大人の男
君が煙草に火をつけて、静かに口にくわえる。
何でもないのに、ドキドキする。
色っぽいその仕草は、何回見ても慣れなくて。
「また見てる。見すぎ〜!」
君は5こも年上だから、子どもの私から見たら、大人の男ってやつで。
どうしようもなく素敵で、たまらない。
たかが5歳、されど5歳。
この差は埋められない。
精一杯大人の振りをしても、やっぱり届かない。
必死に大人な君に近づこうと背伸びしても、同じ景色は見られない。
だからこそ、恋愛は自由で素敵で、素晴らしい。
今日もドキドキが止まらず、君を瞳で追うのに忙しい。
「あ、煙草取って。」
煙草に火をつけるその指が色っぽくて、
煙草をくわえるその唇がたまらなくって、
「はい。」
私は手を伸ばした。
そしたら君は笑いながらこう答えたの。
「それは、煙草じゃなくて真菜の指(笑)」
まだまだ子どもの私にとって、5歳も年上の君は、大人の男の人なわけで、君のする何てことない仕草が、いちいち私を熱くさせる。
パク。
5こも年上なはずなのに、たまに無邪気な君がたまらなく愛おしい。
「食べられた。」
君の唇に触れられた私の指が、ドクドク脈を打っている。
とっても熱くて、ドキドキする。
私はまだまだ子どもだけど…
君は5こも年上の大人の男だけど…
大好き。
大好き。
大好きよ。