつ、まあでも紹介されたガールが可愛らしいから良いか、と自分を納得させる。

 ヴァレンティンの横に居るガールと名付けられたらしい子は、少女を模した銅の魔物だ。



「というかわたくし噂程度にしか今回の件を知らないんですけれど、結局どういうナニがあったんですの?」


「そうだな……」


「うにゃー」



 ヴァレンティンはガールを後ろから抱き締めつつ、その頬をぐにぐにと揉んだ。

 柔らかいというか、どうやら固まっていない状態で固定されているらしい。

 まあ確かにヒト型で動こうとするならその方が良いだろう。


 ……銅って固まるから、マネキン状態になっちゃいますものね。


 そして固まった場合、人形のように関節部分を球体にしないと動けなくなってしまう。



「まず、大分頭がイカレた魔法使いが居たらしくてな」


「初っ端から結構トバしますわね……」


「ソイツは意図的に魔物を作ろうとしてたらしく、まあその辺はグレーとはいえセーフゾーンなんだが、自分より優れた位置に居る奴らを見返してやるっていうモチベだったのがアウト判定下されて」


「あー」



 魔物は魔道具作ったら新種誕生しました、というようなのも少なくないので、意図的に魔物を生み出そうとするのはグレーではあるがセーフ判定だ。

 しかし作る目的が悪意である場合、ソレはただの戦争用の兵器となる。

 要するにただのテロリストでしかないのでアウトですよという感じにお縄になったのだろう。



「ソイツ自体は魔物作りに魔力注いでたし筋力無いしで制圧はあっという間だったんだが、まだ未完成状態なガール……その時は不定形の名称も無い生命体って感じだったが、とにかく抗おうとしてソレに殲滅しろっつー命令を出しやがって」


「ウッワ」



 やはり悪というのは愚からしい。

 というか自分で作り出した以上は自分の子供のようなモノだと思うのだが、自分が出来なかったのを子供にやらせよう!と言って他人を攻撃させるのはどうかと思う。

 いやまあ、相手の気持ちを一切考慮せずに自分の考えを押し付けるのもどうかと思うが。



「で、不定形のソレが俺らに襲い掛かろうと蠢いてたんだが、まあその、大量の銅を一つにするには熱して溶かす必要があるワケで、今でこそ意識があるからこうして触れる温度になっているワケだが」


「ああ……ボッコボコに沸騰してたんですのね?」


「そういうコト。近付いただけでもアウトじゃねえのかって感じだった」



 張本魔であるガールにその時の記憶は無いのか、きょとんとした表情で笑みを浮かべている。



「このままじゃまずいし、俺が呼ばれた理由は名付けをする必要性があるってヤツだったし、そしてソレはまだ未完成だったから名称が無い」


「コレはもうヴァレンティンが名付ける以外の選択肢が無いって感じに条件が揃ってますわね」


「俺もそう思って、戦闘にならなさそうでまともそうで平和的でわかりやすい名前を、って思って「汝はガール!」って叫んだんだよ」


「汝はガール」


「花に対して「美味そうな花」って言ったら食える花になるけど、ソレは元が同じ花だったっつー理由があるからだったりするしな。本来は出来るだけ「お前は誰ソレだ!」みたいな感じでハッキリ断言した方が刻みやすいんだ」



 まあ確かにわかりやすいし、相手が解けた銅という不定形な存在だからこそ、そのレベルでの断言でないと名付けられなかったのだろう。

 溶けた銅をガール(少女)として固定し世界にそう認識させるというのは中々に中々だし。



「結果こうして無事不定形だった見た目を少女のように形作って、知性や理性を得て、ってな」


「んふふふ」



 ヴァレンティンにもにもにと頬を揉まれ、ガールは親に構われている子供のように楽しげな様子で笑った。



「ただ俺は基本的にこうして魔物化……いや最初から魔物ではあったんだが」


「……理性または知性などを与え命ある知的生命体にしたのが初めて?」


「そうソレ」



 腑に落ちた表情でピッと指を差された。

 ヒトに指を差すなと言おうかと一瞬思い、話の腰を折りそうなので今回はスルーで良いかと思考を着地させる。



「その上ガールは罪人が作り出した存在……まあほぼ俺が上書きしたから九割八分以上俺が作り出したようなモンだが」



 割り合いが酷い。



「とにかく罪人は罪人だから牢の中だし、生まれたばかりの女の子を兵士だらけの空間に居させるのは情操教育的にもあまり適していないだろう、という兵士側の判断だ」


「あー」



 確かに兵士達の中でそういうのを育てるのは微妙だ。

 機密やらナンやらが多いので教えられないコトも多く、情操教育的には適さない。



「んで身元割れてるし協力者だし九割八分俺が作り出したようなモンだしガールも懐いてるし俺も知的生命体に名付けて存在を固定させたの初めてってコトで、まあ責任を取るっつーカタチになったワケだな」


「ああ、じゃあパートナーになるんですの?」


「いや?」



 ヴァレンティンは首を横に振る。



「人工魔物だからか本能の部分も薄いから、パートナー云々はもう少し色々と学んでからだな、って言ってある。なあ?」


「ええ」



 聞かれ、ガールは笑顔で頷いた。



「私はガール。ガールは私。そしてガールは少女であり、未熟な乙女。だから私はもう少しパートナーについてを学んで、他のヒトとの距離感や感じる感情などを学んでから考えるつもりよ」



 ……思ったよりも知能が高い。



「……結構考えが大人なんですのね」


「さあ、どうなのかしら?そうなのかしら?」



 ガールは幼い動作で首を傾げる。



「アナタがそう言うのならそうかもしれないわ。私はまだ比較するコトが出来る程比較対象のサンプルを見たワケではないからわからないけれど、アナタは十年以上も生きているのよね?そんなアナタがそう言うのなら、そうなのかもしれないわ」


「ガールは元々学習能力高めに作られたから結構知能高めらしいんだよな。最初は人間の区別も付かなかったのに、あっという間に性差も口調の違いも見た目で察する生まれ故郷の違いも覚えたし」


「ソレは……将来有望ですわね」


「!本当?」



 自分の呟きに反応して心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべるガールの顔は、先程の発言に反してとても少女らしかった。

 成る程、思考能力が大人染みているだけで、内面は殆ど子供に近いらしい。



「ええ、きっとあっという間に様々なコトを覚えられるでしょうね」


「!……えへ」



 頭を撫でながら正直に言うと、ガールはとても嬉しそうに微笑んだ。

 出生が色々と他人のせいで大変だった分、全力で幸せになって欲しいと思わせるような笑顔だった。





 コレはその後の話になるが、ガールは学習能力が高めだからか学ぶのが好きらしく、よく図書室で会うようになった。



「あら、ガールじゃありませんの」


「ジョゼフィーヌ」



 図書室で本を抱えたガールに声を掛けると、あちらもこちらに気付いたらしい。



「前とは違う本ですけれど、もうアレ読み終わったんですの?」


「ええ、そうよ。……うふふ」


「?」


「ああ、ごめんなさい、つい」



 本を胸に抱き締めていきなり嬉しそうに微笑んだガールに首を傾げると、ガールはそう言った。



「……名前を呼ばれたのが、嬉しかったの」


「名前を呼ばれたの、が……?」


「だって私にとってのガールという名前は、私という存在を肯定してくれるモノだもの。ヴァレンティンの気持ちがこもっていて、そして今の私を形作るモノで……素敵で、とても素敵で、とってもとっても素敵だわ」



 うふふ、と笑うガールは、本当に嬉しそうな笑みを浮かべていた。



「……良いコトですわね」


「でしょう?」



 そう笑うガールは、今をとても満喫しているらしい。



「ああ、と、そう言えばそれよりも、私はジョゼフィーヌに聞きたいコトがあったのだったわ」


「聞きたいコト?」


「そう、この本なのだけれど……文字が読めないの。授業をヴァレンティンと一緒に受けているからこの国の言葉は読めるようになったとはいえ、まだあまり語学の授業を受けれていないから……」


「成る程」



 確かにヴァレンティンは言葉の意味を知るのは大事だからと言って語学の授業を取っているが、ソレはソレとしてまだ生まれてから日が浅いガールはソコまでの授業数を受けれていない。

 そしてガールが持っている本は極東語なのでかなりハードルが高い。



「んん、そうですわね……ソレ極東の文字なんですけれど、極東語って複数の文字を混ぜた暗号みたいな言語を用いているから、初心者向けではありませんわよ?」


「そうなの?ペルハイネンで用いられる言葉も時々あるから頑張れば読めると思ったのだけど……」


「ペルハイネンの文字もパーツのように組み込まれてるんですの。……ああ、でもその本は七年くらい前にペルハイネン語版が発売されていたハズですから、そっちを探したら良いと思いますわ」


「あ、翻訳版があるの?」


「ええ」


「嬉しい!」



 ガールは本をぎゅっと胸に抱き締めながらそう言って笑う。



「この本、ボックスダイスにヴァレンティンみたいなヒトの本はないかって聞いたら教えてくれた本だからどうしても読みたかったの。早速翻訳版の場所を聞いてくるわ!」



 確かにその本は言霊が強過ぎる少年が色々と悩みつつ、中盤で言霊により生命を作ってそのヒロイン的立ち位置の子と世界を見て回るという小説なので、考えようによってはヴァレンティンみたいなヒトの本と言えるだろう。

 ガールはくるりと身を翻してボックスダイスの方へと方向を転換し、たと思ったらそのまま一回転するような動きで再びこちらを見た。



「教えてくれてありがとう、ジョゼ!」



 銅で出来ているその笑顔はとても純粋で、こういう子ばかりなら自分の心労も少なくて済むのにと思いつつこちらも笑みを返す。



「どういたしまして」



 その返事を聞いたガールは一層嬉しそうに微笑みながら、ボックスダイスの方へと向かった。




ヴァレンティン

名付けに関してだけ言霊が使えるのだが、使いどころが難しいので正直持て余している。

そこらの石や土に「壁」と名付けるコトで壁にしたりが出来る為、兵士達に協力するコトが多い。


ガール

兵器として作られたが「ガール」という名に上書きされた為、少女として固定された銅の魔物。

知能が高く学習能力も高いので、面白がった教師達にやたらと専門的な知識を教えられたりしている。


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