詩『恋の燃焼−long version』
『恋の燃焼(long-version)』13/12/28
激しい生命力が俺の奥で爆発する
赤い血はたぎる
肌の紅潮は細胞の生きる意志
吐き気をもよおすほどに
おもい、興奮が連鎖する
恋には幾つかの筋書があって、自分が迷い込んだ寂れた港からハッピーエンドまで漕ぎ着けるか、という想定をいやがおうにも行う。途中で燃料が切れないように、座礁しないようにと、道筋を下見しながら、いずれ伸るか反るかの行動に移す。座礁した場合には、大概助け船は来ない。そのため恋の告白は無謀な行為であるといえる。
狭い路地を全速力で突っきる
貴女には俺が見えないだろう
視野は開かれず、後戻りはあり得ない
擦り傷だらけで往来に噴き出る
女の嗅覚は鋭い、芽生えから暴走までの一部始終に感づいていても、ビックリの表情を浮かべながら頬を赤らめるか、困惑の表情を見せながら、最後まで美しく魅せたあげくに引導を渡す。その前後で関係は激変する。
激しく飛び出した下郎の顔を見てくれ
素っ裸の変質者の一瞬の炎を
ただ一つの魂を
はかなげなその腕で受けとめてくれるか
さもなくば、
100円ライターで俺に火をつけてくれ
激しく無様に燃えよう
跡形がなくなるまで俺を見届けてくれ
恋とはエゴなのである。受け入れられないとしても、いつまでも自分を「見て欲しい」のだ。わずかながらでも自分に対する愛情があったのだとさえ信じて、恋は、死、に至る。
恋は灰になり、風に散り
洞穴の隅にわずかに黒くこびりつくだけ
過ぎ去った影が広場の木陰にまぎれる
ただ、
年老いた男の瞼に
今も美しい花びらが散る