8話 戦闘
お待たせしました……!
サブタイ変更しました!
「チッ、厄介ね……」
数分待てばロボット達も通信が切断されるはずだけど、1ビットたりとも敵に情報を渡したくない。こうしてる今も情報が流出していると思うと……。
考える時間はないわ!突撃あるのみ、ね!
物陰から敵の様子を伺うと、それを感知したのか、チェーンソーを携えたドローン2体がこちらに飛んでくる。一度深呼吸をしてから、飛んでくる2体のドローンに向かって走り出す。チェーンソーの射程内に入った私を、勢いそのままにお腹を一の字に斬りつけてくる。もう1体のドローンは連携して膝のあたりを狙っているようだ。
私は戦闘服の補助機能を使って天井近くまで飛び上がる。すれ違いざまに斬りつけて来たドローンに銃を撃つ。
空中でくるりと回転し、4mほど上の天井を足場にして、情報泥棒の5mほどの所に着地する。体の大きい工業用ロボット2体がすぐに自分の体で、目標の情報を盗んでいる敵を隠す。
工業用ロボットは8本の脚がある蜘蛛のようなロボットだ。人間用の工具も持てるようにアームも4本付いている。その手、ならぬアームにはレーザーガンが握られている。
工業用ロボットの3体の内の1体は他の3体のヒューマノイドと共に私の前に出てくる。
相手が陣形を整えるより早く私はヒューマノイドの1体に肉薄し、至近距離からレーザーガンを放つ。しかし、ヒューマノイドは腕を犠牲にして致命傷を避けた。
操縦者が凄いのか、プログラムやハードが優秀なのか。
一瞬小そんな事を考えていると、工業用ロボットが私の傍のヒューマノイドごと、脚を振り下ろしてくる。スライディングで工業用ロボットの股を抜けて前に進む。その際にも下からレーザーガンを撃ってみたがあまり効いていないようだ。工業用だけあって堅い。
私の前には情報泥棒の護衛の工業用ロボット2体がいる。後ろにもまだヒューマノイド3体と工業用ロボットがいるがそちらはもう無視する。
これで後2体……!
勢いそのままに2体のロボットからの攻撃を避けてながら目標の情報泥棒に向けてレーザーガンを放つ。しかし、工業用ロボットが間に入り止められてしまった。
先程倒しきれなかったチェーンソーを持ったドローンも追いついてきた。ゲートの閉鎖まで後3分を切った。
レーザーガンは効かないし……。
ドローンがチェーンソーで袈裟がけに斬りつけてくる。
私はドローンの攻撃を避けるとドローンを掴む。ドローンは私の手から逃れよううと暴れる。それを地力と戦闘服の補助で抑え込み、チェーンソーを利用して工業用ロボットの脚に向けて思い切り振り下ろす。
鉄が切断される甲高い音がしたかと思うと、まるでバターを切るかのように脚を切断することが出来た。工業用ロボットは脚が無くなった事でバランスを崩しよろける。その一瞬の隙を突き、情報泥棒のロボットにチェーンソーで斬りつけて破壊した。
よし!これで情報流出はとめられたわね!
後ろから風切り音がしたかと思うと背中に衝撃を感じ、私は数メートルふっ飛ばされた。飛ばされた衝撃でドローンを手放してしまった。
戦闘服のお陰で骨折はしてないけど、背中が痺れるように痛い。しかし痛みを堪えて立ち上がる。ドローンやヒューマノイド、それに工業用ロボットが私に襲い掛ろうと向かってきた。
しかしロボット達は数歩進んだだけで、人形のように足下から崩れ落ちる。ゲートが閉鎖したようだ。
「ふぅ、助かったわ」
取り敢えずアラド隊長に報告して、指示を仰ぎましょう。そうして隊長に連絡を入れようとしていた私の耳に、ピピピッと小さな音が聞こえた。音のする方に顔を向けると動かなくなったはずのロボットがある。何とも言い難い嫌な予感が体中を駆け巡る。
早くここを離れないと!
痛む体に鞭を撃ち、非常階段の方まで走る。サーバールームを出た所で後ろから物凄い音が響き渡る。戦闘服は宇宙での戦闘にも使えるものなので、熱は感じないものの外部温度計は熱波で40度を示していた。
『レイシスか』
「サーバールームで敵ロボットと交戦、撃破しましたがその後自爆しました。サーバーの情報が流出した可能性があります。他の状況はどうなっていますか?」
『そうか、了解した。無事で何よりだ。他のロボット達もほぼ全て自爆した。後の処理はこっちでやっておくから今日は休め、報告は明日でいい』
隊長に連絡を取ると、一先ず事態は収束したようだった。
「分かりました、それでは部屋で休ませてもらいます」
○○○
――ヴィンセント・マイヤー視点――
「止まるな!速く行け!」
ヒューマノイドの下から俺はアルクに叫ぶ。アルクは名残惜しそうにこっちを見るが、そのまま学校に向かって走って行った。
それでいい。
学校まで行けば安全だ。俺の元に落ちて来たヒューマノイドは、動く部分だけで俺を抑えつけようとしてきた。後から追ってきた奴らも俺の方に集まりつつある。俺の上に乗っている敵ロボットに銃のグリップを叩きつけて抜けだし、立ち上がる。アルクの方に行かせないように、こっちに注意を引きつけなければ。
何体かはアルクの方を追って行ったが、あいつなら追いつかれずに学校にたどり着けるだろう。近づいてくる敵に向かって片っ端からハンドガンを撃ちまくる。レーザーガンのエネルギーが無くなると、銃を捨ててコンバットナイフを取り出す。
近付いて来た男型のヒューマノイドの、装甲の薄い肩の関節を狙ってナイフを刺す。敵はそれを意に介さないように、俺に覆い被さろうとしてきた。
「野郎はお呼びじゃねぇんだ、よ……!」
肩に刺したナイフを抜きながら蹴り飛ばす。しかし、生身の体ではあまり遠くに飛ばせなかった。こんな事ならもっとしっかり準備しておくんだった。アルクの事を目立たせないように重装備にしなかった面もあるが、そんな事言っても状況が変わるわけじゃない。
敵につかまらないように、立ち回りながら考えを巡らす。こいつらの目的は恐らく俺たちの誘拐だろう。攻撃の仕方から見ても間違いない。明らかに殺さないように手加減してやがる。
その事実に若干苛立ちを募らせていると、とうとう攻撃を捌ききれなくなり敵に羽交い絞めにされて、体中を蹴られ殴られる。それでも殺さないよう手加減はされていたが。半殺しってやつだ。
俺をサンドバッグにするのにも飽きたのか、死にそうに見えたから止めたのかは分からないが、俺を担いで移動を始めた。すぐ近くのビルの隙間の細い路地を曲がろうとした時、数体のロボットが突然倒れる。狙撃だ。倒れたロボットの位置を考えるとほとんど包囲しているようだ。
包囲されていることを悟ったのか、ロボットは少しでもこちらに損害を与えようと俺を担いでいた奴が俺を殺そうとする。しかし、そのロボットはスナイパーに狙撃されて体制を崩す。その隙に俺を抱えている腕の関節にコンバットナイフを刺し、抜けだす。周りを見渡すと、10人程の味方部隊が敵を殲滅していた。
「よぉ、これはまた随分とやられたなぁ?えぇ?」
俺に肩を貸してくれた隊員が言う。完全装備の下でニヤリとしているのが目に浮かぶ。
「うるせー」
鉄の拳に殴られて血が滲む唇を歪めていつものように軽口を叩きながら車に向かう。
「おいおい、助けに来てやった仲間にそれは無いだろう?」
「チッ、ありがとうだよクソッタレ……!」
仲間達への感謝と、自分に対しての苛立ちを込めて俺は言う。万全の装備では無かったという理由もあるが、それは甘えだ。俺もまだまだ訓練が足りないようだな。これじゃアルクに教官を名乗れねぇ。
「そうだ、アルクはどうなった……?」
「大丈夫だよ、ドルズ達が追跡して学校に入ったのを確認した。学校にいれば問題はない」
「そうか、それなら良かっ……た……」
車に乗ると、俺の意識はそこで途絶えた。




