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序章 とある少年の物語
その少年は幽霊が見えた。
幼いときはあまりにはっきり見えるので人間と違いが分からない程だった。
その少年は頭がよかった。
定期テストは百点以外とったことが無いほどだった。
その少年は運動が出来た。
クラスどころか学校で一番の運動神経といわれるほどだった。
その少年は顔がよく出来ていた。
学校は少年のファンで溢れ、校外にもファンがいるほどだった。
しかし、この少年は孤独だった。
何でも出来るからこその、孤独。
ハイスペックゆえに分からなかった。
何よりも、他人に対して感心がもてなかった。
少年は呟いた。
「こんな頭脳は要らない」と。
少年は涙を流した。
誰にも理解されないまま、誰のことも理解できないまま。
少年はただ、生きていた。
そんな少年は、ある少女に出会った。
少女は自らを《愚者の王》と名乗った。
一人の少年と少女。
二人を中心に物語が蠢き出す。