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最果ての戦艦  作者: Alc
7/13

6話 襲撃

週間更新にしようと思ってましたが、厳しいです……。

焦って内容が雑になってしまいそうなので、しばらくは不定期更新とさせて下さい。

 昼間は学校の授業を受け、放課後はヴィンセントさんとレイシスさんに訓練を受ける。最初の頃は負けっぱなしだった戦闘機の模擬戦も次第に戦闘機に攻撃を当てられるようになってきた。それでもまだ勝つ事が出来ないのだからヴィンセントさんの凄さが分かると思う。

 レイシスさんからはコンピューターの基礎を教わっている。僕は初めて知ったけど、戦争には電子戦というものもあるそうだ。最近は自立戦闘が出来るロボットが配備されているから、そのロボットから情報を抜き取れるようになるのが最終目標だ。


そんな日々は3ヶ月程続いた。


学校が終わっていつもの訓練を受けに行くと、久しぶりにアラドさんが来ている。任務が終わったのだろうか。


「アラドさんお久しぶりです。任務終わったんですか?」


「まぁな。それよりやっと2人の訓練に付いていけるようになってきたんだって?中々やるな。いいものをやろう」


アラドさんは満足げに言い、後ろに休めの姿勢で立っていたヴィンセントさんとレイシスさんの4人で縦長の部屋に移動する。奥の方にはスクリーンに人が映し出されている。少し焦げたような、何かが焼けた匂いがする。横にある棚からアラドさんが銃を取り出しこっちに持ってきた。


「これが何か分かるか?」


「銃、ですよね」


人を殺す事だって出来る兵器だ。どこが「いいもの」なんだ……。こんなの貰っても嬉しくない。


「そうだ。これはレーザーガンと呼ばれる種類のものだ。射程距離は15m、照射可能時間は5分。常に持ち歩くようにしろ」


アラドさんは有無を言わさぬ口調で銃を僕に渡す。ハンドガンと同じぐらいの大きさで銃口にはガラスがはめ込まれている。まるで僕に掛かる重力が増したような、そんな重みを感じた。


「重い……」


「重いだろう?それが人を殺す事が出来る兵器の重みだ。その気持ちを忘れないようにするといい。悪いが訓練の方は2人に任せる」


それだけ言うとアラドさんは部屋から出て行った。


「本当はまだ渡すつもりじゃなかったのよ。でも、ちょっと気になる情報が入ってきたの」


「どうやら此処の施設が連邦軍のスパイに監視されてるみたいでな、少し予定を変更する事になったんだ。今日は武器の扱い方と、近接格闘の訓練になる。残念ながら戦闘機の模擬戦も暫くはお預けだ」


模擬戦も良い所まで来ているだけに少し残念だ。出来ればヴィンセントさんに勝ちたかったな。

今は監視されてるだけみたいだけど、破壊工作をしてくるかも知れないし自分の身位は守れるようになっておかないと。自分の命に関わる事だ。これからは更に真剣に訓練を受けようと心に決めた。



○○○



「おぉ!上手くなってきたじゃないか!」


15m先にある的の頭の部分を3回連続で撃ち抜いた僕の後ろから声が掛かる。


「この2週間、毎日のようにやってましたからね」


「たった2週間でレーザーガンの扱いに慣れるなんて、若いって恐ろしいわね……。格闘技はまだ私達には及ばないにしても、普通の戦闘員とはいい勝負出来るんじゃないかしら」


ヴィンセントさんと並んで見ていたレイシスさんが言う。この2週間、2人からはレーザーガンの扱い方や格闘練習をみっちり仕込まれた。特に格闘練習は痛くて嫌だった。


「ありがとうございます、でもまだまだ2人には敵わないです……」


「そりゃあ私達は早くから訓練してたもの。そんな簡単に追い越されたら立つ瀬がないわ」


レイシスさんは笑いながらそういうと、ヴィンセントさんもそうだとばかりに頷いていた。でもやっぱり負けたくなかったので、帰ったら格闘技の資料をもっと探そうと心に決めた。


「もう0時か、そろそろ終わりにしよう。今日は俺が送るからな!」


この施設が監視されているという情報が出て来てからは、学校から施設まで送り迎えしてくれるようになった。訓練で疲れるから僕としてはありがたいけど、、なんか少しもったいない気もする。


「連絡します。本部より第一会議室の使用が申請されました」


着替えて建物の中にある駐車に向かって歩いていると、そんなアナウンスが聞こえた。心なしか周りが騒がしくなっているように感じたけど、疲れていた僕は特に気にせず車両に乗り込む。少し遅れてヴィンセントさんが来ると車が出発した。


「アルク、武器持ってるよな?」


車が施設の敷地出てすぐに外の様子を確認しながら僕に聞く。


「はい、アラドさんに言われてから持つようにしてます。……何かあったんですか?」


なんだか嫌な予感がする。レーザーガンの充電が満タンである事を確認しておく。


「出る時に聞こえて来たアナウンス覚えてるか?」


「確か、会議室がどうとかって言ってたやつですか?」


「あぁ、それだ。第一会議室は本部―――本部は軍の総司令部のことだ―――と回線で繋がっていて専用の会議室なんだ。第一会議室が使われる日は決まっているんだが……。多分何か不測の事態があったんだろう。しっかし、今日は機械が多いな」


ヴィンセントさんは2丁の銃を取り出しながら言う。僕も車の外の様子を覗うと、確かにヒューマノイドや小型の運搬用のロボットが30体程動いている。人はほとんど見当たらない、少し不気味な光景だった。まるでロボットの国に迷い込んでしまったみたいだ。

 そのまま通りを通っていると、車の進路上にヒューマノイドが1体立っている。車がそのヒューマノイドを認識して速度を落とすより早く、ヴィンセントさんが言う。


「回避しろ!」


「回避を実行します」


声に車が反応して、ヒューマノイドを避けようとするが、ヒューマノイドも通させまいと進路上に動く。車は止まり切れずにヒューマノイドと衝突する。ドン!という激しい音がして、車が停止した。車の前にいたヒューマノイドはまだ立っていて両手で車を止めていた……!


「アルク、外に出ろ!学校まで走るぞ!」


ヴィンセントさんに続いて僕も外に出る。僕たちはロボットに囲まれつつあった。ロボットたちは武器こそ持っていないが、車を止めた腕力がある。捕まったら終わりだ。

 ここは学校と施設の丁度中間位の場所だ。施設も襲撃されている可能性を考えれば学校に逃げ込んだ方がいい、という判断だろう。研究に特化しているこの星の中でもアイアリー学校は特に最先端の研究をしているので、警備も厳重だ。敵の目的は分からないけど、下手にこの学校に手を出せば学舎惑星の軍がでてくる。だから学校に逃げ込めばこっちのものだ。

 2人で敵を撃ち倒しながら学校の方に走る。チラリと後ろを振り返るとロボット達も全力で追いかけてきていて、2体のヒューマノイドがその場で膝を曲げて『溜め』をしていた。


跳ぶつもりか!


僕は咄嗟に1体のヒューマノイドにレーザーガンを撃った。胴には当たったが、ジャンプを止める事は出来なかった。僕の動きを見てヴィンセントさんも振り返ると、今まさにこっちに跳躍してくるヒューマノイド達の頭を2丁の銃で頭を撃ち抜いた。片方は撃たれた衝撃で軌道がずれて直撃する事はなかったが、もう1体の方が運悪くヴィンセントさんに直撃してしまった。


「ヴィンセントさん……!」


助け起こそうと立ち止まろうとする僕に強い口調でヴィンセントさんが怒鳴る。


「止まるな!速く行け!」


有無を言わせぬその口調に僕はまた走り出す。ヒューマノイドの残骸から這い出たヴィンセントさんは頭を打った様でふらふらと立ち上がる。そこにロボット達が殺到する。

 それを最後に後ろを振り返るのを止めた。

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