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出て行く先輩の色付きリップが剥げていて、耳を押さえたおれの頭は沸騰しそうだった。

 

「ねえ、もう振り向いてはくれないの?」

 ()ねた声音にはもう(だま)されない。

「残念ながら今日のスマイルゼロ円はもう終了しました。在庫切れです。また明日どうぞ……ほっぺたぷにぷにすんの止めて下さい」

 会計ソフトを教えて欲しいと言うから代わりにPCの前に座りはしたが、よく考えたらこの人去年から生徒会で会計務めてるじゃないか。今更おれに教わる事なんてない。

 数値を打ち込んでデータをひたすら処理しているのに、肩を叩いたり髪を引っ張ったり振り向かせてはその度おれの頬をつついて邪魔をする。

 今日だけじゃない。何かとからかってくる。

 誰だこいつを生徒会に入れた奴。

 生徒会役員なのに、髪の色は明るいし。化粧はしてなくても派手な美女で正直苦手だ。

 先輩の爪は形が良くてよく手入れしているが、伸ばしてないのと付け爪してないのはおれとしては評価出来る。書類仕事の邪魔にもならないし、「つまんない」と未練がましく頬をつつく指は決して傷付ける凶器に変わらない。

「つまらなくて結構です。終わりましたよ、せんぱ……」

 振り向いたら、耳元でリップ音が鳴った。

「ありがとう、じゃ、お疲れ様」


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