最愛の人へ、このギフトを
後書きまで読んでいただけると、彼女たちの気持ちを理解できるかもしれません。
要素にチェックを入れるか迷いましたが、*私*の気持ちはそれなのでチェックを入れています。
偶々立ち寄った洋菓子店で、そのギフトボックスはとても可愛く、とても輝いて見えた。それが目に入った瞬間、あの人の笑顔が浮かんだ。
気付くと私はお会計を終えていた。手には梱包まで可愛らしいギフトボックス。
何故、こんなものを買ってしまったのだろう。後悔しても、買ってしまったものは仕方がない。1人で食べればいい。そう思っていたのに、私はそれを買った流れで、あの人に、彼女にメッセージを送っていた。
『今日、これから会えるかな?』
何故、こんなメッセージを送ってしまったのだろう。
今からでも遅くない。間違えた、としてしまおう。
だが、決心するのが遅かった。気付けば彼女から、返信が来ていた。
『いいよー。せっかくなら、家来る?』
「で、急にどうしたん?」
「あ、うん、えっとね、これ。良かったらどうぞ」
「えー、何々? え、めっちゃ可愛い! 開けてもおけ?」
「うん‥‥‥」
ずっと変わらない笑顔の彼女に出迎えられた私は、リビングに通された。彼女の淹れてくれたハーブティーも、ずっと私が知っている、リラックスできるもの。
彼女が丁寧に包み紙を剝がしていくのを見守りながら、私の心は、これまでにないくらい早鐘を打っている。
「え、なにこれ」
彼女の声に、目の前が真っ暗になったと錯覚してしまう。ああ、やっぱりやめておけばよかった、と。
「めっちゃ可愛いんだけど!」
「え‥‥‥」
「ねね、これ、ギフトボックスってやつだよね。どこのやつ?」
「えっと、新本町の、ちゅーりっぷってお菓子屋さん。黄色い屋根の」
「あそこなんだ。今度旦那と行こっかな」
彼女の言葉に、仕草に、いちいち一喜一憂してしまう。でも、私のこの気持ちは、彼女に知られてはいけない。
「ね、どれ食べる?」
「え?」
開けたばかりのギフトボックスを、私に見えるように向けた彼女が問いかけてくる。
「美奈、これに一目惚れしたんでしょ。一緒に食べようよ」
首を傾げる私に、彼女は笑っている。
いたずらっ子のように笑う彼女の言葉は、半分当たっているけれど、半分は違う。でも、本当のことを知られてはいけない。
「ばれてた? じゃあ、遠慮なく」
ミモザのアイシングクッキーを摘み、口に運ぶ。ほろほろ溶けるクッキーは、私の心と似ている。
やっぱり、と笑う彼女も、ミモザのアイシングクッキーを摘み、口に運ぶ。サクサクとした軽い音は、私達の関係。
彼女の最愛の人は私じゃない。でも、今だけは、この時間だけは、彼女の目に映るのは、私だけがいい。
黄色いチューリップの花言葉‥‥‥叶わぬ恋
ミモザの花言葉‥‥‥秘密の恋、友情




